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【金田一少年の事件簿】ベスト名作・傑作事件ランキング

金田一少年の事件簿は、複雑怪奇なトリックもさることながら、犯人たちが罪を犯すにいたった動機も人気の漫画です。彼らはどうしてそこまで被害者を恨んでいたのか。あまりにも辛く悲しいそのドラマに、犯罪者とわかっていながら共感してしまう読者も少なくありません。そんな犯人たちが持つ動機のドラマを考察しながら名作ランキングをまとめました。

金田一少年の事件簿とは

週刊少年マガジンで連載された漫画『金田一少年の事件簿』は横溝正史の小説に出てくる探偵「金田一耕助」の孫を主人公にしたミステリー漫画です。テレビドラマ化もされキンキキッズの堂本剛や、嵐の松本潤が演じたことで注目されました。

最大の特徴は驚きの面白いトリックの数々に加えて、犯人が動機を語るシーンにも力を入れている点です。他作品では事件解決の後に少しだけ触れる程度に留まることが多い犯人の物語ですが、金田一少年の事件簿ではまるまる1話、ときにはそれ以上にわたって「犯人が事件を起こした理由」が説明しているものもあります。

他の推理作品より圧倒的に長い物語は、まるで別の話を読んでいるかのような錯覚すら感じさせます。犯人を主人公とした一つのドラマがそこにはあります。犯行を決意するに至ったその想いは、犯罪者であるはずの犯人に思わず同情したくなるほど。

また犯人が肉親や恋人など「失ったもの」との関係によって共感を覚える人もいるのではないでしょうか。「もし自分が家族や恋人を、誰かの身勝手な理由で失ったら?」と考えるとあなたはどうするでしょうか。

今回は犯人の動機を加味しながら独断と偏見でランキングにしていますが、あらすじやネタバレも含まれていますのでご注意ください。

第1位:オペラ座館殺人事件

金田一ファンなら絶対に名作に挙げるのが『オペラ座館殺人事件』です。第1巻の事件にして最高傑作と名高いエピソードと言えます。この事件は自身を「怪人ファントム」と称した犯人が、戯曲『オペラ座の怪人』に沿った犯行を重ねていくのが特徴。犯人は『オペラ座の怪人』を演じる役者だけあって、普段の顔と犯行を重ねるファントムとしての顔、その2つの演じ分けにも注目です。

普段の顔からは想像もできない怒りや苦しみ、悲しみを見せる犯人は、我々読者にも視覚的にわかりやすい変化を与えてくれます。普段の様子からは「この人が犯人とは思えなかった」という方も多いのではないでしょうか。

愛する人を奪われた悲しみから起きた殺人

なお事件自体に直接的な関連性はありませんが『オペラ座館新たなる殺人』『オペラ座館第三の殺人』といった事件もあります。舞台を同じ「オペラ座館」とし、愛する人を失った悲しみから、その人を死に追いやった関係者たちを次々と手にかける犯人のスタイルが似ています。

2作目と言える『オペラ座館新たなる殺人』は漫画ではなく小説になっています。アニメ映画化された時の原作でノベルスの第1巻にあたりますので、探される際の参考にしてください。

第2位:悲恋湖伝説殺人事件

モチーフとなる怪人は『13日の金曜日』で有名な殺人鬼「ジェイソン」です。ひょんなことからリゾート施設を訪れた金田一少年たちでしたが、近くの刑務所からジェイソンを彷彿とさせる連続殺人犯が脱走したとのニュースが飛び込んできます。しかし実はそのニュースは犯人が仕組んだ隠れ蓑。参加メンバーには隠された共通点があったのでした。

オペラ座館と同様にこちらも「愛する人を失った」という共通点があり、シリーズの中でも一番悲しい事件との口コミもあります。ただ、この事件の犯人のポイントは「動機の中心となる人物との愛がそもそも許されなかった」という点でしょう。

