別冊少年マガジンで連載中の『進撃の巨人』感想ネタバレ第10巻まとめ
巨人が活動できないはずの夜を狙って、ウォール・ローゼの調査にでかけたコニーやユミルたち104期兵。打ち捨てられた城・ウトガルド城で休憩しているところを、まだ夜中にも関わらず現れた巨人に襲撃されてしまう! さらに104期兵の中に、驚くべき出自を持つものがいることが発覚して……。ありえないことばかりが起こり続ける、急展開に次ぐ急展開!
目次
第39話 兵士
第40話 ユミル
第41話 ヒストリア
第42話 戦士
本編あらすじ
第39話 兵士
調査兵団の班長たちは古城の見張り塔の壁を使い、見事な連携プレーで次々に巨人を仕留めていきます。しかし!気がついた時にはもう入り口の木扉は破られ、巨人が侵入した形跡が見られました。
「生きているうちに最善を尽くせ」上官命令に従い、バリケードを築くために屋上から下階へ向かって駆け下る104期の面々。最も危険な先頭を迷わず引き受け走るライナーは、階段を登ってくる小型の巨人と遭遇します。急ぎ扉を閉め、かんぬきをかけた上に自らの巨躯で扉を支えますが、巨人の腕はあっさりと扉をぶち抜いてしまいます。
「うそだろ…?これじゃあ全然もたねぇ…」青ざめるライナー。彼の脳裏をよぎったのはまだ幼い頃、かつて巨人に襲われた時のこと。ライナー、そして同郷出身のベルトルトは巨人に捕まりそうになりますが、身を呈してそこへ割り込んだ男性がいました。
駆けつけたベルトルト!農作業用のフォークで巨人の目を潰し、二人がかりで押し支えます。後ろからはコニーとユミルが車輪付きの大砲を持ちだしてきました。火薬も弾もないため、重い大砲そのものを巨人へぶつけて動きを封じる作戦です。勢いをつけて階段を滑り落ちていく大砲!
都合よく大砲が巨人の上に覆いかぶさる格好となり、小型の巨人の力ではそれを跳ねのけることはできそうにありません。とりあえず巨人の足止めには成功しましたので、一旦後退して体勢を立て直します。「入ってきたのが一体だけとは限らないし…」
そういって階下を振り向いたクリスタの目に映ったのは、コニーの背後に忍び寄る新手の巨人!気づいたときにはすでに捕食距離に入られています。コニーが振り向くのと同時に、そこへ割って入ったライナー!回想シーンの「あの時」と全く同じです。巨人の大きく開いた口が、ゆっくりとライナーに迫り…
ガム!!ライナーは右腕に食らいつかれます。幸いサイズの小さい巨人ですので、一口で持っていかれるには至りませんでした。がしかし、ほとんど丸腰の彼ら。武器らしい武器もなく、まともな対抗手段がありません。ライナーは己の膂力を振り絞ると雄叫びとともに巨人を担ぎ上げ(ハンジによると巨人は見た目よりすごく軽い)、塔の階段にある窓へ向かいます。
彼の意図を察知した仲間たち。ライナーは巨人もろとも飛び降りるつもりです。「これしかねえだろ!!」鬼気迫る表情で窓から身を乗り出すライナー。なんとここでコニーがナイフで巨人のアゴの筋を切断し、ライナーの腕を離させることに成功!あとはユミルとベルトルトが二人がかりで巨人を窓から突き落とし、難局を乗り切ることに成功しました。ホッと一息です。
階段の扉を閉め、木材で補強したバリケードを作り終えて腰を下ろすメンバーたち。クリスタはライナーの傷の手当。城に残されていた酒をトポトポと傷口にかけ、消毒を行なっています。酒は貴重品だと思われますが、アルコールで消毒ができるという知識はあるようです。
ともかく、ライナーの右腕は骨折していますので添え木と包帯が必要です。しかし布がありません。なんのためらいもなく自分のロングスカートを裂いて添え木を巻くクリスタ。「その…こんな汚い布しかなくてごめん…」上目遣いで謝るクリスタに対し、「イヤ…助かる」と内心は嬉しがっているがクールに振る舞うライナー。
命を助けられたことに礼を述べ、ヒーローぶったり偉そうにしないライナーに感嘆するコニー。ベルトルトにライナーってずっとこういう奴なのかと尋ねますが、ベルトルトは意外なことにこれを否定。「イイヤ、昔のライナーは…戦士だった。今は違う」頬に冷や汗をかきながら、温かみのない目でそう吐露するベルトルト。ライナーは何のことかわからず聞き返しますが、ベルトルトは答えませんでした。
ユミルが窓から外の様子を窺うと、調査兵団の上官たちはすでに目ぼしい大型巨人をあらかた片付けていました。さすがは死亡率が尋常でない調査兵団で生き残っているだけのことはあります。
これなら巨人の群れを撃退できそう…そう安堵したのもつかの間、どこからか「ヒュルルルルルル」という飛来音。轟音とともに厩が砕け散り、つないでいた馬が潰れます。音の正体は岩の塊。さながら砲撃のごとく、続けざまにどこからか飛んできています。直撃を受けて上官が2人死亡。岩が飛んでくるのは壁の方角。獣の巨人の仕業に違いない…!
