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【アルスラーン戦記】感想ネタバレ第5巻まとめ

最新刊!田中芳樹の歴史ファンタジー小説を原作に『鋼の錬金術師』『銀の匙』の荒川弘が漫画を手掛ける大ヒットコミック『アルスラーン戦記』第5巻の感想ネタバレです。別冊少年マガジンで連載中!

王太子アルスラーンと5人の英雄からなるパルス奪還軍は窮地に陥っていた。新たなる仲間を求めて、カシャーン城を脱出した一行は、敵軍の強襲で三組に分断されてしまう。再結集の地は、東の国境城塞・ペシャワール!散り散りに前進するアルスラーンたちに、復讐に燃える銀仮面とカーラーンの息子・ザンデが襲いかかる!決死の行軍!!その先に待つ未来は…!?

目次

第28章 ゾット族の娘
第29章 黄昏の村
第30章 蛇王の影
第31章 瞼の奥
第32章 戦士の帰還
第33章 サームの帰従
第34章 魔の山

本編あらすじ

自分が騎士階級の乳母夫婦に育てられていたこと、その優しかった乳母夫婦も数年前に葡萄酒の中毒で亡くなったと自身の過去を語るアルスラーン。その話を聞いたギーヴはその乳母夫婦がいっぺんに亡くなったことについて本当に中毒死だったのか?と訝しんでいたが…。

一方、アルスラーンたちと離れ離れになってしまったダリューンとファランギースはルシタニア軍の追手を蹴散らしつつペシャワールへ向かっていた。ルシタニアの兵は相手がダリューンだと知って逃げ出そうとするものまで現れていたが、そこにその部隊を率いていたザンデが現れ剣を交える。ザンデは父であるカーラーンを殺したダリューンに向かっていくもののファランギースに邪魔され彼女と戦う。

ザンデとファランギースの戦いは力こそザンデの方が上回っていたものの素早さではファランギースが上回っており、そのスピードに翻弄されてしまっていた。それでも一時的にファランギースとの間合いを空けることができたザンデは部下たちにその相手を任せ、俺の相手は貴様だと自らダリューンに向かって馬を走らせる。

ザンデの猛攻をしのぎながらダリューンはその闘志や力を見てよくここまで育て上げたものだとカーラーンに感心していた中、ファランギースの矢がザンデの馬を射抜く!

それによって落馬したザンデに対し剣を振り上げるダリューンだが、何故かその剣はザンデの命を奪うことなく振り下ろされていた。それでもザンデが動けなくなったことでその場から逃げることに成功したダリューンだが、追手を振り切ったところでファランギースから剣を振り下ろすのをためらったことについて突っ込まれてしまい、甘いと言われてしまう。

ダリューン自身もそう思っていたため、危険な男だと認識したザンデに対しためらわずに剣を撃ちおろすべきだったと話し、それを知られたらうちの軍師に嫌味を言われるだろうなと呟いていた。その頃、一人はぐれてしまったナルサスはルシタニアの包囲網から抜け出すために行動していたが、待ち伏せしていたヒルメスの部隊の斥候に見つかってしまう。

そして部下からナルサスを見つけたとの報を受けたヒルメスが動こうとしたその時、彼の前にヘイルターシュと名乗るゾットの族長が姿を現す。部下を従えたヘイルターシュはヒルメスに対し助けて欲しければ剣と金を差し出せと要求するが、ヒルメスは人とも猿ともわからぬ蛮人なぞ知らぬとヘイルターシュを嘲笑。

ヘイルターシュは自分が馬鹿にされたことで怒りのままにヒルメスに攻撃を仕掛けるが次の瞬間にはヒルメスによって一撃でやられてしまっていた。それを見たヘイルターシュの部下たちが族長を一撃で倒したヒルメスにビビったのか後ずさりし始めていたところそこへよくも親父を殺したな!と言いながらヒルメスへと斬りかかる少女の姿が。

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その少女はヘイルターシュの娘、アルフリードだと名乗ると父親の仇を取らせてもらうとしてヒルメスを睨みつける。アルフリードという名を聞いたヒルメスはその名が本来王族や貴族の姫君に使われる名だとして下賤な盗賊には過ぎた名であると見下すように告げ、その増上慢に罰を下すと言い放つ。

それに対しアルフリードはやってみればいいと応え、ヘイルターシュの部下と共にヒルメス率いる部隊との戦いへと臨む。そしてアルフリード本人は仇とばかりに父親を手にかけたヒルメスへと戦いを挑むが…!?