なぜ許されなかったのかはネタバレになるため、原作を読んでいただくとして「愛することが許されなくてもそばにいられればそれでよかった」そんなささやかな願いすらも打ち砕かれてしまった犯人の気持ちを考えると、涙が溢れてしまいます。一番悲しい事件でした。

決して結ばれない二人をさらに引き裂く運命

しかも犯人にとって愛する人の命を奪った憎き相手の情報は「イニシャル」と「ある事故の生存者」という2点のみ。そんな中で犯人は相手を突き止めるために恐るべき行動をとります。それは裏を返せば愛する人への強さに他なりません。行為の残虐性と想いの深さがリンクする作品です。

余談ですが、この「ジェイソン」は『金田一少年の事件簿』において数少ない「後日談」がある人物でもあります。後述する『黒死蝶殺人事件』がそれに該当しますので、『悲恋湖伝説殺人事件』の後に『黒死蝶殺人事件』を読むとまた違った趣を感じられると思います。

第3位:首吊り学園殺人事件

登場する怪人は「地獄の子守唄」です。ファンの間では歴代最強クラスの犯人とも呼ばれ、ほぼ完全犯罪の神回だった。金田一一もミスリードされてしまい、最後はラッキー要素で事件を解決したに留まる。シリーズ屈指の完成度を評価して第3位です。

もっとも印象深いのは最終回の結末。イジメを受けていた生徒の遺作『禁断の愛』に隠された真実を知ったときに号泣してしまいました。

第4位:魔犬の森の殺人

金田一少年たちは迷い込んだ廃病院の中で医大生のグループと知り合います。ところが翌日、彼らの内の1人が遺体で発見されてしまいます。外に脱出して警察に連絡を取ろうとするものの、なんと野犬の群れが建物の周囲を覆っているのでした。

実はこの医大生のグループは、過去に医療ミスによって1人の人物を死なせてしまっていました。その人物こそが「犯人の愛する人」。その人物は重い病気にかかっており、余命わずかと宣告も受けていました。

ですが医大生グループは余命が尽きるよりももっと早く、その人物の命を奪ってしまうのです。「どうせ余命わずかだったのだから」と、医者の卵でありながら命に責任を感じていない彼らに犯人は激しく怒ります。

あと半年のわずかな幸福すらも奪われた犯人

この事件は「命の重さを考える時、残りの長さは関係するのか」を考えさせられる事件と言えます。金田一ファンの中でもっとも不評だったことでも有名な「意外すぎる犯人の正体」にも注目してください。一層、悲しみが掻き立てられます。

第5位:異人館村殺人事件

犯人が復讐するのは恋人のためだけではありません。「家族の復讐」を胸に犯行を行う事件も『金田一少年の事件簿』の中では多いですね。その一つがコミックス第2巻に収録の『異人館村殺人事件』です。

『異人館村殺人事件』の場合は犯人ではなく、その母親が家族を失った復讐心を持っているという、少し変わった話です。ですが、その母親のもとで育った犯人は「復讐を果たすために産まれた」と言われ続け、殺人に抵抗を感じない機械のような人物に育ってしまいます。

感情無き殺人機械が最後に知った愛の結末とは?

読んでみて「確かに環境は同情するけど、そんな犯人に共感できるのか?」と思う方もいるでしょう。ですが犯人は事件の中である少女と出会います。犯人は始め、復讐に利用するために近づいたのですが、いつしかその想いは真実のものとなっていきます。

しかしそれでも母親のため、自らの復讐を止められない犯人は彼女をも手にかけ…『金田一少年の事件簿』は初期に特に残虐な方法が多く、この事件もその一つですが「犯人が最後に見せた顔」にはやりきれなさを感じさせてしまいます。

