2012年8月に発売された週刊ヤングジャンプで連載中『キングダム』26巻の感想ネタバレまとめ
麃公将軍の突撃で早くも趙軍と激突した飛信隊。麃公は戦場に臭いがないことに気づくが趙軍副将・慶舎の罠にかかってしまい、窮地に追い込まれてしまう。そんな中、信はいち早く異常に気づき味方の中を逆走して、窮地を救うが・・・。
目次
第273話 趙軍の指揮官
第274話 蜘蛛の巣
第275話 本能型の才
第276話 鳳明の手
第277話 桓騎、向かい合う
第278話 父子の情
第279話 蒙恬の剣
第280話 部隊長の質
第281話 莫邪刀
第282話 王騎が認めた男
第283話 互いの自負
本編あらすじ
合従軍との戦いがついに開戦。飛信隊を含む麃公軍4万は、李牧が全幅の信頼を置く趙軍副将・慶舎(けいしゃ)率いる12万の軍勢と戦う。麃公と同じ本能型である慶舎は、並外れて勘の鋭い麃公の動きを理解するが故に巧妙な策を仕掛けてくる。
兵の表情や目線などから敏感に戦場の動きを感じ取る麃公に対し、慶舎はあえて自軍に自らの作戦を伝えなかった。幕僚から防御の型をと言われるが、李白はそういう指示なのだと未だに自軍を動かさない。さらに連動する将の軍にも一切の計略を禁じたことにより、麃公が本来察知すべき戦の情報を完全排除。
慶舎の思惑通り、麃公がこの戦場に臭いがないと戸惑い始める。徹底した麃公対策により、麃公は慶舎の策にハマり、後方から迫る万極(まんごく)将軍の隊に挟みうちをかけられてしまう。李牧は「慶舎本人が本能型の将軍なのだから」と麃公と同類であると明かす。
その時、いち早く後方の動きに気づき、本能的に急遽逆走していた信は、麃公軍の後方部隊が万極軍に攻められている戦場へ駆けつけ、檄を飛ばす。覚悟はいいか趙兵共と信は趙軍に吼える。目前の相手は因縁の万極軍。
王騎の矛を受け取った男に本能型の武将の才が目覚めてきておるぞと笑いが込み上げる。後方部隊が手遅れの状態になる寸前で麃公兵は信によって士気を取り戻し、飛信隊に呼応するように後方1万の敵軍に挑む。
一方その頃、函谷関。桓騎軍千人将オギコ。独特の頭髪なオギコが城壁から矢を放つ。張唐将軍の持ち場の城壁に、魏将・呉鳳明が特殊設計した対函谷関用の巨大井闌車(せいらんしゃ)によって梯子がかけられてしまう。
呉鳳明は「対函谷関のために俺が設計したのだから」と自信たっぷりに言う。これにより魏軍が城壁へなだれ込み始めるという危機的状況に。
呉鳳明は父が殺された戦い、前年の山陽を奪われた戦いを思い出す。さらに2台目の井闌車が桓騎将軍の持ち場の城壁へ梯子をかけるが、ここで桓騎将軍は樽に入った油を投げつけて火矢を放ち、登り来る魏軍もろとも井闌車を焼き払うことに成功。
油と火で、井闌車の最上階まで燃え上がり魏兵も共に焼き尽くす。桓騎軍副長格の男があんなに大量の油をどこからと考えていたら、副長格の女性が咸陽の備蓄庫からごっそりかっぱらってきたそうだと教える。
張唐将軍の持ち場も、一時は騒然とするが将軍が指揮をとり城壁に登り来る魏軍を冷静に刈り取って行き、ひとまずは劣勢から持ち直していた。
そして同時にその頃、函谷関の左の戦場。蒙武・騰連合軍9万対楚軍15万の最大規模の戦が展開されていた。五万の軍を率いる楚軍第一軍の将・臨武君は、項翼・白麗ら若手千人将を引き連れ爆進。出陣前の父子のシーン。対する秦軍は、蒙恬・王賁らが所属する騰軍がその第一軍を討つという作戦だった。
項翼の重い斬撃を蒙恬が直前で受け流せば、死角からの蒙恬の突きを勘で項翼がかわす。敵が手強いとみた項翼は信の言葉を思い出した。項翼隊が宝剣を抜く項翼に息をのむ。蒙恬が項翼につかまり、手こずっている間に騰軍軍長・録嗚未が臨武君の本陣まで突破をかけ、臨武君と対峙。一騎討ちが始まる。
そこへ更に鱗坊軍長が現れる。討ち死にした同金の仇である臨武君に対し、鱗坊は録嗚未に加勢しようとするが、その時遠方から放たれた白麗の矢に鱗坊は貫かれてしまう。
手を出すなと臨武君に言われても白麗は手を止めない。第一軍の大将を守るため、義兄(自分の姉の夫)を守るために強弓を弾く。戦況を見守っていた蒙恬は、白麗の弓に危機感を覚え、録嗚未の援護と先々のために白麗を始末しに向かい、蒙恬が白麗をとらえようとするが、白麗を守るべく項翼が駆けつけ、蒙恬に一刀を浴びせる。
白麗を援護に現れた項翼が隊で白麗と連携を取り出し苦戦。その時王賁が現れ蒙恬の援護に加わり、激しい打ち合いが始まった。
王賁は項翼と蒙恬の間に割って入ってきた。新手の秦軍に白麗は弓隊を素早く後方に下がらせる。王賁の参入でより蒙恬は共に本陣に向かおうとする。項翼が愛剣を遂に戦場で高々と掲げる。五大宝剣の一振「莫耶」。玉鳳の番陽は魂が宿る妖刀、斬られた傷は生涯ふさがらないと恐れる。王賁は項翼と蒙恬は伝説は尾ひれがつくが力はあると警戒しつつ、王賁に二人で当たるかと問う。
一方、鱗坊を失い、臨武君と一騎討ちになっていた録嗚未は苦戦していた。矢が来ると分かれば中ることはないと録嗚未が余裕を見せるが、臨武君はいつまでもつかなと冷笑を浮かべる。馬上から叩き落とされ、絶体絶命の危機に陥っていたその時、戦況を見守っていたはずの騰将軍が出現。ファルファルファルの快音と共にちぎれた楚兵が渦を巻くのだった。楚兵をなぎ倒しながら直々に臨武君の前に現れる。
開戦前。蒙武「貴様の持ちかけてきた作戦は俺達の考えていたものと全く同じだった。貴様らが敵の第一軍を討ち、俺達がその後から来る第二・三軍を討つ。だがこの作戦の問題は貴様が本当に楚第一軍を討てるかどうかということだ。そこでくじければ、もはやこの戦場は一方的な守りの戦いに陥ることになる。自信はあるのか、貴様に。」
そして騰と臨武君の一騎討ちが始まった。激しく打ち合う2人。広大な楚国で将軍にのぼり詰めた自らの強さに絶対の自信を持つ臨武君に対し、騰は「お前は修羅場をくぐってきた己の力に絶対の自信があるのだろうが、私には中華をまたにかけた大将軍王騎を傍らで支え続けた自負がある」と誇る。
臨武君は「時代が同じなら俺に討たれていた、天下の大将軍足るのは楚将だけだ」と猛然と騰に襲いかかる。臨武君に妻・白翠の走馬灯を駆け巡り、両軍が息をのむ。そして騰は臨武君に勝利。衝撃の大番狂わせとなった初日早々の報せに、戦場は騒然となる。楚軍第一将を倒した秦軍が一斉に勝ちどきの声を上げる!