漫画百科事典

漫画好きによる漫画好きの為の漫画情報サイトです。

【ノイズ】感想ネタバレ第3巻(最終回・最終話・結末)まとめ

グランドジャンプで連載中の『ノイズ』(作者:筒井哲也)最終巻3巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?

ノイズ【noise】 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

ノイズ【noise】 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:筒井哲也
  • 発売日: 2020/03/19
  • メディア: Kindle版
 

イチジクを特産品として限界集落からの脱却を願う猪狩町。農場主・泉圭太らは、この町に悪意を持って訪れた元受刑者を殺害…。事件を隠蔽し自殺を図った巡査…。真相を知った強欲な助役を殺害した圭太の親友…。それらすべてを隠すため圭太は、新たな行動を起こす。総力を挙げる警察の捜査は圭太に辿り着くのか…。そして町に響く不協和音(ノイズ)に終息をもたらす者とは…!?

第17話 疾走
第18話 笑う警察官
第19話 消息不明
第20話 記憶の行方
第21話 偽装家族
第22話 秘密
最終話 帰還

本編あらすじ

泉圭太は失踪し、残された田辺純は泉圭太の指示通りに偽装工作をする。泉圭太は冷温室で助役の横領疑惑を問い詰めた。しかし話し合いは上手くいかず、最終的に助役の殺害と首吊り自殺という結末になってしまった。という台本にした。

f:id:manga-diary:20210111180728p:plain

火災現場に到着した駐在所の岡崎警察官は、ガソリンを撒いて念入りに燃やしたことを不思議に思うが、事実をすべて突き止めた上で証拠を消そうとした。町の不正会計が公になれば返礼品の指定が取り消しになるかもしれない。だから証拠になる帳簿か何かを一緒に燃やしたんだろうと田辺は説明する。

f:id:manga-diary:20210111180754p:plain

猪狩町駐在所に勤務する岡崎警察官は追求しないことをポリシーとしていた。警察官の仕事を長く円満に続けるコツは過度な追求をしないことだとして、速度違反や一時不停止などの違反行為はこまめに取り締まるが、本当に危険な爆弾に触れる予感がした時はただ黙ってやり過ごすことをしていた。

厄介な爆弾(問題)はよその所轄で処理してもらい、自身の仕事は街の平和を守ることだとして、田辺の握る消火器のノズルが決して届かない方向を向いていたこと、火災現場に都合よく脚立が用意されていたこと、その脚立の天板に今しがた何か重いものを釣り上げたような足痕が残っていたことも気づいていながら追及しなかった。

田辺が言うならこの焼死体は泉圭太だとして、左手の薬指に結婚指輪もハメられているから間違いないと自分に言い聞かせる。住民の誰もが疑問に思っていないなら、それ以上追求する意味があるだろうかと内心で結論付ける。

愛知県警刑事部の畠山努が到着すると焼死体が泉圭太ではないと最初から疑っていた。まず身長が10センチ以上違っており、結婚指輪もライターで軽く炙った程度のススしかついていないおかげで裏面の刻印も妙にはっきり読み取れることが不自然すぎた。この焼死体の正体は鈴木睦雄しか考えられなかった。

畠山は地元の警察官をも巻き込み、町民全員に偽証をさせる芸当ができるのは泉圭太しかいないと確信。しかし、鈴木睦雄の死体を自身の自殺に偽装した後、当人はどこへ消えたのかが最大のポイントだった。捜索隊を組織し、猪狩町全戸の調査ならびに山狩りを同時に行うことになった。鍵を握る人物として火災の第一発見者でもある田辺が目をつけられた。

県警本部では事件の振り返りが始まる。鈴木睦雄が猪狩町を訪れたのは10月23日。翌日からその行方は途絶えている。守谷紳一郎巡査が残したボイスレコーダーによると鈴木は泉家の裏庭に隠れ覗き見をしていたという。

f:id:manga-diary:20210111180822p:plain

守屋巡査は泉圭太と田辺純に協力を仰ぎ、鈴木を納屋に連れ込み殺害した。その後泉と田辺は森谷巡査一人の責任にするため何らかの形で圧力をかけたものと考えられる。一週間後、守屋巡査は駐在所の中で拳銃自殺を試みる。

一命は取り留めるが、現在も昏睡状態が続いている。そして昨夜発生した冷温室の火災では中から石狩町助役の庄司義昭の遺体と身元不明の焼死体が発見された。焼死体は損傷が激しくDNA型鑑定も極めて困難な状況。

だが町民はこれを泉圭太だと主張している。この焼死体は泉家の納屋で殺害された鈴木睦男である可能性が極めて高いと考えられる。目下の課題は泉圭太の消息を明らかにすること。現在は二百人体制で山狩りを展開中。

畠山は田辺から事情聴取をするが、田辺の指紋がないことに驚く。イチジクの実を剥いだ時、茎から乳白色の粘液に含まれるフィシンという成分が影響し、イチジクを日常的に取り扱っていると指紋が消える。関係者全員の指紋が取れないと県警本部はざわめく。

指紋が一切検出できない上に住民達の証言を全て一致している。これを覆すのは難しいとして事件は難航すると予想された。県警は泉圭太の捜索を最優先に考える。事情聴取の帰りにばったり泉圭太の元嫁と再開した田辺は「俺が守るよ。結婚しよう」とプロポーズする!

