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【キングダム】感想ネタバレ第43巻まとめ

2016年8月に発売された週刊ヤングジャンプで連載中『キングダム』43巻の感想ネタバレまとめ

キングダム 43 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

キングダム 43 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:原泰久
  • 発売日: 2016/08/19
  • メディア: Kindle版
 

覚醒する飛信隊!! 黒羊戦の鍵と成る。一進一退の攻防を見せる黒羊の戦い。飛信隊の渾身の進撃で戦は激化し、桓騎の眼が怪しく光り出す…。一方、趙将・紀彗は奮迅の働きを見せるも、趙軍総大将・慶舎が予期せぬ行動に…!! 黒羊中を激熱が包む!!

目次

第460話 飛信隊の楔
第461話 黒羊の大一番
第462話 困惑の夜
第463話 離眼の悲劇
第464話 焦れの限界
第465話 掌上の戦場
第466話 李牧級の男
第467話 狩られる側の風景
第468話 "吉"と"凶"
第469話 一瞬の出来事
第470話 俺の背中

本編あらすじ

趙軍・劉冬の寝所に単独で潜入し暗殺を試みたものの、致命傷を与えるに至らず自らも負傷してしまった羌瘣。夜襲に気づいた趙軍の追手から逃げる最中、羌瘣は意識を失いながらもとある集落にたどり着く。戦争の苛烈さとは一線を画した静寂に包まれた集落。そこでは一人の老婆が羌瘣の馬に話し掛けていた。主人が心配だろうけど、お前もキズだらけだから早く休みなと。老婆は昼間に羌瘣と会ったことを思い出していた。

羌瘣は秦と趙の戦争が始まるため、集落の長に皆をすぐに退避させるよう伝えろと命令した。老婆は自分がその長だと言い、口調から羌瘣が秦国兵だと判断した。そして、忠告しに来るくらいなら、最初から他人の土地に入ってくるな侵略者がと吐き捨てた。しかし、羌瘣はそれでも退避をと続けた。意識がはっきりしない中、羌瘣は飛信隊に戻らないと、呟いていた。

一方、黒羊丘の戦いは、3日目を迎えていた。飛信隊と相対していた馬呈は飛信隊の攻めの巧さに翻弄されており、かなり押し込まれていた。そこに劉冬が現れる。劉冬は血の気が引いた顔色であったが、立て直しを図ろうとしていた。持ち場であった右の戦場の主導権を手にした飛信隊は、右の戦場の主導権を戦場全体に広げるため、飛信隊の九割を中央の丘の攻めに移動させると決断する。

戦の要となる中央丘へと進出。桓騎軍が次の攻め手を何種類も選択できるという戦況をつくりだすという最大限のお膳立てをしつつ、様子を伺っていた。劉冬はその動きを見て、秦のキレものは桓騎だけではなく、飛信隊の軍師もまたキレものだと感じていた。そして、この場にいた指揮官全員が同じことを考えたのであった。この瞬間を桓騎が逃すはずがないと。

飛信隊が作り出した趙軍圧倒の最大の好機。黒桜軍は桓騎の指示が来次第、すぐ動けるよう行軍の準備をしていた。今、桓騎軍は絶好の戦況にあり、いかようの手を使っても大いなる戦果を望める状況にあり、それ故桓騎がどんな手で攻めてくるかわからなかった。河了貂は桓騎は頭脳で勝負する将軍であり、策を我流で生み出す天才と評していた。貂をはじめ敵将・慶舎や紀彗、桓騎軍の黒桜らその場にいる指揮官たち全員が、この3日目にして最大の好機における桓騎の動きを見守っていたが、なんと桓騎はこの好機を完全にスルー。一切何もせず、3日目を終わらせてしまう。

この好機を演出した河了貂は怒りを那貴にぶつける。那貴はおれに詰め寄るなといなすが、貂の怒りは一向に収まらなかった。ただし那貴は桓騎は基本ふざけているが、無駄なことは好まない人物であり、今回のこの行動の方が得をすると思っての行動だろうと推測する。貂はそれは何だと聞くものの、それは那貴もわからなかった。

黒桜は摩論の陣を訪れる。黒桜は桓騎からの連絡があるかと尋ねるものの、ないと返事される。黒桜と摩論は今回のこのような行動は時々あるもので、明らかに確信的であり、それは何かわからないものの、桓騎を信じて戦うまでとした。黒桜は紀彗について尋ねる。現れただけで兵が倍強くなり、自ら乱戦に加わる武勇と兵法もあり、さらに兵の心の掴み方が尋常ではなかったと印象を語る。摩論はそれを聞き、まるで大将軍級と評した。

