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【進撃の巨人】感想ネタバレ第11巻まとめ

別冊少年マガジンで連載中の『進撃の巨人』感想ネタバレ第11巻まとめ

進撃の巨人(11) (講談社コミックス)

進撃の巨人(11) (講談社コミックス)

 

ウォール・ローゼ付近に突如現れた巨人の群れ。ユミルの活躍、エレンらの救援により104期の面々は巨人の撃退に成功する。だが休息も束の間、超大型巨人と鎧の巨人の正体が発覚し……!! 怒りに震えるエレンは巨人と化し、因縁の巨人達に牙をむく! 

目次

第43話 鎧の巨人
第44話 打・投・極
第45話 追う者
第46話 開口

本編あらすじ

第43話 鎧の巨人

ライナーはエレンの懐柔を諦め、彼を拉致して逃げようとしますがミカサの踏み込みによって阻止され、腕一本を斬り落とされて変身。鎧の巨人の詳細な描写はこれまで少なかったのですが、以前タックルで壁に穴を開けた時よりもさらに人間っぽい感じに見えます。

エレンも巨人化して応戦、壁から落下しつつも空中で強烈な右ストレートを鎧の巨人の顔面に叩き込みます。足の踏ん張りがなく体重が乗らない状態での手打ちパンチで、かつそもそも巨人は見た目に反して質量は非常に軽いという設定なのですが、それでもライナーを壁にめり込ませるくらいの重さを持っています。一方で超大型巨人はなぜか上半身のみの出現で、二本の足によってではなく、むき出しの肋骨で壁を挟み込んで体を固定し、壁上の調査兵団にパンチで攻撃を仕掛けます。

そんな様子を見ながらミカサはこみ上げる悔しさに歯噛みしていました。殺るなら変身前、人間の姿の時に虚を突いて首をはね落とすべきだった。自分の力量ならそれができたはずなのに、なぜしくじったのか…。ミカサもさすがに感情のある人間。エレン以外の相手なら誰でも躊躇なく斬り殺せるような佇まいですが、斬りかかった瞬間のライナーとベルトルトの顔を見て剣先が鈍ったようです。

超大型巨人は壁に拳を叩きつけざま、担架に括りつけられているユミルを奪取。彼女も巨人化能力を有する存在。現在は重傷を負っていますが、とりあえず巨人の回復力によって命に別状はないという状態。超大型巨人はユミルともう一人の誰かを口の中へ放り込んで確保。このまま脱出を図るつもりなのでしょう。

それを察知するやハンジ分隊長の号令で総員による一斉攻撃。超大型の左腕を駆け上り一気に攻め込みます。調査兵団の兵士たちは実際に超大型と戦うのは初めてですが、その動きの遅さを見抜いていました。

「報告書通りだ!遅い…!!」
「やはりこいつは図体だけ」
「普段相手にしてるサイズの巨人に比べればこんなもん!」
「いける」「今だ!!全員で削り取れ!!」

突如前進から高熱の蒸気を噴き出して身を守る超大型。蒸発して逃げるのかと思いきや、今回はそのまま熱を発し続けています。これでは近づくことができません。しかし超大型も攻撃はできないようで、状況は膠着状態に。ハンジは超大型が力尽きるのを待つよう指示し、自分はアルミンと一班を連れて壁下に転落したエレンの援護へ向かいます。

一方、エレンは大の字に横たわっていました。顔が半分吹っ飛んでいます。地面に寝っ転がったままでエレンはライナーのことを思い出しています。

「クソが…あのクソ野郎…兵士だの責任だの吠えてた奴が…対人格闘の訓練…あれ…手加減してやってたのかよ…てめぇ相当強ぇだろ…体が動かねえよ…お前は本当に優秀な奴だった。どんな時でも冷静に大局を見て…自分より仲間のことを一番に考える奴で…オレもお前みたいに強くなれたらいいな…とか思ってたっけ…」

