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【隣の悪女】感想ネタバレ第5巻(最終回・最終話・結末)まとめ

週刊ヤングジャンプ(となりのヤングジャンプ)で連載していた『隣の悪女』最終巻5巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?

隣の悪女 5 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
 

 「私はこうして悪女(おに)になった」復讐を完遂すべく、ついに本性を表した“隣の悪女”一色花音。桐太に関わる大切な人達を巻き込んだ壮絶な復讐劇がいま終わりを告げる。花音の真の目的とは…!? そして彼女の背負う悲痛な過去とは――。日常の隣で起こるラブサスペンス。終幕の第5巻。

目次

第36話 蟲惑的な児童
第37話 蟲惑的な少女
第38話 蟲惑的な約束
第39話 蟲惑的な共犯者
第40話 蟲惑的な悪女
第41話 蟲惑的な復讐
第42話 蟲惑的な赤子
第43話 蟲惑的な結末
第44話 蟲惑的な結末
最終話 隣の悪女

これまでのあらすじ

佐藤桐太は一色花音の策略によって鈴木亜里子と不仲になり別れさせられ、高校時代の片思いの相手の一色花音と付き合うことになる。佐藤桐太の友達の島袋カケルも一色花音の罠に落ちてしまう。佐藤桐太の両親や兄弟も…そして佐藤桐太は旅行中に気を失い気がつくと崖の上で首に縄をかけられた状態になっていた。

六本木一家心中事件とは?佐藤桐太と鈴木亜里子の関係は元に戻るのか?一色花音が佐藤桐太や鈴木亜里子に復讐する理由とは?すべての謎が明らかになる!

本編あらすじ

一色花音は幼少期に両親が離婚しており、医者で多忙だった花音の母は仲の良い竜王寺家と、のちに六本木一家心中が起きた白樺家に花音を預けることが多かった。白樺家は両親と兄妹の4人家族。妹の蛍は他人を寄せ付けない態度で最初は拒否されていたが、中学になる頃には仲良しになっていた。一色花音は母親から愛情を注いでもらわなかった代わりに白樺家で家族同然に愛情を注いでもらい育っていく。

ある日、蛍は病気で長生きできないことを本人から知らされる。闘病しても助かりにくい病気で自分には未来がないという疎外感からひねくれていた蛍。蛍は苦しくないうちに死にたいという自殺願望をもっていた。

兄の英治は妹の自殺願望を以前から知っており、ずっと一人でこの秘密を抱えており悩んでいた。英治と花音はできることを話し合い、蛍に生きていたいと思い続けてもらえるような日常を築くことを約束したのだった。

それから時が経ち蛍の病気は少しずつ確実に悪化し蛍は高校に行けなくなるまでになるが蛍の両親や花音が蛍を支え、蛍も懸命に闘病した。花音が高校三年のとき蛍が外出できないため花音は桜の絵を描いてお花見を病院内でおこなった。驚きのサプライズに嬉し恥ずかしそうにする蛍。そのときに書いた絵が優しい色彩だと評価され入選した。

花音は蛍の力になりたくて高校卒業後は看護学校を志望。兄の英治も同じ理由で医大に進学していた。それからさらに時が流れ、蛍は深刻な状態が続くようになり、辛い治療を繰り返し家族全員が疲れ果てていた。花音はこの頃にはこの先もっと体が苦しくなってツライ思いをするだけなら、もう蛍に生きていてほしいとは考えなくなっていた。

蛍本人からも「家族や花音と過ごしたくて頑張ったけど(生きるのを)終わりにする」と告げられ、泣きながら蛍の為に「私達が蛍を殺してあげる」と語る。以前から英治と話し合っており海外の自殺幇助してくれる国も検討していたが費用の問題で断念。入念な計画のもと蛍を崖の上で首つりで自殺したようにみせかけて殺害。

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警察は死因や現場検証そして病室に残されていた遺書から自殺と断定。遺書には兄が自殺に関与していないことと両親への感謝と悲しみを軽減させる内容が書かれていた。悲しみにくれる両親だが英治と花音の二人は真実がバレないように演技しながら支える。二人は秘密と罪悪感の運命を共有して生きていくはずだったが、事態は目撃者が現れたことで事態は暗転する。

その目撃者こそバードウォッチングに来ていた佐藤桐太と島袋カケル。たまたま殺人幇助の現場を目撃してしまった二人は最初は犯人からの報復を恐れて通報を躊躇ったが、彼女である鈴木亜里子の後押しもあり警察に目撃情報を通報するのだった。