羌瘣は集落の小屋で目を覚ます。起きようとするものの、老婆から寝てるように注意される。老婆は紀彗の離眼軍は趙軍の中でも一位、二位を争う強さがあると忠告するが、羌瘣は紀彗も離眼もその武名は秦まで届いてないと反論する。劉冬との斬り合いの際に拾ってきていた『離眼の守り子の像』を見た村の長から、紀彗、馬呈、劉冬らの哀しい過去である離眼の悲劇を語り出した。

15年ほど前、趙国・黒羊近くの一帯には離眼と暗何(あんか)という2つの城があった。力で圧政をしく暗何の城主・唐寒(とうかん)と、善政で民からの信頼が厚い離眼の城主・紀昌(きしょう)は、長年にわたり地域の覇権をかけて互いに争っていた。

王都邯鄲はこれをよくある地方の小競り合いと思っていたが、実際は激しい戦争であった。兵数は暗何の方が倍以上であったが、戦上手の紀昌と猛者揃いの側近たちの活躍、さらには紀昌の息子・紀彗が、共に兄弟のように育った亡き腹心たちの子である馬呈や劉冬らとともに頭角をあらわしはじめ、戦局は離眼の方に傾き出していた。紀昌は劉冬、馬呈の育ての親でもあった。

勢いを増す離眼に対し、財をはたき周辺の兵を駆り集め、離眼の5倍の兵を率いて決戦"旦虎の戦い"に打って出た暗何軍だったが、凄まじい戦いの末に最後は五倍の敵をかいくぐった紀彗が自ら暗何城主・唐寒を討ち取り、戦は離眼軍が勝利することとなる。

しかし、『旦虎の戦い』で打ち取られた唐寒の息子・唐釣(とうきん)が、軍留守中の離眼城を急襲。離眼の城内には劉冬、馬呈もいたものの、ほとんどは旦虎から帰還した重傷兵のみであったため、離眼は落ちてしまい、城内にいた女・子供・老人全員を人質にとり、離眼城主・紀昌と将校・兵の投降を迫ったのである。

紀彗は唐釣の卑劣な手に屈しないよう紀昌に迫るが、紀昌は自分は武将の前に離眼の城主であり、側近達は離眼の大人達だと言い、親が子供のために命をかけるのは当然であると紀彗の懇請を退けた。紀昌と将校達の命と引き換えに、成人以下の残兵と女・子供・老人たちの命は見逃すという条件をのむ。

人質交換の際、紀昌は劉冬と馬呈に会う。劉冬と馬呈は涙を流し、土下座し、離眼を守れなかったことを詫びた。しかし、紀昌は二人が生きていたことを天に感謝し、門出の意味も込めて、偶像を返した。

趙の朝廷の仲裁軍が場を執り仕切る。そこには李牧もいた。紀彗たちの目の前で離眼の大人達は火刑により焼き払われてしまう。紀昌は離眼の民に向かって叫ぶ。紀彗がこれより離眼の城主だ、若き父だ、皆で支えよと命令し、紀彗には離眼の子らを守り抜け、頼んだぞ倅よと最期の言葉を口にした。

かくして離眼の城は主だった大人達をほとんど失ってしまったことにより、趙の中でも紀彗の名が広まることは無かったのである。その後紀彗は若き城主となって離眼を支え、わずか5年ほどで離眼の兵力を復活させる。加えて3年で暗何をも屈服させ、紀彗はついに一帯の盟主となったのである。

紀彗軍の強さを語り、羌瘣の怪我の深さを案じて村にとどまるよう促す村長に対して、羌瘣は、敵が強いのであればなおさらに早く隊のもとへ戻らなければと聞かず、どんな相手であろうと負けるわけにはいかないのだと改めて心に誓うのだった。

そして4日目。早朝、桓騎からの伝令が信の元に訪れていた。伝令は飛信隊にその場に踏みとどまるようにと桓騎の指示を伝えた。味方ですら理解不能な桓騎の判断に、指揮官たちも桓騎の動きを読むことができず、各所ではそれぞれが膠着状態となっていた。

飛信隊の後方は馬呈の攻撃に苦戦していたため、徐々に主力を後方に回していった。しかし、一向に気配を消し続ける桓騎に苛立ち、しびれを切らした慶舎は、秦軍右翼を担う飛信隊を標的に自らが出陣。飛信隊は、中央丘のふもとで絶体絶命の窮地に陥ってしまう。信の前に怒りに満ちた慶舎が現れる。しかしその頃、同時に丘の中腹では、ゼノウ一家が紀彗軍の布陣の中に突如現れ、紀彗のいる本陣には目もくれずに爆走を始めていた。

ゼノウ一家の目的は、飛信隊を急襲しようと丘のふもとまで下がってきていた慶舎だった。ゼノウ一家は圧倒的な武力で慶舎軍を破壊して行き、ついには総大将・慶舎の目前へと迫る。桓騎は、これらの展開を全て計算した上で飛信隊をエサにし、慶舎を誘い出したのであった。3日目の沈黙も含め、全ては桓騎の戦術の上での結果だったのである。