ヒルメスに向かっていったアルフリードだったが、一合も打ち合うことが出来ないほど実力が離れていたようで持っていた剣を弾き飛ばされ防戦一方となってしまう。剣を失いながらも何とかヒルメスの攻撃を躱し続けるアルフリードだったがその間に彼女の部下たちは全滅させられてしまっていた…。

そしてアルフリードも彼らの後を追うようにヒルメスによって斬り捨てられようとした次の瞬間、ナルサスがこの場に姿を現していた。現れたナルサスに対しヒルメスはアルスラーンの行方を尋ねるもののそれを話すわけもなく一瞬触発の状況になる中アルフリードは二人の間に入りナルサスに手を出すなと告げる。

父親の仇だとして自分が倒すと言い張るアルフリードだったが、先程剣を失っていることからその点をナルサスに突っつかれならばとナルサスの持っている剣を貸せと言い出し…。

そして貸す貸さないの話しになり先程の緊迫した状況が嘘のように漫才のようなことを繰り広げる二人に対しようやくヒルメスが声をかけようとした瞬間、彼らの頭上から岩が…!?それによって兵士の一人がゾット族がまだいるのか!?と訝しむ中ナルサスはアルフリードを連れてその場をいち早く脱出していたのだった。

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共に馬に乗り走る中、ナルサスはあの岩を落としたのが自分であるとアルフリードに説明していた。そしてその道中、ナルサスはアルフリードから父親を手にかけたときにヒルメスが『王侯の手にかかって…』と話していたことを聞き『王侯』という言葉になにか引っ掛かりを覚えていたが…。

その後、アルスラーンたちと合流するため東へと向かうことを説明するナルサスだったが一度助けたなら最後まで責任とってくれなきゃとしてアルフリードも同行することに。

そして日が暮れた頃、ある村へと辿り着いた二人だがその村の様子はどこかおかしく、夕餉の時間だというのにどの家からも炊煙が上がっていなかった。警戒しながらも村へと入っていった二人はその村の住民全て何者かの手によって殺害されているのを発見する。

その原因までは解らなかったもののとりあえずどこかの家で体を休めることに決めるが突如地面からナイフを持った手が現れナルサスを襲う…!!地面から現れた謎の手の攻撃をなんとか躱し続けるナルサスは攻撃を仕掛けたときにその手が地面に潜っていくのを見てそれが『地行術(ガーダック)』であることに気づく。

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地中を自在に移動する術が魔道にあることを思い出したナルサスは村人たちの傷が下半身だけだったことにようやく合点していた。そして攻撃を躱しながら近くの民家のそばへと回避しそこにあった地面ではなく石の上に立つとその手は石の上には関与できないようで…。一時的に息を整えることが出来たナルサスはどうしていいかわからず困惑するアルフリードを近くの樹に登るようにと指示。

その際、アルフリードがナルサスと呼んだことで戦っている相手が誰か分かったのかどこからかこんな所で会えるとは…と笑う不気味な声が…。その事から相手が自分の事を知っていると判断したナルサスは口を聞く相手なら恐れないとして打開策を練り始める。そして何か思いついたのか近くにナツメヤシの木があるならばとすぐそばに壺に入ったヤシ油を見つけ地面へと流す。

木の上からその様子をみるアルフリードは何をしようとしているのか全く分からない様子だったがナルサスは布切れに火を灯し地面へと…!?ナルサスが何をしようとしていたのか解ったのか魔道士は叫び声を上げながら攻撃を仕掛けるがそれは一手遅かったようで次の瞬間、地面は火に包まれていた。

その火は地面の下にいたらしい『地行術』を使っていた魔道士もろとも燃やすつくし、その火を浴びた魔道士は死に体でありながらナルサスへと向かうものの持っていた剣で首を刎ねられることになるのだった。

その一連の様子を見ていたアルフリードはナルサスに対し思うことがあったようで突然年齢を聞いたかと思いきや果敢にアプローチを仕掛け…!?その頃、ヒルメスと合流したザンデはダリューンを逃がしてしまったことを報告していた。そんな中、ギスカールからの伝令によってエクバターナに戻るようにとの指令を受けたヒルメスはアルスラーン追撃をザンデに任せ一路エクバターナへ。