壁を見やったコニーの眼下には、さっきまでの倍以上の数で押し寄せる巨人の群れ!壁の上で両腕を振り上げ、雄叫びを上げる獣の巨人。なんら打開策を見いだせないまま、再び戦闘続行!!
第40話 ユミル
城の見張り塔を使って群がる巨人を数えきれないほど切り伏せたナナバとゲルガーですが、立体起動装置のガスも切れ剣の刃も使いきってしまいます。彼らが力尽き巨人の群れに飲み込まれる様を塔の頂上から眺めることしかできない104期たち。どう見ても状況を打開する方法が見当たりません。
このまま黙って死を待つしかないのか…クリスタはせめて戦って死にたいと口にしますが、ユミルはそんなクリスタに意外なほど厳しく突っ込みます。曰く
「お前はコニーや上官方とは違うだろ!」
「本気で死にたくないって思ってない…」
「いつも…どうやって死んだら褒めてもらえるのかばっかり考えてただろ?」
そういってフラッシュバックしたのは調査兵団の勧誘演説に応じて入団を決めた時のクリスタの顔。泣きながらも口元には恍惚とした笑みがうっすら浮かんでいます。ユミルはクリスタに昔の約束を思い出せと言います。「約束」とは…?ここから回想シーン。
訓練兵時代、ユミル・クリスタ・ダズの三人が吹雪の雪山で遭難した時のこと。ダズはすでに倒れて虫の息、それをソリに乗せてクリスタが引きます。このままだと3人とも死ぬからダズは置いていくべきだと主張するユミルに対し、クリスタはユミルに先にいけと促します。ユミルはクリスタが本気でダズを助けようと思っていないと指摘。
もしどうしても彼を助けたいならユミルに助力を乞うてソリを引いてもらうべきなのに、彼女はそうしない。それは自分がこのまま女神クリスタ様として伝説を残したいからだ。だからユミルに先に行って助かるように急かすのだろうと。自分がいい子だと思われたいがためにダズを犠牲にして自殺するつもりだと。
クリスタはこれまで作中で徹底して「いい子」でした。人が次々と凄惨な死に方をして行く目を覆いたくなるような窮状にあっても、彼女の献身やいたわりがチームに温かい安らぎを与えてくれる…そんな役どころだったのですが、その裏にはこういった心理的背景があり、半ば演技だったというわけです。
実際、ライナーやアルミンら男性陣から「女神」「結婚したい」などと常に高評価を得ていますので、彼女の思惑は概ね上手く運んでいたことになります。ではなぜクリスタは死にたがっているのか…?ユミルはその事情までも知っていました。「お前だろ?」「家から追い出された妾の子ってのは…」
ここから更にユミルの過去への回想。内地の教会で盗み聞いた神職同士の噂話によると、偉いとこの跡取りの位置にいた少女が後継者争いで殺されそうになったが、名を変えて一般人として生きるなら見逃してやるという判断で訓練兵に追いやられた。それを聞いてユミルは自分も訓練兵に志願し、そこでクリスタに目星をつけ一方的に偏愛するようになったというわけです。しかしなぜユミルはそこまでしたのでしょうか。
「さぁ?似てたからかもな…」ユミルもはっきりとした理由は答えられません。曖昧な返答に終始しますが、クリスタに自分と友達になりたかったのかと聞かれると図星だったようでムキになって否定。勢いづいたユミルはここから非常に重要な独白を始めます。
「偶然にも第二の人生を得ることができてな私は生まれ変わった!」
「だがその際に元の名前を偽ったりはしていない!ユミルとして生まれたことを否定したら負けなんだよ!」
「私はこの名前のままでイカした人生を送ってやる。それが私の人生の復讐なんだよ!!」
こう考えるユミルは名を変えてウジウジ死にたがっているクリスタを見ていると腹が立つこともあるのでしょう、彼女を叱咤しますが、彼女たちを取り巻く雪山の環境は絶望的。ここから3人とも助かる方法なんて無いでしょとクリスタ。ユミルが言った通り最初から生き残る気がなかったようです。
すぐ近くには断崖絶壁があり、その下に基地の明かりが見えます。この崖を下りることができれば助かる。ダズを崖から落として運が良ければ助かると提案するユミル。止めようとするクリスタ。ほんの数瞬目を離した隙にユミルとダズはクリスタの視界から消えていました。崖を迂回し徒歩で基地までたどり着いたクリスタが見たのは、敷地の入り口で待っているユミル。そして施設で治療を受けるダズの姿でした。何十メートルもの崖を、ロープもなしにどうやって…?
