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藤田和日郎短編集【暁の歌】感想ネタバレ

『うしおととら』や『からくりサーカス』で有名な藤田和日郎短編集『暁の歌』の感想ネタバレをまとめました。1巻完結。物語の結末(ラスト)はいかに!?

藤田和日郎短編集 暁の歌(2) (少年サンデーコミックス)

藤田和日郎短編集 暁の歌(2) (少年サンデーコミックス)

 

会えばクルマや女の話ばかりする友人。目の前でタバコをふかしても文句一つ言えない両親。そんな人々に囲まれて生きる少年・淳一は、しわだらけの祖父を見るにつけ「きっとオレも、ああなっちまう」と将来を悲観してばかり。だがある日、その祖父を米軍の女性将校が突然、極秘裏に訪ねてきた。そして淳一は、理由も知らされないまま祖父に連れられてアメリカ本土へ…

目次

瞬撃の虚空<前編>
瞬撃の虚空<後編>
空に羽が…
ゲメル宇宙武器店<前編>
ゲメル宇宙武器店<後編>
美食王(ガストキング)の到着

本編あらすじ

瞬撃の虚空<前編>

アメリカ、ネバダ州の政府所有地で銃弾が当たらない一人の軍人がいる。彼の名はレーベンフック少佐。桁違いのスピードを誇る彼は素手で武装兵を難なく倒す。制圧された施設は一体…。

東京に住んでいる淳一は自分の人生を悲観している。つまらない友人。自分自身のことも好きではない。自分も将来はシワシワで弱々しい祖父みたいになるのかと嘆く。そこにアメリカからの使者が自宅に訪問してくる。使者と英語で話している祖父に驚く。淳一は事態を呑み込めていないまま、なぜか祖父と一緒にアメリカに連れられる。

アメリカ陸軍デルタフォース所属のタナー中尉に連れられたのは核ミサイルの単独発射基地。ミサイルの名はピースキーパー(平和の守護者)と呼ばれ、核ミサイル発射基地が完全武装のテロリストに占領されていた。

現場につくと、そこには死体の山と殺気だった兵士がいる。その異様な光景に緊張してきた淳一。淳一は弱々しかった祖父の雰囲気が変わってきていることに気づく。タナー中尉はサキサカが、モーメントアタッカー計画のモデルデータとなった人物であることをいまだ信じられていない。テロリストの前に悠然と歩いていくサキサカ。

サキサカは気合を込めて掛け声を相手の将校にあてる。対応が遅れたスキを突いて至近距離まで近づくサキサカ。あわてて銃を撃つも弾を避ける。密集戦で次々と相手を倒していき、扉周辺を固めていた兵士を全員倒した。銃弾が飛び交う中、すべての兵士を倒した光景に驚くアメリカ兵と淳一。その光景を見てタナー中尉も確信する。

タナー中尉よりモーメントアタッカー計画の内容が語られる。50年前の終戦当時、日本の連合軍総司令部で働くジェシー・ルーミス士官が、日本の元軍人に凄い男がいると聞いて興味をもったことから始まる。

その男には銃弾が当たらず、不思議な体捌きで米兵を素手で倒した。日本の古い柔術の達人の技を目にしたルーミス士官は、その武術の達人を研究することにした。協力を渋る彼に、戦後の物資不足を利用し、食料品を彼の家族に提供することを条件に研究は始められた。

鍛えられた肉体をベースにした、驚異的な目の知覚能力と筋肉共同作業のデータは集められた。そのデータを基に最強の兵士をつくろうとする計画が発案された。それがモーメントアタッカー計画だった。今回の事件の最大の敵レーベンフック少佐を生み出した計画であり、その基礎データとなったのが淳一の祖父・サキサカケンジロウだった!!

瞬撃の虚空<後編>

基地に侵入すると、そこにはすでにテロリストが死んでいた。無線でサキサカに一人で地下に下りてこいと指示するレーベンフック少佐。エレベーターで降りながらモーメントアタッカー計画のその後が語られる。

薬物を投与し、神経に手術を施し、身体は機械を埋め込んで戦闘速度を爆発的に向上させたモーメントアタッカーだが、冷戦終結後の軍備縮小の波で計画は中止されていた。唯一の成功例である少佐はデルタフォースの指揮官となったが、単独行動や命令無視が続き解任されていた。「戦う事が好きな奴が集団の中で浮いちまって…時代に流されたか…。」

エレベーターを降りると、そこはテロリストの死体の山だった。テロを計画した准将も死亡しており、待ち受けていたのはレーベンフック少佐ひとりのみ。少佐がテロ行為に加担した理由は、サキサカと会って勝負をするのが目的であった。

因縁の対決、神速の攻防が始まる。

淳一はタナー中尉よりモーメントアタッカー計画の始まりを聞いた。門外不出であるはずの古流柔術は、決して他者に伝えてはいけない。サキサカもそれを理解しており最初は協力を拒んでいた。それなのにサキサカは何故研究に応じたのか。

それは戦後の日本の貧しさにあった。サキサカの子供(淳一の父親)が重度の肺炎を起こしてしまったとき、治療薬であるペニシリンを手に入れられないサキサカは、ルーカス将軍の取引に応じたのだった。

子供の為とはいえ門外不出の技術を金にかえて流出させた祖父。悔しくて血を吐く思いであったであろうとタナー中尉は言う。父親も祖父が武術の達人であることを知らない様子なので、終戦後は武術を辞めた模様。

二人の対決はサキサカが劣勢。モーメントアタッカーになって初めての充実感を感じている少佐。これまで全力でやりあえた敵はいなかったが、それはサキサカも同じだった。サキサカはお互いを核ミサイルに例える。強い力を持っていても使い道がない。

サキサカは昔の自分を清算しにきたと言い、その姿を淳一に見届けてほしかった。「ラストパーティーだ」と言いながら最後の決着をつけようとする少佐。

電気が消されるも背後を壁にして前面からの攻撃に備える少佐。意表をつき上空より捨て身の攻撃に驚く少佐「死ぬつもりかサキサカ!?」「申した通り!」とトドメの一撃を放つ。「まいったぜ…日本…人」と最後の言葉を残して少佐は地下に落ちていく。

少尉が命綱をつけてサキサカを助ける。その後、食事中に祖父と淳一は会話を交わすようになる。

***感想コメント***

藤田和日郎的怪奇箱 (My First Big SPECIAL)

藤田和日郎的怪奇箱 (My First Big SPECIAL)

 

本作に収録されている中では『瞬撃の虚空』と『空に羽が…』が好きです。ドキドキハラハラしながら、最後は笑顔になれる作品。『からくりサーカス』が好きな人は絶対ハマると思います。ゲメル宇宙武器店と美食王の到着の結末はぜひ買って読んでみてください。

一見弱そうな人物が実は武術の達人だった…は王道の流れですが、だからこそ書き手の表現力が問われる中で、超一流の漫画家が表現。何度でも読みたくなる面白さです。

『美食王(ガストキング)の到着』と『空に羽が…』は怪奇箱にも収録されています。