2014年から2016年までアフタヌーンとマンガボックスで連載していたダーツバトル漫画『エンバンメイズ』の最終巻6巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?
百発百中の男たちが戦うダーツ・バトル!最後の戦いは雨後の天弓・レインボウの名を持つ最強の男が相手となる!烏丸徨との深い因縁を持つレインボウの男に裏ダーツ世界最大のスポンサーが命をベットする。ギャンブル系コミックに新たな風を巻き起こす人気上昇中の賭けダーツ・アクション。烏丸を取り巻く、この世界の秘密の全てが明かされる、大ボリュームの最終巻!
本編あらすじ
肉食蟻の雨が降り注ぐ『アワーグラスカウントアップ』は桂木鈴音が烏丸徨の左手をダーツで刺して失格になる。ルールの盲点をついた行動に観客は納得できていないが、謎の老紳士はルールを捻じ曲げるようなことはしないとして烏丸の勝利を認める。
絹守一馬、剛堂力、柳田陸、志道都が助けに入る。裏口から逃げようとするが、敵の増援がきており、昔いた施設のような場所に確保される。その施設の中にはステージが用意されており、メインイベントがまさにおこなわれようとしていた。
謎の老紳士が登場し、勝利したプレゼントには何が欲しいかと聞かれた烏丸は、「すべての施設を壊してガキを全員解放しろ。オレは人生を始めるためにここまで来た」
謎の老紳士は副賞として「私の自害を以て君の勝利を完璧に彩ろう」と驚きのことを言い出すが、しかし、そんな事態は万に一つもおこらないと烏丸の対戦相手に全幅の信頼を置いている。
そこに現れたのが烏丸と鈴音の施設時代の幼馴染の瀬戸真悟だった。施設で死んだと思われていたが「烏丸と鈴音のおかげで死に損なった」と言い放つ。烏丸達の食事を分けてもらっていた瀬戸は死にきれる程の食事を食べていなかったため中途半端に毒が回ってしまった結果、右足が義足になり、右目も失明しているようだった。
なぜここにいるのか聞かれた瀬戸は、烏丸が世界を下から見たことがないからわからないと答える。「俺も呪いを解くためにここにいる。すべての後悔をただの思い出に変えるため。お前を超えてオレは人生を始めるんだ。最初で最後のオレ達のゲームを始めよう」。
最終勝負ではA・B・Cランクの3つの的があるクライミングカウントアップ。それぞれ点数が1万倍・100倍・1倍される。共に最低ランクのCランクからプレイを開始し、180を取ることで次のランクの的に昇格できるルール。逆に言えば180をとることができないと最終ラウンドまでCランクのままもありうる。このゲームはいち早くランクAまで登り詰め、莫大な得点を稼ぐインフレーションカウントアップとなっている。
絹守はあの二人さえCクラス扱いするマトに不安を覚えるが、それは的中する。突如マトが高速で回転し始める。ランクCの障害は『回転』。
そしてランクBの障害は『レーザー』。ランダムにパターンを変えているレーザーのスキマを縫ってマトに当てなければいけない。
最後のランクAの障害は『風』。目に見えない風の壁によって守られており、その風向きは常に変動し続けている。
敗者のペナルティは敗北したプレイヤー及びその後見人が劇薬入りB級グルメを完食しなければいけないものだった。烏丸の後見人は5人の友人。瀬戸の後見人は謎の老紳士。
勝負の先攻は瀬戸、後攻は烏丸で決定しスタートする。先攻の瀬戸は3本を同時に投げて180を獲得。驚愕する一同。毒入りのビンをお守りともっている瀬戸はいつでも死ぬ覚悟で勝負を挑んでいる「凡才は執念で天才を超える」。対する烏丸は140。
第二ラウンドはランクBに昇格する瀬戸、ランクCに残留する烏丸。できないことに慣れていると言い放つ瀬戸は3本中1本を20に当て2000点を獲得。烏丸も二度目は余裕で180を獲得し、ランクBに昇格する。第二ラウンドが終了し、瀬戸が圧倒的にリード。