第6位:タロット山荘殺人事件

続いてはコミックス14巻からの『タロット山荘殺人事件』です。トップアイドル「速水玲香」の誘いを受けて「タロット山荘」にやってきた金田一少年たち。オーナーである玲香の父は、過去のあるネタを元に記者にゆすられ、勢い余って殴ってしまいます。死んでしまったと焦るオーナー。しかし事件はオーナーの意図しない展開に進んでいきます。

一見オーナーが犯人という形で進みますが「実は背後に彼を操る人物がいる」というのが本作の特徴です。真犯人は過去にオーナーによって家族を奪われていたこと、偶然にもオーナーが記者を殴り、その遺体を埋めるところを目撃してしまったため、今回の犯行を思いつくのです。すなわち「それをネタにオーナーを脅し、自らは手を染めずにオーナーに犯行を続けさせる」わけです。

偽りの家族と本当の家族……今も失い続ける犯人

自らは手を染めないという卑劣なやり口のようにも思えますが、それもそのはず。真犯人は「今もオーナーによって家族を奪われ続けていた」のですから。その家族の正体の驚きと「家族を守るため」に、犯人が最後に起こした行動も涙ものの展開です。

第7位:魔術列車殺人事件

コミックス20巻に収録の『魔術列車殺人事件』も注目です。今はすっかりレギュラーキャラクターとして定着した「地獄の傀儡師」の初登場作品であり、彼が手を下した唯一の事件でもあります。

マジックショーを見に来た金田一少年たちは、会場に向かう列車の中で(マジックの開催者である)奇術団団長の遺体を発見。しかしその遺体は次の瞬間、あっという間に消え失せてしまったのでした。

今回の被害者たちは、かつて「地獄の傀儡師」の母親が団長を務めるマジック団体のメンバー。団長は「奇術の女王」とも称された凄腕のマジシャンであったため、彼女のマジックのタネが書き込まれた「トリックノート」を被害者たちは狙い、彼女を死に追いやります。しかし事件は事故死扱い。おまけにそのマジックを元に被害者たちは成功を収めてしまいます。

母親と芸術への造詣、そして宿命の始まり

息子であった地獄の傀儡師には、別にトリックノートが贈られており、その内容が被害者たちの行うマジックと同じものであったことから、彼は母の死の真相を知るのでした。今作では「母親への思慕」というだけではなく、「マジックの女王への賞賛」も含まれています。

自らもマジシャンを目指していた地獄の傀儡師にとって、他人のアイデアを盗み、あまつさえその人物を死に追いやるという行為は到底許しがたいものではなかったのです。その尊敬の念は「事件の思わぬ結末」からも伺うことができます。

この事件をきっかけにシリーズ最強の敵と言える地獄の傀儡師と金田一少年の奇妙なライバル関係も始まりました。犯罪者と探偵、真逆の立場の2人が織り成す「宿命」の糸は、20年経った今も途切れることはありません。

第8位:黒死蝶殺人事件

犯人が犯行を成し遂げるため、その正体を隠して生活を送っている事件も多いです。まずはコミックス第22巻からの『黒死蝶殺人事件』。

金田一少年は「ある男」の写真をきっかけに、その人物がいる屋敷へやって来ます。そこでは珍しい蝶がたくさん飼い慣らされており、特に珍しいとされる「夜光蝶」のお披露目会が行われていました。ところがある夜、屋敷の主人の娘が何者かによって殺害されてしまうのです。

犯人は父親のために今回の犯行を思い立ちます。実は「夜光蝶」は屋敷の主人ではなく犯人の父親が発見したもの。しかしその事実は犯人の父親と母親しか知らなかったはず。後に母親は屋敷の主人と結婚しています。

被害者と犯人の間にあった驚愕の関係とは!?

