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【うせもの宿】感想ネタバレ第1巻まとめ

月刊フラワーズで連載していた【うせもの宿】感想ネタバレ第1巻まとめ

少女のような女将さんがいる古い宿。そこを訪れる客は、失くしたものが必ず見つかるという。不思議に満ちた「失せもの宿」で起こる数々のドラマ、そして秘められた謎とは――。デビューコミックス「式の前日」、連載第1作「さよならソルシエ」が大ヒットの俊英・穂積が描く、驚きと感動の和風ファンタジー。

各話目次

【うせもの宿】客人1『不機嫌な客』
【うせもの宿】客人2『霜葉(そうよう)』
【うせもの宿】客人3『笠の雪(かさのゆき)』
【うせもの宿】客人4『薄紅(うすくれない)』
【うせもの宿】客人5『迷い椿(まよいつばき)』
【うせもの宿】客人6『帰り猫』

本編あらすじ

「式の前日」が面白すぎて購入しちゃいました。

仕事をしすぎる不愛想な男は失せものは「指輪」。小さい子供の失せものは「猫のぬいぐるみ」。登山家の男の失せものは「お守り」。学校の先生の失せものは「口紅」。いつも男のことばかり考えている母親は最後に庇うものとは。

マツウラと呼ばれる男性が連れてきた客は自分の探し物がわからないという。「マツウラめ…。また面倒な客を連れてきおって…」大切なものをなくしたことはわかるが、仕事のし過ぎか頭もはっきりしなく、そんなときに失くしたものが必ず見つかる宿があるとマツウラに声を掛けられたと言います。

「客人。大方あんたもあいつの口車に乗せられてやって来たんだろう」「ここで失せ物を探すのは勝手だが、くれぐれも面倒事は起こしてくれるな」と忠告されてしまいます。

失くしたものが見つかるという意味不明な説明や子供のような女将のこともあり騙されたと思う男性。早く帰って仕事をしなくては…と焦って探す為のヒントを貰おうと宿の者に聞くも「女将さんに聞いてください」と言われてしまう。

そこで女将に会いに行くが、お絵かきをして相手にしてもらえない。そこに描かれていた絵こそ男性が探していた物の答えだとはわからず——。そばにあったのは妻も好きだった桜茶。男性は味が苦手で出されても飲まなかった。

その後、旅館の夕食で出された食事は妻の食事と同じことに驚く。結婚してた頃も仕事が忙しくてほとんど家に帰らなかった男性。ご飯を作ってもらってもロクに口をつけていなかった。少しずつ記憶を取り戻していく「そもそもなんで別れたんだっけ?」

眠れない男性は女将を見つけ追いかけるも、気づくと自宅にいた。妻から別れ話をされた日の記憶が甦る。ずっと結婚指輪をしていないことを問われる。ビジネスホテルに泊まったときに失くしたままの指輪。「ただあなたと幸せになりたかっただけ」と言い残し去っていく妻。宿屋で失くした指輪を見つけて妻との日々を省みる。「桜茶くらい一緒に飲んでやればよかったな…」。

「この宿は本当は探し物が見つかる宿じゃなくて、(あの世に)持っていきたいものが見つかる宿なのね…」

うせもの宿とは、失せ者が失せ物を求めてやってくる宿だったんです。女将を含めスタッフたちは積極的にお客さんの手伝いをする必要は無く、あくまで女将が勝手に手伝っている様子。物には思いが宿る。女将いわく手伝っているのは暇つぶし。しかし客の心の中に触れてしまう女将は疲れてしまうようです。

登山家の男性の話。「なかなか風流な宿じゃねぇか!」暑い日にきたのは冬山を登る防寒着を身に着けた男性。自然豊かな景色に満足し、能天気に露天風呂に入りながら妻と娘のことを女将に自慢する。「どこに行っても帰れる場所があるってのは幸せだよな」

部屋でくつろぎながら記憶を思い出そうとするが、どうやってここまで来たのかが思い出せない。帰りの飛行機に乗った記憶もない。なんで旅館にくるまで登山の恰好のままだったのかもわからない。「そういえば俺どうやってここまで来たんだっけ?」

ようやく自分が死んでしまったことに気づく登山家の男性。目の前にはタンスがあらわれて…。登山家のお父さんは大事な家族の写真が入っているお守りを忘れていました。

ある若い母親の話。最初は実家の土地の権利書が大事なものであると探す。それさえあれば彼氏の借金が返せるとして一生懸命探す。若い頃から素行が悪かった女性には、若い頃に産んだ子供がいたが、その子供が自分にはなついていなかったとして苦手だと語る。

「親に絶縁されて男に騙され続けて…やっと今度こそ幸せになれると思ったのに」「あなたの人生で幸せな時はいつでしたか?」と言われ、子供が生まれてきたときのことを思い出す。そんなときにマツウラが連れてきたのは彼女の子供。彼女にとっての「失せ物」それは、土地の権利書なんかではなく、自分の息子だと気づく。

「だったら俺も連れてってくれよ!」と言う息子だが、息子はまだ生きているため「その門をくぐらないで!」と言い放つ。できることなら一緒にいたかったでしょうが、持っていくのは想い出だけで充分だと言い残し、涙を隠して去っていきました。

意識を取り戻した息子は叔父から「あの寒さの中でお前が体温を奪われなかったのは恵美子がお前を庇うように倒れていたからだ。俺にとっては最後まで碌でもない妹だったが…あいつも一応人の親だったんだな…」

息子のことが苦手だと語り、息子よりも彼氏が大事だと語るも、最後の最後で守ったのは自分の息子だった…。

また「うせもの宿」に入れるのは亡くなった人だけであり、生きている人が敷地に入ることは許されません。「さがし物が見つかればこの宿を出ていく。分かりやすいルールだ」客を連れてくるマツウラも絶対中には入れず、まだ生きている人なのだと思われます。

「何をさがしるんでしょうね。この宿の人間たちは」

「一体何をさがしてるんでしょうか…女将さんは」