まだ起き上がれないエレンに近づく鎧の巨人。背後からうなじ目掛けて襲いかかるミカサですが、一撃で刃が砕け散り文字通り歯が立ちません。この硬質化能力が鎧の巨人と呼ばれる所以です。ライナーはミカサをまるで意に介さず、一歩一歩エレンへ近づいていきます。立体起動での攻撃が通用しないのならば他に人類がライナーを倒す方法はない。

「なぁライナー、今お前がどんな顔してんのか知らねぇが、お前ら本当にクソ野郎だよ。多分…人類史上こんなに悪いことした奴はいねぇよ」

「消さなきゃ…。てめぇはこの世にいちゃいけねぇ奴だ。一体何考えてたんだ?
本当に気持ち悪いよ。お前の正義感に溢れたあの面構えを思い出すだけで…吐き気がしてくんだよ」

「このでけぇ害虫が、オレが今から駆除してやる。アアアアアアアア」立ち上がったエレン渾身の右!!ライナーの顔面を捉えたと思ったら、ライナーのカウンターパンチでエレンが顔面をふっ飛ばした!!

第44話 打・投・極

鎧の巨人にパンチをもらって大地へ転がったエレン君は訓練兵時代の格闘術の練習を思い出していました。エレンの訓練相手はアニ。過去にも描かれたことがある組み合わせです。エレンが蹴り技を習得した場面との時系列は不明。アニは父親仕込みの蹴り技名人ですが、投げやサブミッションにも精通しているというエピソードがここで新たに加えられます。

以前のエピソードではエレンとライナーがアニに手玉に取られ宙を舞うという状況でした。今回はエレンが締めあげられている所へライナーが空から降ってきます。彼を放り投げたのはミカサ。ミカサは相当怒っています。その憤怒はアニがエレンを痛めつけているのを見てのものか、それともエレンとアニが寝技で密着していることに対する感情なのか…。「ねぇアニ、私にもそれ教えて」冷徹な目をするミカサ。「この技は人間用なんだ。あんたに必要あるとは思えないけど」一触即発のアニとミカサ。

回想から我に返ったエレン。眼前に迫る鎧の巨人ことライナー。フェイントからのダッキングでライナーの右ストレートをかいくぐり、絶好のポジションへ!エレンはここからアニ直伝の投げ技へと持ち込みます。

「お前らが一体何のためにこんなことやってんのか知らねぇけど、よく考えりゃお前ら色々とお粗末な点が目立つようだ」「その一つはこれだ。オレに戦い方を教えてしまったこと」エレンはアニから盗んだ技術を惜しみなく披露してライナーを締めあげます。すると無敵の皮膚にヒビが!

エレンは鎧の巨人の右腕を肘からもぎ取ります。苦悶の表情を浮かべる鎧の巨人。でも四肢を奪ったところですぐ再生するのでは…?今の状態では決定力を欠くと判断したアルミンがエレンへ退却を指示。逃げに徹しろというアルミンとハンジの進言を素直に聞き入れ、逃げ出す算段を整えます。鎧の巨人の足をサブミッションで破壊できるかというハンジの問いかけに、コクッと頷いて返すエレン。

(今は…今だけは逃げるが勝ちだ…正体がバレて追い詰められてんのはお前らだぜ…)しかし、ライナーの強烈なタックルに阻まれ足を狙うことができません。ハンジは鎧の巨人の構造を観察し、昔の戦争で使っていた甲冑の構造的な弱点、すなわち脇・股・膝裏の可動部分はプレートで覆えないという理屈が通じるのではないかと考えます。タックルを受け転倒ぎわにギロチンチョークでガッチリとライナーの首根っこをホールドしたエレン。力を込めて全身で締める!その隙をついてミカサが正確にライナーの膝裏をそぎ、両足の腱を断ち切ることに成功します。

これでスタコラ逃げ出すかと思いきや、相手が弱ったのを見たエレンは途端に意気軒昂!
「勝てる鎧の巨人に―勝てる!!」今にも首が折れそうなほど締め上げられた状態でライナーは必死にもがき、エレンの体ごと壁際へと移動します。あの位置は…!見上げたアルミンの眼に映る、壁上の超大型巨人ベルトルト!

