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【傷だらけの仁清】感想ネタバレ第15巻(最終回・最終話・結末)まとめ

2005年から2011年までビジネスジャンプで連載していた『傷だらけの仁清』の最終巻15巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。高校鉄拳伝タフの作者が描く任侠漫画の結末(ラスト)はいかに!?

傷だらけの仁清 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

傷だらけの仁清 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:猿渡哲也
  • 発売日: 2014/10/10
  • メディア: Kindle版
 

暴漢に刺され意識不明の仁清。脳裏にはヤクザの道を歩み始めた、若かりしあの頃の記憶が…。坂巻組長との出会い…。仁清に行儀を教え、成長を見てくれた恩人の死…。漢・仁清を育んだ至極のドラマが明らかに!そして病院で目覚めた仁清。その横で円城寺の友人、片岡が涙を流す。その理由とは!?熱き漢のドラマ、ここに完結!!

本編あらすじ

仁清の過去の回想。仁清の組の大先輩である岩政の兄貴が撃たれて亡くなる。仁清は岩政から教えてもらったトイレ掃除や生き方について教えてもらった話を思い出す。男が男であり続けるには才能と努力が必要。無様な姿を晒さず我慢が大切で、侠(おとこ)を全うしろと教えられた。

岩政の兄貴を殺したのは岩政の妻の前の亭主だった。組は岩政を殺した犯人である江角を捕まえる。組員は江角を殺そうとするが、相手を殺してはいけないと仁清は止める。そこに組長が出てきて江角を殺してもなんの得にもならないと言い殺さずに終わる。

その後も岩政の教えを守りトイレ掃除を頑張る仁清。トイレに一輪の花を飾る。岩政の霊から「生きて五感六力を鍛えろ」とアドバイスされる。仁清はようやく自分が生死の境にいることを自覚する…。

仁清が意識を戻すと病院に入院していた。そこには涙を流す片岡の姿があった。仁清が助けたのは片岡の娘で、それ以降娘の真奈ちゃんと仲良くなる。それから色々あり片岡の親子関係も徐々に修復されていく。

退院してからお寺の住職を訪ね、臨死体験から自分を生んでくれた母親を考えるようになり、憎めないと語る。「罪の意識に苛まれ生きてる限りずっと苦しみ続けなければならない。これは地獄だぜ。母親には捨てられた恨みつらみよりも憐れみを感じる」そうした思いから、ちゃんと生きることが親孝行だと考えるようになる。

片岡の娘・真奈から虐待監禁されている友達の紗希を助けてほしいとお願いされる。紗希は自宅で髪を切られ坊主にされていた。円城寺小百合からは確証を得てから児童相談所にお願いしたほうがいいと言われるが、それでは遅いと紗希の家に強引に乗り込む。

仁清が強引に部屋の扉を開けると、そこには自殺未遂をしていた紗希がいた。一命はとりとめた紗希だが、義理の父親の子供を妊娠していた。母親にも親友にも誰にも相談できずに、地獄以上の地獄で生きていた。ついに母親は泣きながら父親を責める。

第113話 不抜

売春している少女ハルカや認知症の妻を殺害した老人・岡崎の話。施設を脱走しては援助交際をしているハルカ。14歳で妊娠出産もしている。仁清は母親も本当は気にかけていると話すが、ハルカから世の中には子供を愛せない親もいると言われ、子供の顔を見るたびにイラつき、殴りたくなる親がいるんだと言われる。

一方で老人の岡崎は刑務所から出所してきたばかり。理由を尋ねたハルカは妻を殺した罪で服役していたと岡崎から言われ言葉を失う。認知症になった妻が壊れていくことのが辛く、罪人になる覚悟で殺した岡崎。

ハルカから自分勝手だと言われるが、岡崎は生きていくのが贖罪になると答える。3年で出所したが、それで罪は終わらない。生きているから冥福を祈ることができ、生きているから苦しみを味わい続けると考える老人に「確かに死ぬのは楽だもんね」と少女ハルカも納得する。

いつからだろう、この国が生きにくいと思うようになったのは。生きていくだけで傷が増えていく。傷が癒えた頃また傷が増える。この国に明るい未来があるのかわからないが、それでも希望は捨ててない。人は傷ついた分だけ強くなってしっかり生き抜いていくものだから。

最終話

仁清は二週間の休みを取って被災地の災害ボランティアとして参加する。泥を含んだ布団や畳の悪臭と重量に驚く仁清。瓦礫の中に一枚の写真を見つける。テントの中でどんなに辛くてもその現実を受け入れなければ先に進めないことを理解する。

仁清はマザーテレサの言葉「やらぬ善よりやる偽善」を思い出しながら「とにかくなにかをやらずにはいられなかった」と自身の行動理由を振り返る。被災地で夫と息子夫婦を失った老婆から「海を憎んでるわけじゃない。みんな海で生きてきたんだからね。海があったから生活できてたんだ」との言葉を聞く。

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新宿の景色がたった二週間しか経っていないのにまるで違う景色に思える仁清。新宿の雑踏で円城寺(旦那)の幻を見て「俺もまだ現実を受け入れてないのか」と心の中で言葉を漏らす。

www.manga-diary.com

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***感想・評価・考察***

傷だらけの仁清 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

傷だらけの仁清 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:猿渡哲也
  • 発売日: 2014/10/10
  • メディア: Kindle版
 

身体には無数の刀傷や銃痕が残る伝説のヤクザ永井仁清の任侠漫画。最後は打ち切りを思わせるような突然の最終回でしたが、人生訓が豊富にあり名言も多い。人生と仁清をかけているのかなと勝手に解釈しています。義理人情を重んじる心優しい元ヤクザが現代をどのように生きるのか。王道的でありながら読者を飽きさせない面白さがありました。