しかし、ヒルメスの心中では何故パルスの正統な国王である自分がギスカールごときの要求に応じなければならないのかと憤っておりそろそろ奴から離れるべきかと思い始めていた。一方、エクバターナの地下では魔道士たちが集まっていた。それはナルサスによって倒された魔道士・アルザングに関する話であったがその筆頭らしき男は特に何も思っていないようで…。

男はかなり活力が戻ってきたと言いながら自らの体を動かすと誰かにまたルシタニアの大物を葬ってもらわなければならぬと言い仮面を手に蛇王ザッハーク様のためにと笑みを浮かべるのだった…。エクバターナへと帰還する途中、道中にあった村で一夜を過ごすことになったヒルメス一行。

しかしギスカールからの使いだという男はその村での待遇が気に入らないのか不平不満を漏らし続けていた。そうした中、ヒルメスは使いの男によって乱暴されそうになった目の見えない娘を助けることに。

そして夜が更け皆が寝静まる頃、ヒルメスはさきほど助けた娘が切っ掛けになったのか顔にある火傷に触れながらある女性の姿を思い出していた…。一方、エクバターナではイノケンティウスが聖堂騎士団からの性急で一方的な言い様に困り果てギスカールへ相談を持ち掛けていた。

そのうろたえる様子にギスカールは内心今頃分かったかと思いつつも話しを聞いていたがイノケンティウスがタハミーネのことに触れたことで心配になってアンドラゴラスがここの牢の中にいることを話していないかと尋ねることに。

さすがのイノケンティウスもそこまで分別がないわけじゃないことを聞き安堵しながらもギスカールは王の死が確認されればアルスラーンが新たな王になりパルス内の反ルシタニア勢力は統一されてしまうことを危惧しておりさらにタハミーネが何を考えているのかわからないうちは早まった真似は出来ぬと考えていた。

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その頃、ボダンはヒルディゴから異教徒の女を娶ろうと考えているイノケンティウスを廃立してはどうかと提言されていた。それを聞いたボダンはその場合跡を継ぐのはギスカールということもあり難色を示していたが、本国に幼少の王家の血を引くものがいると告げられ子供や赤ん坊のほうが操りやすいかもしれないと笑みを漏らしていた。そしてさらにヒルディゴからボダンこそが教皇になるべきではないかと言われ滅多なことを言うものではないと応えながらもその顔は…。

そうして和やかに話が終わり部屋を辞したヒルディゴだったが自分があれほど好意を示し持ち上げたのにも関わらず何も土産を寄越さないことに内心憤っていた。それでもせっかくパルスまで来たのだから稼がせてもらうとしてギスカールのもとへ。

ヒルディゴはギスカールに対しボダンがイノケンティウスに失望していることを告げそれは自分達の報告次第で変わると話し見返りを求めようとしたところギスカールは笑顔を見せ、これは私個人から騎士団への喜捨だと告げ金銀財宝のある部屋へと案内していた。

それを目の当たりにしたヒルディゴは口では聖職の身にあるものが~と語りながらも喜びに満ちており、さらに帰り際にギスカールからあとで宿舎に『改宗希望者』を送り届けると言われ笑顔を浮かべて宿舎へ帰って行くのだった。その様子にどうせボダンは賄賂など送ったことがないのだろうと判断しボダンが冷たい石ならばヒルディゴは火に当てたチーズだと例えるのだった。

そして夜が更けるとヒルディゴのもとへギスカールから『改宗希望者』という名目で美しい娼婦が姿を見せていた。そうして次の日の朝になりヒルディゴの部屋の外から朝餉の用意が出来たという声が掛けられるが部屋の中ではヒルディゴと娼婦の女が血まみれになってすでに息を引き取っていた…。ヒルディゴが不可解な死を遂げたとの報を聞いたイノケンティウスは混乱を隠し切れない様子でギスカールのもとへ。

当然その報せはギスカールにも入っていたようで表向きはイノケンティウスに落ち着いてくれと言いながらも内心ヒルディゴを飼い慣らしてボダンを背中から刺させようと思っていただけに舌打ちしてしまうほど憤っていた。

そしてそんなことよりもまず誰がヒルディゴを手にかけたのか調べることになるがそんな中、ドスドスと足音を響かせたボダンが部屋へと入ってくると同時にイノケンティウスに何故ヒルディゴを殺したのかと詰め寄り…!?