ユミルはいつかその秘密を明かす時が来る、その時クリスタは本名を名乗れという「約束」をします。一方的な約束ですが。そして時は現在。ユミルはその「約束」を思い出せと言っています。自分が崖を越えた能力の秘密を明かす時、クリスタは本当の名前を取り戻せ…!
見張り塔から眺める夜明け。最後の日の出をしんみり眺めるコニーから、ユミルはこれで戦うと言ってナイフを借り受けます。クリスタに胸を張って生きろと伝えると、ユミルは静止を振りきって塔の頂上から巨人の群れへダイブ!!
「クリスタ…私もだ」
「自分なんて生まれてこなければ良かったと思ってた」
「ただ存在するだけで世界に憎まれたんだ」
「私は…大勢の人の幸せのために死んであげた」
「でもその時に心から願ったことがある」
「もし生まれ変わることができたなら…今度は自分のためだけに生きたいと…」
「そう…強く願った」
落下しながらナイフで自分の手を切り裂くユミル。そして激しい発光とともに出現した、これまで見たことのない新たな巨人!!ユミルも巨人化能力の持ち主でした。
見張り塔に取り付く巨人のうなじを食い破る巨人ユミル。エレンやアニのような目の光がなく、獣の巨人のような目立つ特徴も見当たりません。ロン毛の黒髪で落ち武者のような顔つきですが普通の巨人とそれほど変わりません。
巨人に変化したユミルを呆然と見つめるコニーとクリスタですが、ライナーとベルトルトはそれとは違った表情を浮かべていました。目の前に現れたのは、かつて幼い日に自分たちを襲い目の前で家族(?)を食い殺した巨人そのものだったからです。「あの巨人は…あの時の…」驚き目を見開く二人。
第41話 ヒストリア
武器を持たず見張り塔に追い詰められたライナー、コニー、クリスタ、ベルトルト。遺言めいたセリフを口にして塔からダイブしたユミルは閃光とともに巨人へと変化し、塔に群がる巨人の集団へ敵意むき出しに躍りかかります。ユミルが変化した巨人はそれほど大型とは言えませんが、動作は俊敏で塔を足がかりにアクロバティックな戦いを披露。巨人のうなじを噛み切り、顔を潰して奮闘します。
塔の上からその戦いを見ていたライナー。ユミルが塔にぶつかった衝撃で転落しそうになったクリスタを左手一本で助けながらも、心ここにあらずでした。我に返ったライナーは当然の質問。「クリスタ、お前は知ってたのか?ユミルが…巨人だったって…」いつもあれだけベッタリしていたなら知っていて当然だと思うでしょうが、クリスタも当惑。ユミルが巨人だったなんて嫌だと吐露します。巨人化能力を明かして人類に貢献することもできたはずなのに、それをしなかった理由は…と訝るベルトルト。
コニーはユミルの飄々とした態度を思い出し、もしかしたら自分たちと敵対する立場なのではと疑念を口にしますが、ユミルは塔の損傷を避けながらなおも巨人の群れと格闘中。それを見たクリスタは、ユミルが一人で逃げようと思えばできるのに踏みとどまって戦うのは命がけで自分たちを守っているからだと抗弁。彼女にしては珍しく激昂してユミルへ叫びます。
「死ぬなユミル!!こんな所で死ぬな!!何いい人ぶってんだよ!そんなに惜しまれて死にたいかバカ!!あんたは誰よりも自分が大事なんだろ!?最悪の性格の持ち主のユミルなんだろ!?自分のために生きろよ!!こんな塔を守って死ぬくらいならもう…!!ぶっ壊せよ…!!!」
塔から身を乗り出し転げ落ちそうな勢いで、これまで見せたことのない荒々しい言葉で絶叫するクリスタ。その声が届いたのかわかりませんが、ユミルは塔の石積みを引っこ抜いて倒壊させようとします。地鳴りとともに崩れ始める見張り塔。倒れる党の上によじ登ったユミルは取り残された4人に向けて言葉を投げます。
