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【うなぎ鬼】感想ネタバレ第3巻(最終回・最終話・結末)まとめ

ヤングキングで連載していた『うなぎ鬼』最終巻3巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?

うなぎ鬼 (3) (ヤングキングコミックス)

うなぎ鬼 (3) (ヤングキングコミックス)

 

金に苦しんでいた倉見勝は重さが50~60キロのコンテナを黒牟のマルヨシ水産に運ぶという裏稼業をする事に…コンテナの中身とは一体…さらに売りの女に惚れた勝は女の本性を知ってしまい、破滅へとむかう…!

第15話 冷たい雨
第16話 暴走
第17話 後始末
第18話 にぎり飯
第19話 メール
第20話 檻
第21話 鬼の報い
第22話 刑場
第23話 心眼
第24話 うなぎ

本編あらすじ

デリヘルの運転手をしている倉見は、デリヘル嬢ミキを気に入り、お金も貸した。仲良くメールのやり取りをする仲にまでなったが、車内に忘れていた携帯電話を盗み見るとミキは倉見の登録者名を「ぶた」にしており、裏では金ヅルとしてバカにされていることを知ってしまった。

ミキは謝るかと思われたが、勝手にメールを読んだことに逆ギレし倉見を罵るミキ。その態度に怒りで我を忘れた倉見は、車内でミキを殺してしまう。殺害後に後悔にさいなまれる倉見は社長に電話して事情を説明。社長は黒牟にあるマルヨシ水産で、秀さんと共にミキの死体を処理する。

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その後は警察に捕まらないようにするため社長の家で一週間何もせず待機する。自分のしたことを反省する倉見。一週間後に仕事に復帰するが、自分が殺したはずのミキからメールが届く。姿を消している富田からも連絡が入り、ミキからメールが届き「会いたい」と言われていると報告される。

数日後、富田が死体で発見される。新宿の中央公園で殺されていた富田は、めった突きにされた上に首が抜けていた。現場は血の海になっていた。さらに桜の木に片足でつられており、転がった頭には声が出ないように口にゴルフボールが何個か入れられて上からガムテープを巻かれていた。

富田はミキに殺されたのではと怯える倉見。その後もミキから定期的にメールが届きとにかく謝れと繰り返している。倉見はあの夜のことを謝りたかった。恐怖を罪とするなら少しでも罪を軽くすることを贖罪だと考える。

恐怖を遠ざけるためにミキに会うべきだと考え、遂に会う約束をする。待ち合わせの場所に現れたのはハルカで、指示された車に乗るとそこの運転席にはマルヨシの山木が乗っていた。

マルヨシで拷問される倉見。ミキは山木の妹だった。妹を殺された山木は倉見の皮膚を包丁で少しずつ剥がし、鰻(ウナギ)の生け簀に落とす計画を立てる。

ウナギは肉が大好きで、顎が強いから皮がなければさくさく喰うと山木は話し、内臓めがけて何百匹ものウナギが潜っていくだろうと話す。

そのとき顔に傷をもつ秀さんが止めに入る。秀さんもミキが山木の妹だとは知らなかった。職場で人を殺すような真似はさせない。公一さんとも汚れ仕事も文句を言わず黙って引き受けると言ったが、殺しだけはやりたくない、やらせないとも約束したと語る。

秀さんの説得で殺害を諦めた山木。殺害されずに済んだ倉見は秀さんの家で治療を受けていると、秀さんが黒牟やマルヨシについて真実を語りだす。

マルヨシが人間の死体を受け入れていたのは事実だった。ただ、想像していたような惨いことは一切しておらず、引き受けた仏はまっすぐに焼却炉で焼いていただけだった。

きっかけは不法滞在の身内が死んだときのことだった。国籍がない者は基本的に火葬場が受け入れず、区の職員にかけ合ったもののたらい回しにされたため、マルヨシの焼却炉で焼いたのが事の始まり。