刑事が自宅を訪れたことで、これ以上は誤魔化せないと感じた英治は両親に自分の口から真実を話す。両親は「英治と同じ立場ならきっと同じことをした」として責めずに英治の行動に理解を示す。そして一家は心中を選択する。両親は首を吊り、兄の英治は屋上から「花音が好きだよ」と最後の言葉を残して飛び降りる。

犯人逮捕のために良かれと思って通報した佐藤桐太だが、病気に苦しむ妹を思い兄が自殺幇助し、それが佐藤桐太の通報でバレて追いつめられた一家は心中したことをニュースで知った桐太は罪悪感に苛まれる。

全てを失った花音は起き上がる気力すら無くす。竜王寺美雨によって目撃者の情報を教えてもらった花音は、目撃者のことを考えるのを止められなくなっており、ついに見たい気持ちを抑えられなくなってしまった。

目撃者も罪悪感に胸を痛めているに違いない、悲痛な姿を見れば彼らを許せる、復讐心に飲まれなくするために必要だと感じた花音だが、そこで見たのは笑いながら食事をしている佐藤桐太と鈴木亜里子。こうして花音は悪女(おに)になった。

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目撃者と目撃者の家族を殺す。それと通報のきっかけを作った亜里子から大切なものを全て奪うことを決めた。島袋の両親が死ぬように仕向けたのも、桐太の原付バイクに細工をほどこしたのも、亜里子をベランダから突き落とされたふりをして犯人に仕立てたのも、桐太の実家の庭に毒草を植えたのも全て花音だった。

すべてを伝え終えた花音は桐太を殺そうとするが足が震え殺せない。復讐心から桐太に近づいたが桐太の優しさが花音の心を癒し桐太を愛してしまったことを知る。そこに竜王寺美雨と亜里子が到着。

長崎で自殺した亜里子は竜王寺美雨によって助け出されており、白樺家の廃墟で死んだと思われた島袋カケルも縄が切れたため死んでおらず佐藤家も中毒状態になったが早期発見で快方に向かう。復讐は失敗したことを伝え泣き崩れる花音。みんなは花音のことを許そうとするが花音自身が自分のことを許せず、崖から飛び降りる。荒れ狂う海からは見つけられず事故扱いになる。

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~エピローグ~

その後、島袋カケルは児童養護施設に身を尽くす。竜王寺美雨はその後も占い界のトップに君臨し華々しい人生を送る。亜里子は美雨の秘書として頭角を現す。情緒の激しさから4度離婚するものの徐々に精神は安定し五十代で出会った男性と生涯添い遂げる。ちなみに亜里子が飼っていた鳥のピータンは殺されておらずペットホテルに預けられていた。

桐太は夢だった教師になる。桐太は花音が復讐を遂げるか否かずっと苦悩していたのではと考える。ピータンを殺せず、苦悩のせいで島袋カケルを殺す縄が外れるというミスをしたのではと。そして入籍したのも亜里子をキズつけるだけでなく…。桐太は今でも花音を愛しているため籍を入れたまま同じマンションで暮らしていた。

ある日、桐太が自宅で署名活動をお願いされると、その用紙には一色花音(佐藤花音)と書かれていた。家の近くで書いてもらったと聞き、家を飛び出して辺りを見回ると花音らしき後ろ姿を見つける。どんな顔をして会えばわからない花音は逃げるが、花音を捕まえてまだ好きなことを伝えて最後は抱擁し合って完結。

***感想・評価・考察***

隣の悪女 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
 

週刊ヤングジャンプでの連載から途中から『となりのヤングジャンプ』に移籍。人気週刊誌に連載していたのになぜかウィキペディアはないことから人気はでなかったと予想されるが、個人的には実写化(深夜ドラマ)に向いている内容だと思った。

最終的に花音は生きており、桐太のことが忘れられず桐太の自宅近くまで見に来ていたことがわかりました。身分を隠しながら生活していたということでしょうか。失踪期間は最低でも数年以上みたいですが、このご時世に竜王寺美雨の目を掻い潜り、どうやって身分を隠して生活していたかが気になります。

桐太側も全ての誤解が解けても亜里子とヨリを戻すことなく行方不明の花音に一途というのはアリですが、そこに至るまでのエピソードも少しほしかったかなと。また桐太以外の人物に関してはその後の人生が書かれているので、花音と再会した桐太とのその後があってもいいのかなと。野暮かもしれませんが。

簡単に言ってしまえば聖母のような女性が家族を失う原因を作った人間を殺そうとするができなかった(島袋カケルの両親は死ぬきっかけを作ったが、どちらかと言えば自然に自滅したというほうが正しい。カケル自身はむしろ感謝している)というのが本作。人物の躍動感がなく画の評価は低いが展開は面白いと思った。4巻終了時点でどうしても結末が気になり5巻を購入したが、結末には気になる点を残しつつも総合的には満足しました。