秦軍最大の好機演出から一転、飛信隊は消滅の危機へ堕つ。慶舎は飛信隊を殲滅させるべく、突撃をかける。慶舎は飛信隊の中央を切り裂いていく。河了貂は飛信隊を分断し、後方の楚水、渕さん達のところまで貫き、崩壊させる意図を察知する。河了貂は信に対して、何としてでも止めろと指示を出す。信はわかってると返し、岳雷と我呂と共に止めに入るが、長くは持たない可能性があった。

河了貂は後方へ下り、退却の指揮をとるとした。劉冬は慶舎の動きをみて、飛信隊を屠る気であると理解し、飛信隊の包囲にかかる。紀彗は自陣からその様子を見て、飛信隊が一溜まりもなく、殲滅されるだろうと推測した。

しかし、それでも紀彗の心はざわつき始めていた。趙軍総大将慶舎の突撃により、飛信隊は壊滅の危機に瀕していた。信も我呂も慶舎軍の勢いを止めることはできなく、圧倒的な劣勢となっていた。そして、ついに飛信隊は分断されてしまう。

飛信隊後方では河了貂が指揮を執っていたが、劉冬の包囲布陣に対し、弱点を見出すことはできないでおり、一点突破で包囲の外に出ることで全滅を避けようと考えた。信も飛麃もいない後方では楚水しか頼れる人物はいなかったため、楚水の元に兵力を集めようとする。

黒羊丘攻防戦四日目、慶舎は自ら隊を率いて飛信隊撃破に向かったが、逆に桓騎の罠に嵌り、ゼノウ一家に包囲され、壊滅寸前であった。桓騎はその光景を遠くから眺めていた。桓騎は慶舎が主力を飛信隊分断に出したのも計算通りと豪語し、桓騎はしっかり目に焼き付けて死ね、それが狩られる奴の景色だと慶舎を見下し、笑っていた。それはまさにゼノウが慶舎と対峙する直前であった。

離眼城では女子供達と老婆達が集まっていた。そこでは黒羊丘にある集落から趙軍が敗退しそうであるという情報が流れていた。その情報に子供達は恐れおののいていた。老婆は子供に紀彗は出陣前に強くあれと伝えたことを思い出させた。紀彗は崖を全力で駆け下り、ゼノウ一家に突撃をかけていた。紀彗は個々の武力はゼノウ一家が上であると瞬時に判断し、士気で大きく上回るために、頭であるゼノウに対して、突っ込む。

紀彗の機転で急襲の刃が鈍るゼノウ一家。紀彗はゼノウ一家に割り込んで入っていったが、苦戦を強いられていた。ゼノウ一家の包囲は想像以上に固く、紀彗は自ら率いる離眼兵でも混戦に持ち込むのがやっとであり、慶舎の脱出までは届かないと感じていた。

しかし、紀彗より少し離れていた慶舎は冷静に部下達にもうすぐ機が訪れると落ち着かせた。草むらの中にいたゼノウ一家の兵士が矢で紀彗を狙い、標準を合わせる。まさに矢を放とうとする瞬間、馬呈がその兵士を一刀両断した。
ゼノウ一家について行こうとした尾平達はその速さについていけず、丘の途中に残っていた。そこには黒桜軍の兵がおり、黒桜の全軍突撃の命に血が湧き上がっいて、尾平達もその兵に加わって戦うように命令した。黒桜はこの半日で丘を奪取するつもりであった。

紀彗、馬呈、劉冬は丘で奮戦していた。しかし、そこに周邦の壊滅の報が入る。紀彗軍は周邦、黒公、連苛の三点が鍵であり、その三点が奪われれば丘は黒桜の手に落ちてしまうのであった。黒桜はそれを見抜き、周邦に続き、黒公にも猛火を浴びせていた。三十分前、飛信隊では信の慶舎を討ちに行くという言葉にざわついていた。怪我人が多い中で、自陣に戻った慶舎を討つのは不可能と反対の声が多かったが、河了貂は起死回生の一手となるかもしれないと考えたのだ。

鋭く華麗なる剣舞と共に羌瘣は飛信隊に帰還する。突撃の鈍る飛信隊に復活の息を吹き込む。羌瘣は私の隊はいるかと叫ぶ。そうするとここにと返ってくる。羌瘣はそれを聞き、河了貂にここは引き受けるとして、敵将が態勢を整える前に突っ込めと言う。

そこに信が現れ、羌瘣に今まで何してたと問う。羌瘣は寝てたと答えるが、様子から信は羌瘣が怪我をしており、まだだいぶきつそうであることを認識する。しかし、羌瘣は大将首を逃す前に早く行けと急かす。信は今度は後ですぐに会うぞと言い、足止めを羌瘣に任せる。そして、羌瘣は劉冬と向き合う。