県警が山中の捜索中に、富士の樹海付近の県道で鈴木睦男のスマートフォンが発見された報告が本部から入る。そのため泉圭太の捜索は中止し、撤収命令が下る。指名手配中の連続殺人犯・鈴木睦夫の行方がようやく明らかになったと報道される。

猪狩町の一連の事件は様々な疑問を残しながら終末を迎えた。不可解な冷温室の火災についても十分な検証がされないまま捜査本部の解散が決定された。マスコミの撤収とともに世間の関心を急速に薄れていった。しかし、県警の畠山の心の中にはどうしても片付かない想いが燻り続けていた。それは泉圭太の本当の消息だった。

3年後…。久しぶりに猪狩町を訪れる県警の畠山は、田辺純に会い近況報告を聞く。田辺純は泉圭太の妻と結婚していた。

f:id:manga-diary:20210111180851p:plain

猪狩町には1階がブックカフェ、2階から上が図書館になっている立派な建物が建設された。3年前に国が出してくれた交付金のおかげで1億円で小学校の立て直し、残りの2憶円は転入してきた家族の生活資金に使われた。その結果、この3年間で若い夫婦が20組も転入してくれたため町に活気も生まれた。

いちじく農園は以前のような高品質のものができなくなったため、低価格路線に切り替えた。それでも注文は全国から届くので家族3人が食べていくには十分なものだと田辺純は語る。

f:id:manga-diary:20210111180910p:plain

県警の畠山は田辺の自宅にも伺う。その話を盗み聞きする娘の恵理奈。畠山は泉圭太は生きており、一人山にこもって潜伏生活を続けているのではないかと推測していた。独力で冬の山を何度も越えるのは不可能に近いと主張する田辺だが、定期的に生活物資を供給できる親しい支援者がいたとしたら生存は可能だと話す畠山。

その話を聞いていた娘の恵理奈には心当たりがあった。田辺は月に一度軽トラックに荷物を乗せてどこかに運び出しているが、どこに何をしに行っているのかは絶対に教えてくれなかった。またゴミ処理の焼け跡には、父親と同じクセのある文字で書かれたメモの切れ端が残されていた。父親が生きていると確信した恵理奈。田辺のスマホのロックを巧みに解除し、次の待ち合わせ日時をつきとめた。

f:id:manga-diary:20210111180923p:plain

恵理奈は父親を捜索しに、隠れていると思われる山に入る。しかし、捜索の途中で崖から転落してしまい、一歩も動けないほどの大怪我をしてしまう。その頃、恵理奈の家では恵理奈の登山靴とリュックがなくなっていることに田辺純が気づいた。一方その頃、恵理奈は幼い頃、父親から草笛で救難信号を出すことを思い出していた。願いを込めて山の中で草笛を吹く…。

田辺は警察に捜索隊を要請する。恵理奈を助けるために全ての事情を話し、警察に頼ることにした。泉と待ち合わせした場所に行くと、現場には恵理奈のものと思われる足跡が残っていた。日が暮れる前に捜索しなければいけないと話している矢先に、その場に現れたのは娘を抱えた泉圭太だった…。

エピローグ

すべてが明らかになる時は来た。被告人は3年間山中で潜伏生活を送っていた男とその生活を支援し続けた幼馴染の男。容疑は殺人と死体遺棄。3年前平和な田舎町に突如悪意の塊のような異物が現れた。その脅威を排除するために彼らは決して許されない過ちを犯した。

その過ちを隠すために重ねた嘘が、いつしか深い闇となって彼らの街を覆っていった。その闇を打ち払ったのは最も純粋な思いを持つ者の力だった。今はまだ混乱の最中だが、やがて周囲の雑音も消えるだろう。いつかその時まで傷を負った者たちの元に寄り添いたいと思う。

***感想・評価・考察***

ノイズ【noise】 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

ノイズ【noise】 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:筒井哲也
  • 発売日: 2020/03/19
  • メディア: Kindle版
 

面白かった。娘のエリナは父親に会いたいと思った結果、父親が捕まるという結果にどう思っているのだろうか。結局会えなくなったのは変わりないので。自分のせいで父親が殺人犯として捕まるのはどうなんだろうか…。

ただ結果的には捕まったが、怪我をしなければ父親の逃走劇を助ける立場になり、警察には内緒にしていたのかもしれないとも考えられる。その後の猪狩町も気になる。町から日本全国を揺るがす事件が起きてしまいどのようになってしまうのか…。

第1巻で予想した通り、3巻完結になった。(『有害都市』や『マンホール』のように毎回テーマがある作品が多いだけに)今回の作品に関してはテーマが何なのかよくわからなかった。毎回「打ち切り説」が流れる作者だけに今回は全て予定通りの終わり方なのかが気になる。次回作に期待したい。