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【心理捜査官草薙葵】感想ネタバレ第3巻(最終回・最終話・結末)まとめ

週刊少年ジャンプで連載していた構成:中丸謙一朗、作画:月島薫による漫画『心理捜査官草薙葵』の最終巻3巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?

心理捜査官草薙葵 3 心のスキマ (ジャンプコミックス)

心理捜査官草薙葵 3 心のスキマ (ジャンプコミックス)

 

インターネットを通じての、次の殺人予告は燈崎要子だった!サイバー・キラーを捕えるべく、草薙は要子におとり捜査をさせることを提案する。そして、いよいよ殺人予告の日――!?他特別編収録。

前回までのあらすじ

プロファイリングとは殺人現場や被害者その他の証拠を詳しく分析し、犯人の心理を追い犯人像を割り出す捜査方法。1970年代アメリカでは従来の怨恨などから起こる事件とは違った無差別に犠牲者を狙う事件「通り魔殺人」「無差別殺人」等が爆発的に増えていた。だが複雑な事件に従来の操作方法はあまり役に立たなかった。

そこで考えられたのが心理学者の力を借りておこなう複雑な事件に対抗する操作技術それがプロファイリング。実際にアメリカでこの捜査技術は功績を挙げている。

新人の女刑事・燈崎要子は殺人博士と呼ばれる草薙葵とコンビを組むことになり、数々の難事件を解決していった。ある日、科学捜査研究所コンピュータ室に勤務する桜井が偶然見つけたのはインターネット上に公開されていた犠牲者カードだった。犠牲者カードとはトレーディングカードを真似て作られた物であり、表には犠牲者の写真を載せ、裏には犠牲者の殺され方などが書かれている。インターネットを通じての殺害予告事件の幕が開ける。

今までは過去に起こった事件が書かれていただけであったが、いつからか未来の犠牲者を載せるようになっていった。それはまさに殺人予告状だったのだ。その予告状通り、二人の有名人が殺された。その後もインターネットを通じての殺害予告は続く。三人目の標的はトップアイドルの柏井。警察は自宅を厳重に警備するが、犯人に無線を盗聴されており警備の位置を察知され、警備の網を抜けて侵入を許してしまった。しかし間一髪のところで草薙の機転で助けることができた。殺害失敗に悔しがる犯人は次の標的を燈崎要子にしたのだった!

本編あらすじ

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草薙はあえて次の殺人予告が出されている燈崎を囮にすることを提案する。危険すぎると反対する周囲だが、燈崎は草薙を信頼して囮役を買って出る。犯行予告日までの数日間の行動もホームページで更新されるようになる。別行動しているはずなのに克明に把握されていることに疑問を感じる草薙だが、犯人はPHS位置情報検索システムを利用して二人の行動を監視していた。

そのことに気づいた草薙は、携帯電話を別の警察官に渡して嘘の囮捜査の罠にひっかけようとした。燈崎になりすました嘘の囮捜査をしていた警察だが、サイバー・キラーはそれにも気づいていた。別の人間をスケープゴートにし、本物の犯人は燈崎がいる警察署内に侵入。警察署内を停電にして燈崎の殺害を試みるが、燈崎と思われた人影は人形だった!

そこに草薙が現れる。草薙は賢い犯人なら囮捜査を見破ると考え、署内で二段目にして本当の罠を仕掛けていた。人形の中に入っている盗聴器はこの部屋に犯人を入れる為にわざと放置しており、スキを作る為にわざと一旦署から離れたように見せて密かに裏から戻っていたのだった。ついに犯人と直接対決になる。

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犯人はあくまで電力会社の人間を偽る。電力会社に問い合わせをして在籍証明をしても事前に全業者の全人物をチェックしている犯人は、本物の電力会社の人間と入れ替わっており在籍証明は通じなかった。草薙から「電力会社の人間なら修理できるはず」と言われても電気工学技術を持ち合わせている犯人は修理してしまった。

最後の罠として盗聴受信機探索器なるものを取り出す草薙。盗聴器から出る電波を追って受信している人間を見つけ出す機械なんか存在するもんかと否定する犯人だが、沢山あるヌイグルミの中から犯人がプレゼントしたヌイグルミを選んでしまう。犯人は「さっきまで一つしかなかったはず」と言い訳するが、草薙から「暗闇の中で見えないハズのお前がなぜそれを知っているのかな」と言われ、ついに犯行がバレてしまった。

観念した犯人は開き直り「ケーキを食べたがっている」と人間が本来持つ醜悪な欲望を代わりに満たしていると自論を展開する。数多くの殺人事件に関わり犯罪者の心を何度となく理解してきた草薙なら理解してくれるだろと同意を求める。

ふとホームページを見ると草薙によって次の犠牲者カードが公開されていた。その相手はサイバー・キラー本人だった。そこには「頭穴事件と同じように殺害された」と書かれており震撼する本人。

頭穴事件とは買い物帰りに犯人に拉致された女性が、人気のない山中で両足のアキレス腱を断たれた後に、生きたまま頭蓋に穴を開けられ、あけられた穴から酢を流し込まれ絶命した残酷な事件。それまで自分勝手な欲望と快楽は人間本来が持っている感情による正当行為だと主張する犯人だったが、恐怖を教え込まれた。すべては犯人が犠牲者に与えてきた恐怖を知ってもらうための演出だった。

最後に「人の心をキズつけるのは許さない!お前が言うように確かに人の心は弱い。だから欲望に流されることもある。だがな人の心は欲望に流されるのをせき止めるぐらい強くなることだってできるんだ!」と言って完結。

人の心の奥には…闇と呼ばれる歪んだ部分が存在する。その歪んだ部分はたびたび人を狂わせ犯罪を引き起こす。その歪んだ闇に唯一立ち向かうことができるのは…同じ人の心だけだろう!

***感想・評価・考察***

1996年から97年にジャンプで連載された刑事探偵漫画。少しトリックが幼稚と思う部分もありましたが、小学生も対象にしている少年誌での連載という事情を考えると致し方ないと思います。

設定の面白さはありますが、画力やストーリーは今一つの評価。最後は打ち切りになってしまった理由として『人形草紙あやつり左近』と同様に週刊少年ジャンプで推理モノの連載は難しかったと予想された。

今でこそプロファイリングは当たり前だが、連載当時は「プロファイリングってなに?凄い!斬新!」と思ったのは鮮明に覚えている。犯罪心理学・行動心理学・犯罪精神医学を扱った漫画は当時としては最先端と言える。今となっては何の変哲もないことだが、インターネット殺害予告など当時の時代背景も垣間見えて二度面白かった。