それから公一は暴力団関係の知り合いからの依頼で一体五百万円で処理するようになった。それは自分も生まれ育った貧しい黒牟のためでもあった。

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秀さん曰く、殺しは罪に食いつかれ、一生しがみつかれる。しがみつかれても平気な奴もいるが、そんな奴は人ではなく鬼だと話す。黒牟では色々な後始末をするが殺しや盗みは絶対にない。なぜならここの人間はずっと奪われ続けてきたからだと話す。

倉見は秀さんの話を聞き終えたあと社長の家の掛け軸にあった「鬼なるか人なるか心眼の有るか無きか」という言葉を思い出していた。

~エピローグ~

倉見は妻の朋子を連れて東京を離れた。前と同じ様なつくりの安普請のアパートに一度は手放したと諦めた平凡な生活を取り戻した。社長のつてで風俗店に勤める女の子たちの送迎の運転手をしている。

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鼻と腹に刺された傷はこの先も消える事はなさそうだ。山木に指を突っ込まれ渾身の蹴りを何度も浴びた左耳は聴力を失った。倉見は社長が東京から離れた土地で前と同じような仕事をさせているのは犯した罪を忘れさせないための戒めだと考えている。

俺の中に罪ががっちりとしがみついて今も行く末を阻んでいる。人を殺めた罪は未来永劫消えることはない。自分の中で育ててしまった獣が犯した罪。これから先ももしもその獣を殺す正義の刃が現れるとしたら、それは朋子の腹に宿った赤ん坊かもしれないと考える。

自宅に戻るとウナギを焼いている朋子。どうしたのかと聞くと社長からの届け物で会社の山木さんがわざわざ届けてくれたと話す。朋子の妊娠を知ると祝福の言葉をかけてその場を立ち去った。その話を聞いて冷や汗をかく倉見。電話が鳴り響いたシーンで終了。

***感想・評価・考察***

うなぎ鬼 (1) (ヤングキングコミックス)

うなぎ鬼 (1) (ヤングキングコミックス)

 

サイコホラー漫画としてじわりじわりと来る部分があり面白かった。

山木の目的はなんなのか。朋子を殺して復讐をするのかとも思えたが、殺害のチャンスがありながら実行しないでいるところが謎。失踪する直前、山木は富田の亡霊に怯えていたとの証言もあるので、倉見に謝罪をしたいため行方を捜したとも考えられるが、不気味な顔がその可能性を否定させる。

気になった点として死体焼却の金額が五百万円なのは高すぎるのでは?裏家業とはいえたかが死体焼却に五百万はあまり現実的な金額ではない。五十万くらいが丁度良い。輸送するだけで十五万円なんて美味しいバイトを土地柄への恐怖を理由にやりたがらない富田の心境がわからない。

また秀さんは黒牟にいる人間は他人のものを奪うことは絶対にしないと言うが、黒牟に住んでいるミキは倉見を騙し現金を奪っているのが矛盾している。これはミキが最近引っ越してきた立場であり純粋な黒牟の人間ではないと考えることもできるが…。

秀さんは山木に対して「ここでは殺すな」という説得だったので「あ、はい。別の場所で殺します」になる可能性があった。妹を殺された恨みから考えると、別の場所に移動すれば文句言われずに済むんだと考えないのか…。不思議でならなかった。

倉見は倉見で自分が殺したのにミキが生きていると勘違いするのは理解できない。裏で誰かが操作してメールを送ってきているのは明白なのに頼みの綱の社長に相談しないのは莫迦すぎると思いながら読みました。

なんとなく画のタッチは海猿を描いた佐藤秀峰に少し似ていると思った。ミキはどのみち誰かに殺されたと思う。まさに因果応報。秀さんは相当な苦労をしてきたと推測しているが、性格もどうしようもないほど曲がってしまったようだ。

タイトルの『うなぎ』の意味だが、どこかのキーパーソンになるかと思いきや特に何もないまま終了。要所要所で登場するものの、物語には直接的には関係しないで終わった。