ライナー必死の咆哮!その叫び声だけで意図を察知した超大型巨人は、エレン目掛けて壁上からボディプレス!「上だぁ!!避けろおおお!!」

第45話 追う者

トロスト区から壁の穴を探しに出発したハンネス隊の部下が帰着し、司令へ報告にきます。壁に穴は見つからなかったこと、104期の中に巨人が3名紛れていたこと、正体を現した超大型と鎧と交戦、すでに決着したこと。ここで再び場面転換。意識を失っていたミカサが目を覚ますシーンから。

超大型と戦った壁の上で意識が回復するミカサ。あたりを見回すとすでに戦闘の気配はなく、荒涼とした景色を乾いた風が吹き抜けるばかり。下を覗くと超大型が飛び降りた場所には大穴が開いています。アルミンに状況を問うと「エレンは連れ去られたよ」「ユミルもだ!」

アルミンが捉えた記憶によると、超大型は地面落着と同時に体を蒸散させ、その熱と爆風で周囲の兵士をなぎ倒して昏倒させた。鎧の巨人だけは衝撃に耐え、ドサクサでマウントポジションを取りエレンをうなじごと食いちぎって壁の外側へ逃走。ベルトルトは先刻口に含んだ兵士Aから立体機動装置を剥ぎとり、鎧の巨人の肩へユミルを運び上げた。およそ5時間前の出来事。

ミカサでさえ気絶するほどの衝撃の中、アルミンだけが見ていた一部始終です。ここでは壁の外へ馬を運べないため、逃げた鎧を追跡することは不可能。焦るミカサに、馬用のリフトが到着するまでは体を休めておくべきとアルミンは諭します。ミカサは家族に関する喪失感を覚えると頭痛がするという持病(?)がありますが、ここでもズキズキしています。珍しく弱気になり、目に涙を浮かべそれを隠さないミカサ。

ハンネスが消沈するふたりに声をかけ、レーションを差し出しますがとても食べられるような気がしません。しばしの間、思い出話に耳を傾けるミカサ。エレンは子供の頃ケンカが弱かったが、負けて降参したところは見たことがない…あいつがおとなしく捕まってるだけだと思うか?とハンネス。エレンを、そして穏やかだった日常を取り戻すまで諦めないというハンネスの決意に動かされ、ミカサとアルミンは火の点いた目でレーションを口にするのでした。

エルヴィン率いる隊が馬用のリフトを運んできました。これでエレンを追跡できます。でも、どこへ?超大型の攻撃で重傷を追ったハンジが臥せったまま地図で示したのは巨大樹の森。いくつかの理由から、彼らは夜までここで休憩している可能性がある。それまでに追いつけばあるいは…

巨大樹の枝の上で目を覚ましたエレン。隣ではユミルがすでに目を覚ましており、消失した右腕・右足も蒸気を上げながら半分程度まで再生しています。隣の枝にはライナーとベルトルト。これまでと変わらないノリで声をかけるライナー。「おうエレン起きたか」

第46話開口

枝の上で意識を取り戻したエレン。両腕は肘よりも上で切断され、蒸気を上げて修復中。隣で先に目を覚ましていたユミルも似たような状況です。ライナーとベルトルトを見るや、二の腕を噛みきって変身しようとするエレンですが、ユミルがそれを冷静に止めます。

理由は2つ。現在地が壁から遠く、敵性の巨人がそこら中に群れており脅威であり、ライナーとベルトルトがエレンらから奪った立体機動装置をつけていること。闇雲に巨人化して暴れても勝算は薄いし、それだけの余裕はない。