「イキタカ」「ツカアレ」「生きたか(ったら)掴まれ」でしょうか。巨人化すると言語能力は低下する場合が多いですね。エレンは女型の巨人に向けて「オアエ!ガァ!(お前が)」と叫んでいました。獣の巨人だけやたら流暢なのですがこれは単なる練度の差なのでしょうか。いずれにせよユミルの意図を察知した4人はとっさに彼女の髪にしがみついて背中に乗りこみ、ユミルは崩れゆく塔の上で態勢を保ちます。
ユミルの機転により大半の巨人を塔の下敷きにすることに成功。言語能力は低下しても知能は回っています。数的な不利を一発でひっくり返すことができました…と思いきや、瓦礫の下敷きになった程度では巨人は死にません。徐々に塔の残骸の隙間から這い出してきます。
ユミルはとどめを刺しに向かいますが、先程までと違い塔を使った立体的な戦法が使えないため、背後から巨人につかまれて地面に叩きつけられてしまいます。一斉に群がり、ユミルを食い尽くそうとする巨人たち。四肢を食いちぎられ顔を割られるユミルを見て、我を忘れたクリスタは駆け寄ります。そして目の前に現れた巨人がクリスタへ手を伸ばします…
巨人がクリスタを餌食にしようと手を伸ばしたその時、黒いつむじ風が巻き起こり目の前の巨人のうなじを一閃!倒れこむ巨人と共にクリスタの横へ降り立ったのは、兵団始まって以来最高と呼ばれる逸材、ミカサ・アッカーマン!
「後は私達に任せて」群がる巨人へと一気に攻勢をかける調査兵団の兵士たち。その中にはエレンの姿もありました。巨人のうなじを斬り飛ばし、「やった!!討伐数1!!」と笑顔を見せるエレン。人間の姿のまま立体起動で巨人を倒したのは実は今回が初めてだったようです。
残っていた巨人を掃討し、ユミルは一命をとりとめます。右腕の肘から先と右脚を太ももの途中から欠損し血止めで縛られていますが、意識はあります。まだ巨人と融合していた時のケロイドが残るユミルを抱き起こし、自分の本当の名前が「ヒストリア」であることを告げたクリスタ。ユミルはそれを聞いて満足そうに微笑むのでした。
第42話戦士
巨人化し、城に群がる巨人たちと血みどろの戦いを演じたユミル。一命はとりとめましたが、右の手足を欠損、内臓は「スクランブルエッグにされちまった」状態のようです。出血は止まったものの体からは蒸気が出続け昏睡状態。いずれにせよ詳しい話が聞ける様子ではありません。ユミルから情報を引き出すにはまずトロスト区で治療を受けさせる必要があるとハンジは判断します。
ユミルが巨人として敵対的に扱われることを危惧したクリスタは、ハンジに必死の助命嘆願。彼女がいかに危険を顧みず身を呈して自分たちを救ってくれたかを熱弁し、巨人化能力を隠していたのはその身に危険が及ぶからだと弁護。ハンジも至って冷静にそれを受け止め、ユミルとは友好的でありたいと吐露します。
クリスタの本名がヒストリア・レイスであると聞いたハンジは、レイスの名に覚えがありました。「レイスってあの貴族の?」「…はい」「…そう、よろしくね。ヒストリア」クリスタの実家は王家や神官といった特別な役職をもった家ではなく、少なくとも表向きは単なるいち貴族として認知されているようです。
壁の上で座り込み疲労感をにじませるライナー。昨夜の戦いで巨人に噛み砕かれた右腕が痛むようです。いつ死んでもおかしくない状況に心が削られるようだと、彼にしては珍しく弱音を吐きます。そんなライナーを励まそうと、普段無口なベルトルトが声をかけました。
「そうだよ…ライナー、故郷だ!帰ろう!もう帰れるじゃないか。今まで苦労してきたことに比べれば後少しのことだよ」それを聞いたライナーも思い出したように「そうか…後もう一息の所まで来ているんだったな」
意味深な会話。横でやり取りを聞いていたエレンは意味がわからないといった体。そこへ壁の調査を終えたハンネスが報告に来ました。報告はナナバやゲルガーらの出したものと同じ、「壁には穴がない」。少なくとも巨人が襲来した南西の方角には異常なしとのこと。
