1995年から1998年まで週刊少年ジャンプで連載していた格闘アクション漫画『陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!』の最終巻15巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめ。結末(ラスト)はいかに!?
立ち技最強の格闘技とも称されるムエタイ。その中でも賭けが成立しないほど強い天才ムエタイ選手ガルーダとの試合がついに始まる!
本編あらすじ
試合序盤、真島の鉄菱を顎にもらうが、小さい頃から顎を鍛えているガルーダはダメージにならない。真島は肘を顔面にもらいつつも強引に裏投げでダウンを奪う。受け身もロクにとれていないはずのガルーダのダメージは少なく、逆に真島は肘をもらったところから流血してしまう。キック主体のムエタイだが、パンチ主体で戦う余裕のガルーダ。
真島は攻防一体の山勢厳の構えをとるが、ガードを気にせず左腕を集中的に蹴る。久保田記者曰く「ブロックしている腕を平気で何度も年度も蹴るのがムエタイの怖さ。相手の腕はたちまち内出血を起こし、ヘタすれば骨折というパターンも…。無論もうガードどころじゃない」。真島のガードも下がってしまい、そこにガルーダの右ハイキックが炸裂!
ダウンするもすぐに起き上がり、今度は右前の山勢厳の構えをとる。ガルーダがハイキックをしてきたタイミングでカウンターを合わせる真島。ここで第一ラウンド終了。
第二ラウンド早々、組みにいく真島だが、ムエタイ名物の首相撲の餌食になる。嵐のようなヒザ蹴りの連打。真島にとって柔術は単に生活の一部だが、貧しい育ちのガルーダにしてみればムエタイは生きる手段そのものであると語るガルーダのトレーナー。
しかし、真島は首相撲の体勢から強引にガルーダを持ち上げると、そのままコーナーポストに叩きつける。そこから相手の左腕と右足を抱えて完全に動きを封じ込んで投げる陣内流『達磨投』でガルーダをマットに沈める。さらに連続して関節技を仕掛けるも、蹴られまくったせいで左腕の握力が落ちており、ガルーダに強引に脱出されてしまう。
左右のヒジ打ちをかわし、陣内流『蝶形』に繋げる。完璧に決まったかと思われたがロープブレイク。ついにガルーダから笑顔が消える。これまでガルーダが笑顔でいた理由が久保田記者から明かされる。
ムエタイで判定になった際に選手が出した手数やダメージを見て判定するが、もう一つ大事な要素として表情が見られる。ムエタイの選手は大きなダメージを負った時でも痛そうな顔をしないのは、判定は大きく影響するから。逆にそういう時こそニコニコするものだと語る。特にガルーダが所属しているジムではその教えが徹底されていた。
激しい攻防が繰り広げられ、あの碇を仕留めた陣内流秘伝『千人殺し』と『二天鋲』でガルーダから完璧なダウンを奪うが、第二ラウンド終了のゴングがなり命拾いをするガルーダ。体の内部への衝撃波や二点同時打撃をくらったガルーダのダメージは深刻。背中の翼に誓い「立てないなら飛ぶまで!」と闘争心は衰えていない。アメリカニューヨークではキングがテレビでその試合を見ている。
第三ラウンド直後、ガルーダの飛びヒザ蹴りから必殺技『フォーン・レプ』が真島を襲うが、鉄菱をボディに当て阻止する。両者ノックダウンから立ち上がる二人。
一進一退の攻撃が続くが、ガルーダの左ミドルが真島のアバラ骨を折る。ガルーダのバックを取るが追い打ちをかけるように右肘が折れているアバラに炸裂!それでも心が折れない真島はバックドロップから顔面に掌底を打ち込み遂に勝利!
一方その頃、アメリカのロサンゼルスでは望月土武郎が試合をしていた。「レーザーズ・エッジの伝説は生きておった」「強いのはゲップが出るほどわかったよ」あまりの強さに観客も退屈するほどの圧勝劇。
光臨館総本部では真島の全快退院を祝って皆が集まっている。そこにチャンが現れテレビをつけると、血まみれで倒れている望月土武郎が映し出されていた。その対戦相手は野々宮拓馬だった。真島に対してアメリカに来いと挑発する野々宮。師匠を倒され怒る真島だが、チャンは冷静に土武郎が本気を出していないことを見抜く。若かりし頃の土武郎の鉄菱で顔面に傷を負った過去を思い出す。
真島は明日に旅立つことが決まっている夜、道場にはかつてのライバル達が集まる。誠風会の津村樹矢や向道館の観月裕紀、元横綱の明星山も激励に駆けつける。
ロサンゼルスの病院では野々宮が土武郎を見舞っていた。そこに旧ソ連特殊部隊スペツナズ元将校のグレゴリー・ディアギレフが現れる。今でも各地の内戦に傭兵として参加して趣味で人殺しを楽しむ男だと言われるが、軍隊格闘術コマンドサンボを駆使し、最もキングの地位に近い男でもある。グレゴリーは今夜ホテルのディナーショーで公開処刑をおこなうことになっていると土武郎に告げる。
試合会場となるホテルの地下に到着する真島とチャン。そこにはGIGA運営委員会ジェイジェイが待ち受けており、チャンは銃で撃たれてしまう。マッチメイクを私物化し、私腹を肥やしているという濡れ衣をかけられたチャンは最後の力を振り絞り側近の兵士を数名倒すが、グレゴリーによって首の骨を折られ殺されてしまう。
真島に「最強の格闘家になるという純粋な夢を持っている真島にジェラシーを感じていたようだ。今度生まれる時はお前のような格闘家に…」と伝え息絶える。
反撃をしたい真島だが、銃をもった複数人に囲まれており八方塞がりの状態。そこに野々宮と土武郎(いつのまに回復??)が登場する。しかし、闘いの階級制度において上位に属する格闘家も登場し圧倒的不利な立場は変わらない。さらに韓国の至宝・キム兄弟とガルーダが助太刀にきてくれ、真島たちとギガの戦士たちの戦いが始まる。
コマンドサンボの使い手グレゴリーに最初は圧倒される真島だが、意識を失った際に宗家の城之内将士や日本にいるみんなの夢を見て復活すると「オレに力を貸してくれー」と言いグレゴリーを倒す。
最後に「陣内流は今まで城之内将士や望月土武郎…その他の多くの先人達が死に物狂いで守り続けた陣内流柔術はオレが守ってみせる。現在もそして未来も」「よぉーし!次はどいつだー!」で完結。
***感想・評価・考察***
当時は柔道・空手・ボクシングが格闘技漫画の中心であった時代に始まった総合格闘技をベースにした漫画として非常に面白かった。今振り返ればジャンプ黄金期に3年連載が続いた時点で凄い。
当時の総合格闘家と言えば、ピーター・アーツ、アンディ・フグ、アーネスト・ホーストなど重量級のファイターが中心だった。総合格闘技ブーム初期の漫画と言え、のちに魔裟斗、小比類巻貴之、五味隆典などミドル級のキックボクサーが注目される以前の格闘技漫画で少し時代を先取りしすぎていたのかもしれない。
異種格闘技戦が持ち味の中で最後は打ち切りで終わってしまったが、一通りの武術を描き切っているためタイミング的にはちょうど良かったのかもしれない。仮にもう少し続けなければいけない場合、ネタ切れが予想される。
白星蟷螂拳デビット・チャンは大した活躍もせず死んでしまい、ラスボスのキングの人物像も不明のまま終わってしまったのは残念だが続編『真島、爆ぜる』の今後の展開に注目したい。