「母が父を裏切った!?」犯人は父親の名誉を奪い、死に追いやっておきながらのうのうと暮らしている母親が許せませんでした。そこで屋敷の主人やその間にできた子供を殺害し、母親に苦しみを味あわせようとやってきたのです。

その人を直接手にかけず、家族を失う苦しみを味わわせる展開は、それだけ犯人の辛さを示しています。ところが事態は思わぬ結末に。なんと犯人の母親は子供たちを人工授精によって生んだと言うのです。屋敷の主人の子供たちも犯人も同じ父親ということです。すなわち屋敷の子供たちは犯人にとって…「夜光蝶」の存在をばらしてしまった人物の正体など、こちらもやりきれなさの残る作品です。

第9位:魔神遺跡殺人事件

金田一少年の事件簿File(18) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿File(18) (講談社漫画文庫)

 

トンネルを抜けるとそこは神秘的な村でした。そんな言葉を言いたくなるのが、コミックス25巻に収録の『魔神遺跡殺人事件』です。

高校の先輩に誘われて遺跡発掘のバイトにやってきた金田一少年たちですが、同じく遺跡発掘にやってきたメンバーの1人が殺害されてしまいます。彼はその村に奉られている「凶鳥様(まがどりさま)」の怒りに触れてしまったのでしょうか。

犯人は以前誤って殺害した女性に18年もなりすましています。偽って生きていくことは犯人にとって辛く悲しいことでしたが、夫の頼み、そして支えもあって何とかやってこれたのです。ですがその夫も遺跡の落盤事故で命を落としてしまいます。

 18年間周囲を欺き続けた犯人が伝えたい母としての想い

ところが犯人は知ってしまいます。その落盤事故は未然に防げたかもしれないということを。被害者たちは自分たちが抜けがけしていることを知られたくないがために、助言をしなかったことを。さらに被害者たちは後悔もせず、「後継の娘」が帰ってくるので無理矢理にでも契ってしまえば、好き勝手に遺跡発掘ができることを嬉しそうに話しているのでした。

支えになってくれていた自分の大事な人の命を奪ったばかりか、残った家族の幸せまで奪おうとする。しかも目的は遺跡の宝物…つまりお金です。欲に目がくらんだ被害者たちに、犯人が怒りを覚えるのに納得してしまいそうな事件でした。

第10位:金田一少年の決死行

スタートから週刊連載のラストを飾った事件としても有名なCase第7巻、『金田一少年の決死行』も素顔の解らない犯人が出てくる事件です。犯人の素性が先にわかっているという点でも特徴がありますね。

犯人は仮名を「巌窟王」と言い、あの名作「モンテ・クリスト伯」のように地下の暗い場所に長年閉じ込められていたという経歴の持ち主。ですが、今犯人がどのような姿をしているのかはまるでわかりません。事件関係者の中に「巌窟王」がいることは明らかなのですが、犯行のトリックを暴いていく以外に有効な手段はないのです。

復讐に囚われた巌窟王が本当に望んだもの

犯人の動機はもちろん、自分を長年閉じ込め続けた人物たちに復讐することです。実際、その想いに従って犯行を続けていきます。しかし、犯行を終えたあとで犯人は考えます。本当に自分の望みは復讐だったのかと。本当はただ「光のある場所で友人や愛する人と共に普通の生活がしたかっただけ」なのではないかと。

犯行を遂げた後とはいえ、その想いに揺れる「巌窟王」。同時にこの事件は「地獄の傀儡師」の計画によるものであり、犯人が復讐心、つまり「地獄の傀儡師」の意図にあくまで従うのか、それとも金田一少年の推理と説得によって光の下へ踏み出すのかの選択肢でもありました。「巌窟王」がどのような結論を出すのかにも注目してください。

第11位:金田一少年の殺人

犯人はあることがきっかけで大切な人を亡くし、その復讐を求めて事件を起こすというのがミステリーではよくあります。その一方で、今生きている命を守るために犯罪に手を染める人も少なくありません。

続いてはコミックス12巻から、なんと13巻を経て14巻まで及んだ屈指の名作『金田一少年の殺人』です。文字通り金田一少年が殺人犯の汚名を着せられ、逃亡しながら事件の手がかりを掴んでいくという話です。