調査兵団に動揺が走りますが、ハンジは一旦トロスト区へ帰投して情報を集める判断をします。わけがわからず不安と焦りの色が出るエレンやアルミンですが、そこへライナーがエレンに「話がある」と切り出します…調査兵団の皆から少しだけ離れた壁の上で、エレンとベルトルトに向けてライナーがあくまで淡々と、軽い世間話のように伝えます。
「俺達は5年前…壁を破壊して人類への攻撃を始めた。俺が鎧の巨人でこいつが超大型巨人ってやつだ」あまりにも唐突な発言。読者と同じく動揺するエレンとベルトルト。ライナーは構わず続けます。
「俺達の目的はこの人類全てに消えてもらうことだったんだ。だが…そうする必要はなくなった…。エレン…お前が俺たちと一緒に来てくれるなら、俺達はもう壁を壊したりしなくていいんだわかるだろ?」
「だから俺達と一緒に来てくれって言ってんだよ。急な話ですまんが今からだ」
「今から!?どこに行くんだよ??」
「そりゃ言えん…だが…まぁ俺達の故郷ってやつだな。で?どうなんだよエレン悪い話じゃないだろ。ひとまず危機が去るんだからな」
場面は昨夜、トロスト区を出発する前のエレンやハンジらに移ります。話題はアニの身辺調査の結果。104期にはアニと同郷の人間がいることが判明し、それがライナーとベルトルト。彼らは女型の巨人が襲ってきた壁外調査の際、「エレンは陣形右翼にいる」という偽情報を知らされていた。そしてエレンを狙う女型の巨人は右翼側へ出現した。この線から一応3人の関係について聞いておきたいというのがハンジの考え。
エレンとアルミンは3人が特に親密だった印象はなく疑いは低いと否定しますが、アルミンは女型の巨人とライナーが交戦した時のことを思い出し、ある違和感に気づきます。ライナーが陣形内でのエレンの居場所を気にしていたこと、女型の巨人がライナーを捕まえ、指を切り飛ばされたあと手の平を凝視し、その後すぐにエレンがいる方向へ向かって走りだしたこと…。
手の平に刃で文字を刻み、エレンの居場所を伝えることが、ライナーにならできたかもしれないと、アルミンは考えます。証拠はなく、推量でしかありません。それでももし彼らが共謀者でつながっているなら…。
再びエレン・ライナー・ベルトルト。エレンはライナーに、疲れておかしくなっているんだろうから街へ戻ろうと声をかけます。ライナーは自嘲とも泣き顔ともつかない表情でどうかしていたと心中を独白し、折れた腕を吊っていた三角巾を首から外すと、戦士として最後まで責任を果たすと言って折れた腕から蒸気を立ち上らせます。
それまで黙っていたベルトルト。
「ライナーやるんだな!?今…!ここで!」
「ああ!!勝負は今!ここで決める!!」
そう言ってエレンへ向け一歩踏み出した瞬間、飛び込んできたミカサの白刃がライナーの右腕を肘から斬り飛ばし、首をガードした左手も深くえぐり取ります。返す刀でベルトルトの首も狙いますが浅く、両者への致命傷とはなっていません。巨人を殺すことには超一流ですが、対人での詰めの甘さを露呈したミカサ。倒れこむベルトルトに止めをさそうとするも、ライナーのタックルに阻まれ壁から転落。アンカーワイヤーがあるので死にはしませんが、この隙が勝敗を分けます。
ライナーとベルトルトはこれまでにない目でエレンを睨みつけると、ともに巨人へ変身。鎧の巨人と、超大型巨人です。超大型は上半身しか出現しておらず、肋骨が壁に食い込んで穴を開けています。タンカに横たわるユミルを捕まえたベルトルト。鎧の巨人はエレンを捕まえ、一気に壁から滑り降りて脱出を図ります。
エレンの脳裏をよぎったのは、訓練時代の宿舎で共に笑いあった思い出。全て嘘だったのか、人類を騙していたのか、万感の思いを込めエレンは叫び、変身。「このッ…裏切りもんがああああ」2体の巨人を相手にエレンと調査兵団はどう戦うのか!?