ボダンはヒルディゴを手にかけたのがイノケンティウスだと決めつけさらにそれを止めようとしたギスカールにも疑いの目を向けるがギスカールから同衾していた女性がいたと言われ呆気にとられてしまう。さらにそのことを追及されたボダンは怒りに身を震わせながら部屋を後にするが、その後イノケンティスにもとへ聖堂騎士団の者達が完全武装しボダンの下へ集いつつあるとの報が!?

余りの事態に泣きついてきたイノケンティウスに対しギスカールはボダンが何をしようとしているのかと考えた結果イアルダボート教の神旗を狙っていることに気づきすぐさま近くにいた兵士たちにすぐに持ってくるようにと指示。その考えは間違っていなかったらしく神旗を持ち去ろうとしている聖堂騎士団と争いになる。

しかし聖堂騎士団のほうが数が多くこのままではマズイと思い始めたその瞬間馬に乗ったヒルメスが現れ瞬く間に聖堂騎士団を殲滅するのだった。無事に神旗が守られたことにヒルメスに礼をいうギスカールだったが、ヒルメスはわざわざ王都にまで呼ばれたことに対し不満を隠せない表情を見せていたがそんな中、ボダンが聖堂騎士を引き連れ城を出ていくという行動に。

なんとか落ち着きを取り戻したギスカールはヒルメスにボダンを説得してもらおうと考えていたことを明かしそれを聞いたヒルメスはその場を後にするがとんだ無駄足を踏んだことに憤りを隠せないようで…。そうした中、『かの者』がヒルメスと話がしたいとの報告がありとある部屋へと向かうとそこには死亡したと思われていた万騎長サームの姿が…!?

エクバターナ防衛戦でヒルメスの刃によって命を絶たれたと思われたサームはなんとか命を繋ぎ、目が覚めた時にはベッドの上にいた。目覚めたサームは傍にいたカーラーンから自身の状態とエクバターナが陥落したと聞かされる。

そうした中、ヒルメスが部屋へとやって来て後は自分が話すとしてカーラーンにはアルスラーンを追うようにと指示。それを受けてカーラーンはその場を後にし残されたサームはヒルメスから跪いて挨拶するようにと言われるも自分が跪くのはパルスの国王だけだと言い放ち傷だらけの体を押してあえて望むのなら俺を殺せと啖呵を切っていた。

そんなサームの剛直さが気に入ったのかヒルメスは笑顔を見せながら自分にはお前に拝跪を命じる資格があるとして仮面を外し、俺の名を知っているはずだと問いかけるとサームにも目の前の男が誰なのか分かったようであまりの事に驚愕しながらヒルメスの名を呼ぶのだった…。サームに呼ばれ部屋へとやって来たヒルメスだったが、すぐさま東に行かねばならないようで彼の返事を聞こうとしたところサームはルシタニア人どもを必ず追い払っていただけますかと問いかけられる。

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ヒルメスは必ずと言った上で、もはや奴らに何の用もなく機会を待ちことごとく追い払ってくれると答えるとサームはヒルメスの前に跪き忠誠を誓いヒルメスもまた頼りにしているぞ、万騎長サームよと笑みを浮かべ声をかけるのだった。

一方、ボダンが聖堂騎士団と共に城から離れたことで喜ぶイノケンティウスだったがギスカールはタハミーネの事やアンドラゴラス、さらにはヒルディゴを殺した犯人と様々な問題が解決していない状況に頭を抱えていた。

そんな彼が自身の部屋で休みを取ろうとしていたところ聖堂騎士団が王都を離れる際に用水路を破壊していったとの報告が。それにより広大な農耕地が水浸しとなり再建には10年はかかる事、さらに春から夏にかけて水不足に陥ると聞かされたギスカールは流石に怒りが頂点に達したのか出ていったボダンにやっていい事と悪いことの区別もつかんのかと叫び声をあげるのだった。

そしてあくる日、いつものように王都の民がイアルダボート神に反したとして処刑が行われている様子を横目で見ていたヒルメスは民の中に怪しい動きをする黒人奴隷の姿を発見する。