金田一少年を犯人に仕立て上げて追い込み、なおかつ犯行を重ねていくという犯人の手口、そして今回逃亡劇という性質から、場面展開が他作品より圧倒的に多くなった点も特徴ですね。

全ての行為は娘の命を救うため、ただそれだけの願い

犯人は自分の立場を利用して、「ある犯罪」に手を染めていました。しかしそのことが被害者にバレてしまい、世間に暴露されるのを恐れた犯人は口封じをしてしまうのです。しかし時すでに遅し。被害者は今回、その事実を本にして出版しようとしていたのです。鍵を握るのは4人の人物。公開日までに謎が解けないと犯人の実名が公開されてしまいます。焦った犯人は鍵となる人物のもとを訪れて次々に……

と、内容を見ると犯人はもともと悪い奴というイメージになってしまいがちなのですが、実は犯人が「ある犯罪」に手を染めたのは重病にかかっている愛娘のためでした。娘を救うためには、犯人にとってその道以外の選択肢がなかったのです。

しかし金田一少年たちに追い詰められた犯人は、娘を救うために「ある決断」をします。それはある対価を必要とするものの、娘を救うためのもう一つの選択肢でもありました。犯人は一体何を対価にしなければいけなかったのか、娘は無事に救われたのか、最後まで油断せずに読んでいただきたいです。犯人と金田一少年の最後の会話も切なさがこみ上げてきます。

第12位:天草財宝伝説殺人事件

金田一少年の事件簿File(22) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿File(22) (講談社漫画文庫)

 

重病の娘を救う点では『天草財宝伝説殺人事件』も似ています。『金田一少年の殺人』と異なるのは、犯人はもともと犯罪に手を染めていないということでしょうか。

天草に伝わるお宝を求めてやってきた金田一少年一行。集まったトレジャーハンターの面々は互いに面識もあるようで和気あいあい、時に喧嘩も交えつつ旅をします。が、さっそく1夜目にして1人目の犠牲者が出ます。彼女の胸には十字の傷跡があり、どうやらトレジャーハンターの面々にはそれに覚えがあるようでした。

被害者と娘との隠された接点を知ってしまった!

犯人は重病の娘のためにお金が必要です。ある時、妻の父、つまり義父から「ある人物と自分の妻、ひいては娘との繋がり」を聞かされます。その人物の協力さえあれば娘は病気から救われるかもしれません。しかしその人物と自分の娘との間には、4人の人物が障壁となって立ちはだかっていました。

犯人は「1度は自らの死を覚悟してまで」お金を工面しようとする心優しい父親でしたが、それが失敗し他に方法もない状況では思いついた手段は一つでした。そう「4人の人物がいなくなればいい」と。実際に犯人とその娘との日常のやり取りには、酷い選択肢を選んでいても心を揺さぶられてしまいます。

しかし結局は犯罪です。この犯人も金田一少年によって罪を暴かれてしまいます。ですが、この話には予想外のおまけがついていました。犯人の娘は助かるのですが、その手段、そして誰が助けたのかも注目して欲しい作品です。

犯人は罪を犯しましたが、娘が助かったことでその心も救われた、罪をきちんと悔いて改めたいと思えた、そんな切なくもハッピーエンドの作品です。本事件はシリーズ屈指の難事件としても評判の回です。

第13位:ゲームの館殺人事件

短期連載として発行された『ゲームの館殺人事件』は、自身の過ちによって子供を不幸にしてしまったことを悔いた犯人が、犯罪という方法で子供を救うという話です。こちらも大筋は似ていますが、子供が大病というわけではない点が異なりますね。