レーザーが乱れ飛んでいる中、着実に点を重ねる二人。マトに矢が届いていること自体が神がかっていると評する志道だが、二人はコツをつかんでいる様子。
重圧の中、二人の男は命を以て己の生命を取り戻す。目を背けたくなるような惨状から誰一人視線を外さなかった訳は彼らが何故だか楽しそうに見えたからだ。そして迎えた第6ラウンドで二人の男の何かが切れた。
こんなの難しすぎて当てられねーよと高笑い二人。お互いをビジュアル系の海賊、このヘルメット頭とネタにしながら、会場に高笑いが響く。これほどの地獄には未だかつて出会わなかったと絹守は言う。あれだけの無邪気さを少年のような親しみを込めて彼らは信念のために殺し合う。「なんという穏やかな地獄か」。
ネネと老紳士は兄弟であることが明かされ互いが育てた一流を自分の代わりに命懸けで戦わせていることが判明する。
お互いの対立を円満かつ納得のいく解決法を探し求めた結果、自らが作った戦士たちによる決闘で決着をつけることを選んだ。それぞれ若者の美しさと情熱のために魅了されてしまったため歪んだゲームをしていると告白する。
第6ラウンドが終了し、瀬戸は烏丸が当てられない演技をしていると見抜く。最終ラウンドで瀬戸を出し抜くためにわざとできないふりをしていると読むが、それは自分も実は同じだと言い、ついに瀬戸は第7ラウンドで180を獲得しランクAに昇格をする。
しかし、烏丸は浮かない顔をする。「お前は素直な奴だ。まっすぐなイイヤツは勝負事に向かない」敵が誰だかわかっていないと言い、わざと177にしてBランクへと残った。この事態に青ざめる老人。価値を譲るつもりかと怒りつつ瀬戸はランクAのマトに投げると、ダーツの矢はあらぬ方向に飛んでいく。
ランクAのマトには誰も当てられないことを気づいていた烏丸。実は老人が風を止める細工をしていたが、エラーをおこし風がとまらないようになっていた。
今回のルールの矛盾点を解説する烏丸。このシステムでは一度昇格するとランクを降りることが出来ない点に疑問を持っていた。本当に当てられるマトなのかと考えたら、老人が命を懸けると言った意味も合点がいくと説明する。「これでわかったろ真悟、お前は敵を間違えてる」。
最終ラウンド、瀬戸はやはり風の影響で全てマトを外す。烏丸は泣きながらも投げようとし、最後はしっかりとBランクの的で180点を当て、逆転で烏丸の勝利が確定する。「お前のいるそこが行き止まりだ」。
瀬戸の勝利に命を賭けていた主人は、負けた事実を無かったことにするため部下に全員を射殺させようとする。その時、瀬戸がかつて自分に盛られた毒を矢に塗り、老人の右手に命中させ、自分が射殺されながらも、老人を道連れにした。
「これはオレの花道なんだ」と言い残す。烏丸も「本当はオレもずっと迷っていた」と白状し、笑いながら息を引き取る瀬戸。残ったメンバーは妹のネネが命の保障をし、施設は翌日解体された。
~エピローグ~
志道は剛堂の店で働き始め、皿洗いをしながら女性客を無意識に魅了し売上に貢献している。そこにもうすぐ試合が始まると言いながら絹守が現れる。
施設から出て来た子供全員の生活費を稼ぐために試合に出場している烏丸。メインイベントでは常勝不敗の圧倒的帝王「迷路の悪魔」と紹介される。いつものようにダーツを投げる。
どこかで行こうと願ったのならそこらじゅうで行き止まりにブチ当たる。歩いて迷ってまた戻って何が正解なのかわからなくなっちまった時はこう思え。自分の放った矢はどこへ行く?自分が狙った場所へ行く。
***感想・評価・考察***
ダーツだけでどこまで飽きさせずに話を展開できるのかに注目していましたが、最後までダーツのルールを不規則に変えながら面白さを維持してくれました。