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【人形草紙あやつり左近】感想ネタバレ第4巻(最終回・最終話・結末)まとめ

1995年から1996年に週刊少年ジャンプで連載していた原作:写楽麿、作画:小畑健による漫画『人形草紙あやつり左近』の最終巻4巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?

人形草紙あやつり左近 4 (ジャンプコミックスDIGITAL)
 

【夢か幻か、悲恋から生まれし人形草紙】左近と右近が容疑者のアリバイ崩しに挑む「埃及大王(えじぷとふぁらお)呪術地獄」、左近が体験した右近誕生にまつわる摩訶不思議な物語「夢話悲恋幻想奇譚」、無念の死を遂げた報道カメラマンが追っていた悪事を暴く「浪速写真師聖書地獄」を収録。ついに閉幕を迎えた傑作幻想推理奇譚、第4巻完結!

本編あらすじ

夢話悲恋幻想奇譚

ある日、左近が右近の整備をしていたとき、左腕から古い紙に「右近」と書かれた名前と一句の歌が出てきた。祖父の橘左衛門に聞いてみると繰人村の人間が書いたかもしれないと言う。繰人村は右近が作られたとされている村で、若い頃に橘左衛門が右近を手に入れた。

右近は人形師・三代目小泉卯之助の作品とされているが、その人物については繰人村に住んでいたこと以外は何も分かっていない。明治二年の作と言うのもどこまで真実なのかもわからない…。

右近は物心ついた時から一緒にいた一番の友達で、かけがえのない親友でありながら誕生の由来も知らない左近は繰人村に行くことにした。繰人村を訪れてみると、濃霧によって道に迷い込んだ左近は崖から転落してしまう。気がつくと目の前には右近そっくりの人物がいた。

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右近そっくりの人物は倫助を名乗る。殺人の罪で追われている最中だった。そこに幼馴染の春香も倫助を心配して追いかけてきた。春香は小泉卯之助の娘で当代を務めていることに驚く左近。人形師の家は途絶えていなかったことに安心する左近だが、事態はとんでもないことになっていた。

事の始まりは昨夜。金貸しの黒川から借金の返済を求められる春香。飢饉の年に先代が人形師の村長として、皆の為に借りた事情がある。黒川は今日中に返済できなければ財産家屋すべて没収するか「妾になっていただきますかな」と話す。

春香は黒川に酒を注ぐが用心のために警察署長の轟に毒見をさせる。問題がなかったため自分も酒を飲むが突然苦しみだし血を吐いて死んでしまった。酒を注いだ春香が第一容疑者として疑われるため倫助はその場を飛び出し逃げたのだった。しかし追手に見つかり捕まってしまう倫助。左近は倫助と春香のために事件の真犯人を推理する。

毒見をした轟には何も異常がなかったことから酒ではなく別の場面で毒を盛ったことになるが、それが何かを明らかにしなければいけなかった。牢屋に入れられている倫助との会話の中から事件のヒントを見つけた左近。

真犯人は警察署長の轟だった。毒殺のからくりは徳利。徳利には刺激性の薬物を入れており自身は苦味を我慢することで、本命である毒を入れた水を飲ませたことで春香や倫助に罪をかぶせつつも殺害を成功させた。轟を追い詰めると自白し、拳銃で殺そうとする。止めに入った春香だが、拳銃は轟と倫助に命中してしまった。

自分の死期を悟った倫助は、全ての罪を被るべく逃亡する。左近と別れる最後に「卯之介の卯をもらって、お前が左ならオレは右で、こんな名前の人形も悪くねえだろ」と言い残して書いた紙は、右近から発見されたものと同じだった。

左近が気がつくと一本杉の近くに倒れていた。すべては霧が見せた幻だったのか。繰人村を知る老婆から聞いた話はこうだった。

その恋人を失った人形師は一人、思い出の一本杉の下へやってきたと。そこで食わず眠らずの七日七晩、全身全霊を込め恋人の髪を使って一つの人形を作ったとな…。それは素晴らしい出来栄えの人形でな。見る者はあまりの愛おしさに誰もが心和ませ、操ればまるで人間のように動き出したという。その女人形師がその後人形を作り続けたかどうかは伝わっておらん。なんせはるか昔の言い伝えだからの。

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右近が生まれた背景には悲しい過去があったのだった。

***感想・評価・考察***

人形草紙あやつり左近 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
 

1995年から1996年にジャンプで連載された推理漫画。短期連載ながら作画を担当した小畑健が『ヒカルの碁』『デスノート』『バクマン』で大ヒットしたため、ジャンプ打ち切り漫画の名作として人気があるみたいです。連載終了後にアニメ化。

推理探偵漫画『名探偵コナン』が現実離れしている部分がある中で、人形草紙あやつり左近は無理のないトリックで低学年にもわかりやすい漫画です。タイトルに奇譚とあるように古風な怪奇話としての側面もあり面白かったし、上記の「夢話悲恋幻想奇譚」以外にも収録されている話の中には泣ける話もあった。

週刊少年マガジンで『金田一少年の事件簿』が大ヒットしたため各誌とも推理モノに力を入れたらしいですが、あやつり左近は少年ジャンプの読者アンケート主義との相性が悪かったとされる。

最後は最終巻らしくなく、普通に一つの事件が解決し終了。黄金期の少年ジャンプに連載された作品ですが、万人ウケしない作風や、推理系の弱味として真犯人がわかる結末以外の回は決して読者アンケート人気は高くならないだろうと予想され、打ち切りになったと予想されます。