昔の友達と遊園地にやってきた金田一少年ですが、ひょんなことから犯人に囚われ、廃病院と思われる謎の施設に閉じ込められてしまいます。各部屋には鍵がかかっており、犯人の出す謎に答えないと次の部屋に進めないというゲームのようなシステム。同じく閉じ込められたメンバーたちは半信半疑ですが、罰ゲームと称し、部屋を火事にしたり毒物を仕込んだりする犯人に恐怖に感じていきます。

行動するなら今しかない! 犯人の覚悟と法の落とし穴

そしてゲームに回答できなかったことを理由に、2人の命が奪われてしまう。金田一少年たち生き残った側も最後の部屋までたどり着いたものの、催眠ガスによって眠らされ、気がついたら警察に助けられていたという始末。集められたメンバーは金田一少年と同様に遊園地に来ていたようでしたが、一緒に来たというグループ同士でしか顔見知りではなく、犯人の動機などもまるで掴めません。

今回犯人は子供を救うため、「法律の盲点」をついてきます。盲点というより、それを利用して犯罪を行ったというべきでしょうか。ポイントはなぜ「その順番」で犯行を成さなければいけなかったのか? という点です。またこちらも天草財宝と同様に、知らなければ良かったかもしれない隠された繋がりが存在します。

さらに犯人には、「今犯行を遂げなければいけない」重要な理由がありました。ありきたりなパターンかもしれませんが、そのタイミングだからこそ、子供に親らしいことをしてあげたいと考えた犯人には共感できる親御さんも多いのではないでしょうか。

もちろんこの事件も金田一少年の推理によって目論見は崩されますが法律は法律。子供のもとには犯人によって大金が入ってきました。果たして子供はその大金をどうしたのか、そして犯人はその行動に何を感じたのかにも注目してみてください。

まとめ

推理作品を含め、ここまで感動し、犯人に感情移入したくなるミステリー漫画は金田一少年の事件簿以外にないのではないでしょうか。だからといって犯罪を許してはいけないのですが、「被害者とはいえ殺されて仕方ないともいえる人間のクズや極悪人がいること」や「法律が何もしてくれないこと」には疑問や怒りを感じます。

2015年9月現在で『金田一少年の事件簿』はファイル数(事件数)にして実に42を誇り、さらに短編集や『オペラ座館新たなる殺人』のようなノベルス作品など、かなりの事件が発表されてきました。その多くが感動的で思わず唸ってしまうような動機があります。新しい事件が起こるたびに、なにが正しいのか誰が悪いのかと、困ってしまう人も多いのではないでしょうか。

罪を憎んで人を憎まず、金田一少年の成長と犯人の改心

一方で、「罪は犯したけれど犯人にも救いが残されている」ことも『金田一少年の事件簿』の魅力です。ときに動機となった人物が、ときに金田一少年が、言葉や行動で犯人の行為に対して説得と許しを与えてくれます。初期段階では犯人自身が亡くなってしまうなど救われない展開も見られますが、金田一少年の成長とともに、犯人が「心身ともに救われる」確率が増えてきています。

「誰かのためとはいえ罪を犯したのだから裁かれて当然だ」ではなく、理解や許しを与えることによって、自分でその罪を省みる機会を与えているのですね。

「被害者が一番悪」と感じる事件もありますが、裏を返せば犯人の多くは善人に他なりません。本当は良い人だからこそ、金田一少年たちの説得に耳を貸し、自分の罪を悔い改めようとするのでしょう。

犯人側の想いの強さゆえに「犯人が正義」になりがちな『金田一少年の事件簿』ですが、こうした結末の展開によってバランスが取れているのかもしれません。犯行を思い至った経緯から犯行時の緊張感、そして真相解明時の周囲への告白、エピローグと最後まで犯人の心の変化に悩み、考え、共感を呼ぶ。それが『金田一少年の事件簿』という作品だと感じます。今回紹介した事件以外にも、名作事件は多くあり、トラウマになるほど怖い事件や殺害方法がおこなわれた回もありますので、ぜひ読んでみてください♪