さらにライナーが加えて言うことには、巨人の力は現在失った手足の修復に手一杯であり、そもそも巨人化すらできないと思われる。例え殺しあったところで、弱った後に周囲の巨人に食われる恐れが強い。だから巨人が動けなくなる夜まではここに留まるしかないのだと。

ユミルのいくつかの問いかけにもライナーは核心的なことは答えず、「想像に任せる」「お前ならわかっているんだろ、ユミル」とはぐらかす。そこまで来てようやくエレンは「感情を抑えて情報をできるだけ引き出す」という考えに至ります。

エレンが何から質問すればいいか逡巡している間、ライナーは意外にも饒舌でした。前日に巨人出現の報を受けてから飲まず食わずで働き詰めていることへの愚痴、調査兵団の先鋭として臨機応変に状況に対処したこと、ウトガルド城で協力して巨人に対抗したこと、負傷したライナーをクリスタが優しく手当てしてくれたこと…。

あまりにも無邪気に、すでに失われた関係性…調査兵団の仲間として語るライナーを見て感情を抑えると決意したばかりのエレンはすぐさま激昂。全然抑えられていませんでした。ライナーはエレンがなぜ怒るか理解できないといった表情でしたが、ベルトルトに諭されハッとして頭を抱えます。

ユミルの洞察によれば、ライナーはその実直で正義感の強い性格から本来の戦士としての役目(壁を破壊し人類を皆殺しにする)と兵士としての役目(壁と人類を巨人から守る)を割りきって両立させることが困難であり、罪の意識から心の均衡を保つために心が分裂している。

そのため無意識に記憶が改変されていたり、話の辻褄が合わなくなることがあった。ウトガルド城で巨人に襲われたコニーを身を挺して助けたのも、彼の兵士人格での「本心」だった。演技ではない。口調や顔つきがガラッと変わるような漫画的にわかりやすい多重人格ではありませんが、このちょっとのズレ、話の噛みあわなさ、見た目は普通なのに決してわかりあえないという所がリアルな異質感を煽ります。

毒気を抜かれたエレン。戸惑いながらも訓練時代のことを問います。宿舎のベッドの上、ライナーとベルトルトに身の上話をした時、超大型巨人のせいで母親が家の下敷きになり、エレンの目の前で巨人に食われた。そしてエレンは巨人を皆殺しにすると誓った。その話を聞いてベルトルトはどう思っていたのか?

ベルトルトの答えは「…あの時は…気の毒だと思ったよ」激怒するエレン。怒鳴り返すライナー。見かねたユミルが口を挟みます。ガキみたいに小さなレベルでいがみ合ってたら敵には勝てないと。「なあライナー、あの猿は何だ?」「猿」とはミケの立体機動装置を奪いウトガルド城に現れた、人語を操る「獣の巨人」のことです。

見た目が手の長いオランウータンですからね。ちなみにエレンがウトガルド城に来たのは夜が明けてからなので、獣の巨人を見ていませんから「何だ、さるって?」とオウム返しです。ユミルが言うにはライナーとベルトルトが目指している先に獣の巨人がいて、それが彼らの「故郷」につながっている。だから二人は獣の巨人の出現を、目を輝かせて見つめ、チャンスと捉えたからこそエレンとユミルをさらうという行動を起こした。

ユミルに敵の正体を問うエレン。回答しようとするがライナーが会話に割り込む。ライナーはユミルを自分の側に引き入れるため説得開始。この世界には「先がない」。そのことを知っているなら、クリスタを守るという点では掛け値なしに協力できるはずだと。ライナーたちに連れて行かれたらまず助からない。

そしてライナー側についても身の安全は保証されない。だが、ユミルの挺身があり協力すればクリスタに未来を与えられるかもしれない…。眉間にシワを作り考えこむユミル。エレンはまたも蚊帳の外。再び敵の正体を問うエレンに、ユミルは「さぁな…」とだけ回答するのだった…。