ヤングキングで連載していた高橋ヒロシによる漫画『QP(キューピー)』の最終巻8巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?
喧嘩や抗争に明け暮れる青春を卒業した男、伝説の大不良・ケンカ無敵のキューピーこと石田小鳥。暴力と抗争の世界へ踏み込んでいく石田の親友であった我妻涼。そして2人を取り巻く男達……。彼らの生き様を描く、魂にまで響く重厚かつ鮮烈な物語!
本編あらすじ
小鳥の存在に気づき冷静さを欠いている涼。ジェリーから声の主を聞かれると「あいつはこんな殺し合いの場にいちゃいけない男なんだ…」と動揺する。落ち着く暇もなく涼たちがいる場所に殺し屋集団SMOKE-Sがマシンガンで追い打ちをかけてくる。
マシンガンの音を聞いた小鳥は再びショッカーのマスクを被り、負傷したトムをその場に残して涼の元へ向かう。トムは、手ブラで行ったら殺されに行くようなものだとアドバイスするも「ランパブ行かずして死ねるかい!」と返事をして何も武器を持たず向かう。
一方、マシンガンの弾も尽きたことでナイフで相手を殺そうとする涼だが、相手のナイフ術の腕が一枚上手で苦戦する。不利を悟った涼はナイフをしまい、上着を脱いでナイフ対策をし、その場に落ちていた尖った鉄パイプを手にする。
撃たれて負傷しているジェリーを助け再び戻ろうとする小鳥。小鳥は心の中で少年院の院長先生や上田秀虎に問いかける。今回の事も見なかった事にすればよかったんだろうか?と。それは絶対に違うと考える小鳥。そして、SMOKE-Sのボスと対面した小鳥。
小鳥は「お前もナイフ持ってんだろ。最初からナイフを出せ。あとで後悔するぞ」と自信満々に告げる。お前は数十秒後に階段にぶっ飛ばして転げ落ちると宣言。お互い素手同士で始まった攻防。攻撃をバク転で躱し、その巨体に似合わない素早い動きを見せる小鳥。
頭突きを一発もらった時点で相手のボスも「こいつバケモンだ」と小鳥の桁外れの身体能力に気づき、ナイフを手にするが「今頃出しても遅いんじゃ!」と、ドロップキックでボスを予告通りに階段下へとぶっ飛ばしたのだった。チ〇ポの毛が生えるあたりからやり直せアホ!
ボスを倒して涼の元へ急ぎ向かった小鳥だが、すでに涼も鉄パイプを胸に突き刺して倒していた。相手を殺し佇む涼の形相が自分の知っている涼と違いすぎて思わず「リョウだよな…」と問いただしてしまう。親友だった二人は最悪に近い再会…。
スモーカーズとの死闘が終わり、ボーリング場を出た小鳥と涼。道を歩きながら涼は小鳥に「ひねくれてグレてこの世界にいるんじゃない。オレの意思でこうしている。これがオレの生き方だ。もう戻れないし、戻る気もない」と話す。そして、二度とお前の前に現れないから自分のことを忘れろ。永久にサヨナラだと告げる。「お前やツネや幸三の幸福をかげながら祈らせてもらうよ」と立ち去ろうとする。
小鳥は「ちょっと待て!」と呼び止める。「オレも話したいことがある。いま頭の中で整理しているんだ。だからもう少し歩かないか」と小鳥が涼に言った時…突如現れた元部下である金城勝利の銃弾に倒れる。そして、小鳥も左頬と右肩を撃たれてしまうのだった。まさかの結末。二人は死んでしまったのか…。
最終話
ガソリンスタンドでは漫画家を目指している山岡金四郎の読み切り漫画がついに雑誌に掲載されていることが話題になっている。山岡は雑誌のアンケートハガキを皆で書いて連載に繋げると意気込んでいる。「プロになるまでより、プロになって続けていく事の方が百倍大変だと思うんだ」だと語り自身の成り上がり伝説はまだ始まったばかりだと目を輝かせている。
月日は過ぎ…小鳥は生きていた。その日はバイトを休んで鈴本幸三の生まれた子を昔の仲間同士で見に行くことになっていた。道中でツネ(奈良岡常吉)と再会し、同じバンドでボーカルの桐島ヒロミを紹介される。待ち合わせ場所には木場好晃や国見竜次も集まっている。
襲撃された日の御礼を伝える小鳥。あの日、スタンドに偶然顔を出して事の次第を知った木場と国見は、小鳥を追いかけ、そして倒れている小鳥と涼を見つけ病院に運んでくれたのだった。もちろんリョウも生きている。だが、四発の銃弾を受けており、一発はノドに命中し声帯が破壊され声を失ってしまった。
殺し合いの場になったボーリングはその夜のうちに全焼した。不審火だったので警察や消防による現場検証がおこなわれたが、そこにあるはずの死体もピストルも何一つ出てこなかったらしい。そして涼は姿を消したのだった。小鳥は二度と自分の前にリョウが現れることはないだろうと感じている。
小鳥は涼に対して「お前の選んだ道ならもうオレは何も言わない。自分の信じた道を突っ走ればいいさ…。オレもオレの道をオレらしく生きていくから…」と心に誓う。
一方その頃、暴力団組織の若頭・原田の前にトムとジェリーが現れる。死神が待っていると伝えられ、エレベーターが開いた先では我妻涼が待ち受けていた。涼から手紙を渡された原田は内容を確認すると「イチイのカタキダ シネ」と書かれており、その瞬間ボーリング場の事件の首謀者でもある原田を撃つ…。
***感想・評価・考察***
不良漫画『クローズ』や『ワースト』で有名な高橋ヒロシの名作漫画。少し悪役で人並外れた運動神経を誇る自称・暴力大魔王の主人公のキャラが強烈に印象に残る。これまでは学園内の不良漫画が特徴でしたが、本作はヤクザや殺し屋も出てきたりと少し趣向が違った面白さがあります。
我妻涼を主人公とした『キューピー外伝我妻涼』や、殺し屋コンビ・トムとジェリーを主人公とした『月に手をのばせ』も一緒に読むと面白さが倍増します。