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【YAWARA!】感想ネタバレ第20巻(最終回・最終話・結末)まとめ

1986年から1993年までビッグコミックスピリッツにて連載していた『YAWARA!』最新話を含めた最終巻20巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめ。結末(ラスト)はいかに!?

そして、世界は柔に恋をする。涙の最終巻!バルセロナ五輪、遂に無差別級決勝戦へ!準決勝の相手はテレシコワ、そして、決勝は、長年互いに戦うことを夢見てきた、親友・ジョディとの対戦…武蔵山高校柔道部の面々が、かつて柔が憧れた錦森が、三葉女子短大の友人らが、母・玉緒が、父・虎滋郎が、邦子が、富士子が、花園が、風祭が、さやかが、滋悟郎が、松田が、そして世界が見守る中―

※単行本は全29巻。文庫版は全19巻。 完全版は全20巻。

本編あらすじ

バルセロナオリンピックの無差別級準決勝で強敵アンナ・テレシコワを破る猪熊柔。決勝でカナダのジョディ・ロックウェルと対戦し、金メダル獲得。

日刊エヴリースポーツ松田耕作はアメリカの支社への転勤が決定。成田空港で一度はエスカレーターを降りて搭乗に向かうも、全力で引き返して告白し、両想いになる。

***感想・評価・考察***

YAWARA! DVD-BOX1

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  • 猪熊柔:皆口裕子
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柔道漫画の最高傑作。スポーツ女子漫画の最高傑作との呼び声高い名作だが、残念ながら電子書籍は販売されていないので、書籍版を購入するしかない。

1989年から1992年にテレビアニメ化されており、こちらも良かった。そして1996年7月19日の金曜ロードショーにて放映された『ずっと君のことが…。』も良かった。

ロードショーではアトランタオリンピックが舞台だったが、奇しくもアトランタオリンピック女子48キロ級で金メダル確実と言われた田村亮子が決勝戦で敗れたのは翌週の7月26日だった。

思えば女子柔道は1992年バルセロナオリンピックから正式種目として採用されているので、正式種目前から連載されていたことに驚く。ちなみにバルセロナオリンピックではオリンピック柔道競技で史上最年少メダリストに輝く田村亮子というニューヒロインが生まれることになる。

柔道界で猪熊と言えば1964年東京オリンピック金メダリスト猪熊功が思い浮かぶ。実際に猪熊滋悟郎のモデルになった人物である。また解説には84年ロサンゼルスオリンピック男子無差別級で金メダルを獲得した山下泰裕が実名で登場するなど柔道を知っている者への小ネタもいい。 

本作は伊東富士子の成長が一番の見所だと思っています。最初から最強柔道家の猪熊柔よりも、初心者から才能を開花させた伊東富士子のキャラが好き。個人的な名シーンとして挙げたいのが、紫陽花杯女子学生団体対抗大会に向けた練習で、柔から一本を取るシーンが良い。周囲はわざと投げられたと勘違いするが、投げられた柔本人と、見ていた滋悟郎だけは伊東の秘めたる才能に気づく。

いや、練習パートナーに猪熊柔、指導者に滋悟郎や虎滋郎という最強の練習環境に恵まれたおかげなのか。西海大学柔道部監督兼バルセロナオリンピックの柔道チーム監督の祐天寺豪造もリズム感、柔軟性、技のキレに驚く。

本作のベストバウトは本阿弥さやかと伊東富士子の対戦を押したい。紫陽花杯女子学生団体対抗戦に、三葉女子短大の副将・伊東富士子と、聖身女学館の大将・本阿弥さやかが激突。試合開始早々に初心者の素人集団と油断している本阿弥に伊東必殺の大内刈りが炸裂して技あり!

それでもまだ油断している本阿弥が不用意に背負い投げを仕掛けたところを、アンドゥトロワ!再度の大内刈りで一本!しかし、場外の判定で無効。九死に一生を得た本阿弥が猛然と襲いかかる。本阿弥は終盤に内股から大内刈りの連続技で技ありを獲得するが、時間切れで引き分けになってしまう。まさかの大番狂わせになった。

他のスポーツであれば18歳以降から競技転向して成功するアスリートもいるが、柔道界ではどうなんだろうと調べたところ、バルセロナとアトランタ2大会に出場した田辺陽子選手は高校卒業までは槍投げの選手だったらしい。たった2年で全日本体重別選手権で優勝したとあるので、よほどの才能に違いない。高校時代は槍投げでインターハイ入賞レベルなので、身体能力は相当高いことが推測できる。

のちに伊東富士子は最強の白帯選手として世界選手権に出場し、オリンピック強化選手になる。お手本のようなシンデレラストーリーである。結婚後に引退するも、出産を経て現役復帰。バルセロナオリンピックで銅メダルを獲得するに至る。現実の世界でも田村亮子が出産を経て08年北京オリンピックで銅メダルを獲得するが、柔道界では田村亮子以外に出産を経て第一線で活躍した代表選手は聞いたことがない。

12年ロンドン五輪金メダリスト松本薫ですら出産後は成績を残せずに引退を決意。引退会見では育児をしながらトップ選手であり続ける厳しさを吐露していた。母乳を作るのに栄養分を取られるせいか、両脛を何カ所も疲労骨折していたことも語られている。

メディアは気軽にママさんアスリートと言うが、格闘技の分野では特に難しいようだ。時代に先駆けてそうしたキャラを描き上げた浦沢直樹はやはり凄い。私の中で最初のママさんアスリートは伊東富士子だと言える。