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【特攻の島】感想ネタバレ第9巻(最終回・最終話・結末)まとめ

2004年から2017年まで連載していた佐藤秀峰による戦争漫画『特攻の島』の最終巻9巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめ。結末(ラスト)はいかに!?

特攻の島9

特攻の島9

 

ついに出撃した渡辺。敵駆逐艦が目前に迫る。渡辺の執念は結実するのか!?そして、海底に取り残された伊58潜の運命は…!?第二次大戦末期に実在した特攻兵器「回天」をめぐる極限の人間ドラマ、ついに完結。

本編あらすじ

渡辺は二度外すも標準を定め再度殺してやると何度も言いながら突撃。最後はオレを殺してくれと叫んでアメリカの駆逐艦に命中し爆発する。米駆逐艦オーバーヒル沈没。

艦長が気がついたのは7月26日。船内に酸素はほとんど残されておらず、艦の修理が完了するのが先か、酸素が尽きるのが先かという逼迫した状況だった。

副長より艦長が意識を失った後、敵の激しい爆雷を受けたことや渡辺艇や勝山艇について報告され、涙ながらに艦を守り抜いたことを労う。

その後、修理が終わり海面浮上を試みる。幸いなことに近くに敵の姿はない。損傷が激しく、浮上できただけでも奇跡と言われ、潜行は無理と判断。敵に見つかれば終わりという状況の中、本土に向けて微速前進する。

回転隊員から勝山中尉の荷物にあった遺書を開けてほしいと依頼される。見事な達筆で書かれていた遺書を読み上げ涙する一同。そして、もう一つ艦長宛に小さく折りたたまれた紙が渡辺の荷物の上にあった。

艦長に一つだけお願いがあります。ここに書いてあることを本土基地隊の皆様に必ずお伝えください。生きて帰った者を温かく迎えてやってください。艇の故障でまた何人かが帰ります。私だけ先に逝くことは…とても寂しい限りです。どうか温かく迎えてやってください。基地隊の皆様へお願いします。先に征く私にはこのことだけがただ一つの心配事なのです。

その後、別の潜水艦が重巡洋艦インディアナポリスを撃沈させたことについて触れる。インディアナは極秘任務で『ある物』を運んだ帰りだった。米大統領トルーマンの日記が抜粋される。

世界を通じて最も恐ろしい爆弾を作り上げた。目標は純粋に軍事的なものにするととともにジャップに対して降伏して人命を救うよう呼びかけるように警告の声明を出すことにした。警告で日本が降伏するとは思わないが、そのチャンスを与えたことになる。この爆弾をヒトラーやスターリンの一味が作り出さなかったことは世界にとって実に喜ばしい。これはこれまでに発明された最も恐るべきものだが、我々はそれを最も有益なものにすることができるだろう。

そして原爆が投下され終戦となった…。

板倉指揮官のもとを訪れる艦長。艦長は渡辺が残したメモを渡す。それを涙ながらに読む板倉指揮官。そして画帳を渡し、書かれている中身を二人で見る。画帳には様々な時期の自画像が残されていた。

回天隊にきた当初の自画像、故郷に戻ったときの制服姿の自画像、一度目の出撃の鉢巻を巻いている自画像、関口が死んだあとに描かれた自画像、生き残って基地に戻った後に描かれた自画像、最後の出撃前の自画像。最後に描かれているのは穏やかな表情の自画像だった…。

忘れないでくれオレのことを…オレ達がここにいたことを…。

完結 

***感想コメント***

特攻の島1

特攻の島1

 

実在の人物を登場させ史実に基づいたストーリー展開になっている本作。『海猿』や『ブラックジャックによろしく』で有名な佐藤秀峰による高い画力と表現力で読者の心に訴えかけてくるような漫画。特筆すべきはこれまでスポットが当てられなかった回天をテーマにしたところだろう。

世間的には神風特攻隊が有名だが、実際の特攻兵器は実戦未投入を含めると結構多いことはほとんど知られていない。あえて名前を挙げれば特殊滑空機『桜花』は百田尚樹による小説版『永遠の0 (講談社文庫)」』に登場したこともあり知名度は少しだけ高い。

永遠のゼロは漫画・映画化もされ大ヒットしたが、小説版と比較すると様々な制限があるせいで完成度がかなり劣るので注意してほしい。小説だと侮るなかれ。ラバウル基地での戦いの表現は見事。文字だけでも臨場感が伝わってくる名作である。

日本の終戦記念日では原爆や戦争反対というキーワードのみが強調され、第二次世界大戦に至った経緯や、開戦後の経過や戦後処理はあまり語られない。戦争末期に開発された特攻兵器の知名度も低いが、今回それを題材にした価値ある漫画だと言いたい。なぜこんな兵器が開発されたのかを考えるきっかけにしてくれる。

戦争の悲惨さに注目するのもいいが、日本人が日本人を殺すような作戦についても知ってほしい。世界史的にも例を見ない愚策として特殊滑空機『桜花』と人間魚雷『回天』があることを知ってほしい。どうしようもないやりきれない気持ちになる。 

回天について伝えたいのは十死零生という非人道的な兵器としての側面よりも、訓練中の死者が特攻兵器の中で最も多い点です。有効な特攻兵器などないが、回天の無駄死と成功確率の低さにも言及すべき点。実際に出撃戦死した者は87名(発進戦死49名)、訓練中に殉職した者は15名とウィキには書かれている。

他にも人間機雷『伏龍』は実用性に重大な欠陥を抱えつつ、訓練中に横須賀だけで10名の殉職者を出していたり、小型特攻ボート『震洋』は準備中の爆発事故で百名以上が死亡したりなど、戦ってもいないのに多数の死者が出ている。

東京都の九段下にある靖国神社境内『遊就館』に回天の実物や桜花のレプリカが展示されているので、ぜひ特攻の島を読んでから一度行ってみてほしい。予備知識を得たうえで来館するとまた違った感想が生まれる。