その奴隷はキシュワードの密偵だったらしく告命天使(スルーシ)を伝令役としてその内情を報告する役目を務めていたため、いつものようにスルーシに手紙を括り付け放とうとしていたが、そこに男の後を追って来たヒルメスが姿を現す。

密偵の男はすぐさまスルーシを放とうとしたもののヒルメスによって殺害されてしまい男は怒りのままにヒルメスへと斬りかかるが、一蹴されてしまう。そんな男に対しヒルメスは尋問するが、男はなにも答えずそんな男の反抗的な態度が気に障ったのか怒りのままに手にかけてしまうのだった。そして兄弟であったスルーシになにかあったことに告死天使(アズライール)は気づいたようで…。

一方、ルシタニアの兵たちから逃げるようにして馬を走らせていたアルスラーンたちはようやく目的地であるペシャワール城塞が見える場所まで辿り着き…。アルスラーンとの再会を願いペシャワールを目指すダリューンとファランギースはしつこく追って来るルシタニア兵を薙ぎ倒しながら先へと進んでいた。そしてペシャワールが見えるまであともう少しというところでそいつは俺に譲れと声を張り上げながらザンデが姿を現し…!?

父の仇だとダリューンをつけ狙うザンデに対しダリューンはあの戦いは正々堂々と戦った結果であり、そもそもパルスの万騎長でありながらルシタニアの手先になったこそ恥じるべきではないかと告げる。それを聞いたザンデは父がルシタニアの手先になっただと激昂しながら自分や父はパルスに正統の王位を回復するためだに一時膝を屈する真似事をしただけだと叫ぶ。

ダリューンが正統の王位とはどういう意味なのか問いかけるとザンデは知りたければ俺と闘えと一対一での戦いを求めダリューンもそれを受け戦いが始まるがザンデは次の瞬間、一合も打ち合うことなくまともに一撃を食らい馬から落馬させられていた。あまりのことに呆然とするザンデはそれでも負けを認めずダリューンに斬りかかるがファランギースの矢に腕を射抜かれてしまう。

それでも諦め悪く腕から抜いた矢をダリューンに投げつけ背中を向けてその場から逃走しようとするがファランギースの矢を背中に受けそのまま崖を落ちてしまい、彼に従っていた兵たちもその後を追いかけ撤退するのだった。そうして残された二人はザンデを放って置いて先を急ぐことになるが、ダリューンはザンデとカーラーンが言った正統の王とはどういう意味なのが考え続けていた。

あくる日、ギーヴは鞍の跡がある一頭の馬を発見し肉にするかそれとも食糧と交換するかと思案しながらも馬を捕まえるため縄をかける。上手く首に縄をかけることに成功したギーヴだったが、そこへその馬の持ち主と見られる何者かが現れ剣を向けるが、その相手は道中ではぐれてしまっていたダリューンだった。

ここで再会するとは思っていなかったのかお互いに驚いているとそこにファランギースが現れギーヴはいつもの通り声をかけるが相変わらず一蹴。そんな掛け合いをしているとそこへアルスラーンとエラムが姿を見せお互いに再会できたことを笑顔で喜んでいた。

ダリューンはアルスラーンたちの格好がぼろぼろであることに気づき危険に晒してしまったことに頭を下げるが、アルスラーンは謝ることはないとした上でギーヴとエラムに助けてもらったと語る。

ダリューンはギーヴに対し今まで疑っていたことを謝罪すると共に改めて礼を述べるとギーヴは「男にしおらしくされても」と憎まれ口を叩きながらも一流の男に認められるのは嬉しいものだと笑顔を見せるのだった。

そして話は未だ合流を果たしていないナルサスの話へと移りアルスラーンはナルサスを捜しに行くことを提案するが、ダリューンはその言葉をありがたく思いながらも殿下にそうさせるのはナルサスとしても本意ではないとして彼を心配するエラムと二人アルスラーンたちと別れ捜しに出る。

一方、ギーヴとファランギースと共に先にペシャワールへと向かうアルスラーンは相変わらずの二人の掛け合いを聞きながら先を急いでいたところ他の山とは一線をかくす山に気づく。

あの山は何だという問いに対しファランギースからあの山は三百年以上も昔英雄王カイ・ホスローが蛇王ザッハークを封印したとされる魔の山であり正統の王の証である聖剣ルクナバードが眠るデマヴァント山であると応えるのだった…。