2001年から2005年まで週刊少年マガジンに連載していた安童夕馬原作、朝基まさし作画の大人気漫画『クニミツの政』の名言や名場面をまとめてみました。
クニミツの政とは
中学中退の武藤国光が政治家秘書になって、都心から少し離れた地方都市の市長選を舞台に、天才選挙参謀の吾妻光明と一緒に選挙を戦っていく物語です。作中では選挙に関する話題だけではなく、学校教育、農薬、医療問題など様々な社会問題も取り上げているのが特徴で、2003年には武藤国光役を押尾学主演で、テレビドラマ化。2003年講談社漫画賞少年部門受賞。
名言まとめ
殴ったら政治じゃないよ。国民に殴り合いをさせないためにぼくらはいるんだから。
(引用:『クニミツの政』1巻)
坂上竜馬がクニミツに伝えた言葉。悪徳政治家に殴りかかったクニミツを身を挺しながら政治家の本質を伝えた。クニミツは暴力だけでは人も国も動かせないことに気づく。
文句があるならまず投票に行くべきだ。
(引用:『クニミツの政』3巻)
坂上竜馬が家族やクニミツに伝えた言葉。学校の生徒会長に不満を募らす娘に、その生徒会長を選んだのは自分自身だろうと気づかせる。今の日本の政治家たちはすべて選挙で国民に選ばれた人間ばかりだ。なのに日本人たちはろくに投票にもいかないで何かあれば政治家が悪いと文句ばかり言っている。と日本の投票率の低さを嘆く。
天命あるものすべからくおしなべて悪運強し
(引用:『クニミツの政』6巻)
天が使命を与えた人間はピンチをチャンスに変えるという意味です。クニミツの強運に対して吾妻が思った言葉。名市長と呼ばれ国会議員も務めた坂上竜太郎が口癖みたいに言っていたというエピソードが紹介されています。
政治をやるもんは何を忘れても人の顔だけは忘れちゃならん。
(引用:『クニミツの政』6巻)
後援会の人から言われた一言。ゴミ漁りをしていたときにバッタリ会った後援会にきていた人を覚えていたクニミツ。勉強もできず中学中退のクニミツだが人の顔を覚える記憶力だけはいい。
政策に著作権なんかないんですから。
(引用:『クニミツの政』7巻)
市長選に出馬する坂上竜馬が青空講演会で市民に伝えた言葉。元松戸市市長の松本清が実践していた出前制度についてそのメリットを語る。
やる気を出したって先生たちの間で浮いたり逆にイジメられたりするだけで…。給料だって頑張ったってちっとも変わんないんですから。
(引用:『クニミツの政』11巻)
新千葉ヶ崎第一小学校教員の弐藤園光の言葉。吾妻曰く旧国鉄と同じそうで、働いても働かなくても評価に大した差がでないからサボるのが普通で、ヘタに頑張ったりするとサボってる連中がやりづらくて文句を言いだす始末だったらしい。
この世の中はな、なにやるにも勝ち負けがついて回るんだ。
(引用:『クニミツの政』12巻)
クニミツが小学生に伝えた言葉。多数決で選ばれない人がいるのは可哀想だと言われたときに、おめーら大人んなって世の中に出てそんな甘え考えが通用すると思ってんのか?と伝える。
政治家と一緒んなって一心同体で24時間戦い続ける。それが政治家秘書だ。
(引用:『クニミツの政』15巻)
クニミツが久城龍也から言われた一言。自分だったらどうしたいのか、この町をどう良くしていきたいのかを聞かれ、答えられなかったクニミツに言ったアドバイス。政治家秘書の心構えとして覚えておきたい言葉ですね。
政治家秘書は政治家の「歩く書庫」でもあるということを肝に銘じたまえ
(引用:『クニミツの政』16巻)
久城龍也の言葉。情報はいたずらに貯めこむだけでは意味がない、情報は貯めるものでなく使うものだと力説。何がどこにあるかをパソコンの中ではなく自分の頭の引き出しにキチンと整理して収めることができなければいけないと伝えています。
政治家秘書というのは庶民の生活を常に見続けて、そこから社会の問題をくみ取って政治家に提案していくのも仕事のはずだ。
(引用:『クニミツの政』17巻)
朽木良介が宇治村代議士に教わった秘書の役割の一つ。秘書とは決して雑用係ではない。
有権者は選挙ポスターで候補者の顔を覚えるんだ
(引用:『クニミツの政』18巻)
選挙参謀の阿修羅が選挙ポスターの重要性を説いた言葉。有権者は政治家本人の顔をしげしげと眺めることはしないとして、写真の修正を指示する。
秘書の票というのを知っておるか?
(引用:『クニミツの政』22巻)
宇治村修造が元秘書の朽木良介に質問した言葉。秘書が持っている潜在的支持者について話す。政治家と行動を共にしていると秘書も自然と顔が売れる。だから秘書が立候補し政治家として巣立っていくことが少なくない。
これぐらい厳しくやらないと金のある人が勝つ選挙になってしまう。高給のアルバイトを大量に雇ったり、豪華弁で人を集めたり。
(引用:『クニミツの政』23巻)
坂上竜馬が事務所スタッフに伝えた言葉。弁当代(飲食物の提供の禁止)や選挙アルバイトの日給額など選挙のルールがこまかくて厳しすぎると感じるスタッフに、選挙は伏魔殿であると伝える。
25歳を過ぎればだれでも政治家を目指せると建前では言いながら、金を集められない人間は立候補できないに等しい。
(引用:『クニミツの政』25巻)
選挙において立候補者が供託する供託金について朽木良介の言葉。市長選では百万円が必要。いい加減な気持ちで選挙に立候補する不届き者を排除するための預け金ではあるものの、選挙のためには事務所もいるし車もポスターも必要ですしあっと言う間に百万単位の金が飛んでいく。そんな日本の選挙のあり方が積もり積もって金権政治へとつながっているような気がすると話しています。
まとめ
非常にわかりやすく政治と選挙について詳しく説明されています。2003年当時なので現在とは少し法律や実情が変化してきていますが、それでも心に残る言葉ばかりです。漫画なので中学生や高校生でもわかりやすく政治について学ぶことが出来る名作と言えるでしょう。気になったらぜひ読んでみてほしいと思います。