2016年8月22日に堂々完結した『BLEACH』。数々の名言・名シーンを生み出し、メディアミックスも盛んに行われてきました。そんな連載生活15年の歴史に幕を下ろした作者・久保帯人とは一体どういう人物なのか。彼の魅力・特徴に迫ります。
- ジャンプの黄金時代を支えた『BLEACH』作者・久保帯人
- 代表作1│超大作『BLEACH』
- 代表作2│デビュー作『ZOMBIEPOWDER.』
- 久保帯人作品の魅力!ポエムってなに…?
- 第16巻は題名にも秘密が…
- 緻密に編み込まれたストーリーや伏線
- 同じ顔は2つとして見ない画力の高さ
- 久保帯人の驚きのエピソード!実は一護が一番描きにくかった!?
- 実写映画化も決定!まだまだ熱が冷めない久保帯人の次回作に期待大!
ジャンプの黄金時代を支えた『BLEACH』作者・久保帯人
名前:久保帯人(くぼ たいと)
生年月日:1977年6月26日
出身:広島県安芸郡府中町
活動期間:1996年〜
ジャンル:少年漫画
子供の頃から漫画を描くことを好み、小学3年生にして漫画家になることを志します。高校生の時に登校した作品が担当編集の目にとまり、その後も数回の読み切りを経て、デビュー作『ZOMBIEPOWDER』を連載開始。そしてそのわずか2年後に日本国民誰もが知る大人気漫画『BLEACH』の連載を果たすのです。
趣味はお笑いと音楽で、こと音楽に関しては作品の題材にもなるほど…。また非常に飽き性でもあり、2年に一度は引っ越しをしているなど、その様子が単行本やジャンプのコメント欄に綴られることもしばしばあります。
代表作1│超大作『BLEACH』
・雑誌掲載:週刊少年ジャンプ
・コミックス巻数:全74巻
・受賞歴:第50回小学館漫画賞 少年向け部門 受賞
久保帯人自身2作目の作品にして、メガヒット作。累計発行部数なんと8700万部を記録し、映画、ノベライズ、ゲームやアニメなどメディアミックスも盛んに行われています。その人気が高じて、テレビ東京が自社の業績に貢献しているアニメの一つとして『BLEACH』の名前が挙げられました。
また、久保帯人自身の名前を広めた作品であり、国外でも人気の作品でもあります。特にアメリカでのファン交流の際には、あまりの来場者の多さから入場できなかったファンが続出。久保自身、その時に人気の高さを自覚したそうです。
代表作2│デビュー作『ZOMBIEPOWDER.』
ZOMBIEPOWDER., Vol. 1: The Man with the Black Hand (English Edition)
- 作者:Kubo, Tite
- 発売日: 2012/06/18
- メディア: Kindle版
・雑誌掲載: 週刊少年ジャンプ
・コミックス巻数: 全4巻
『BLEACH』の前身とも言えるデビュー作『ZOMBIE POWDER』。西部劇のような世界観が印象的で、個性的なキャラが多くのファンに強い印象を植え付けました。
主人公は芥火ガンマ。死者の指輪と呼ばれるゾンビパウダー形成に必須とされる指輪。死者を生き返らせ、生きているものは不死にするゾンビパウダーを追い求め、別名・黒腕の死神と呼ばれる賞金首です。他にも主人公に負けず劣らず個性的なキャラクターがたくさん登場するので、ぜひ手に取ってみてください。
久保帯人作品の魅力!ポエムってなに…?
病み付きになるポエムの数々
そんな日本史に残る発行部数を誇る『BLEACH』の作者・久保帯人の魅力はなんといっても研ぎ澄まされたポエム。単行本表紙をめくると1ページ目にでてくるおなじみのポエムは、読者をうならせるほどの奥深さを秘めているのです。
我々は涙を流すべきではない
それは心に対する肉体の敗北であり
我々が 心というものを
持て余す存在であるということの
証明にほかならないからだ
例えば単行本7巻に記されているこのポエム。漫画の内容は、ルキアの兄・朽木白哉が登場し、無慈悲なまでにルキアへの制裁を実行しようとしていました。しかし、心の中ではルキアの姉・緋真の存在やルキアへの捨てきれない想いももちろん秘めつつ…。
それを表に出すことはない。そういった白哉の心情がしっかり表されているポエムであり、このポエムこそが白哉自身を形作っているものなのです。
第16巻は題名にも秘密が…
人気キャラクター第1位の日番谷冬獅郎が表紙を飾る16巻では、題名にもその物語の意味を含んでいます。16巻の題名はNIGHT OF WIJNRUIT。WIJNRUITとは、オランダ語でヘンルーダという蜜柑科の植物と意味します。
実はその花、葉が数回分裂するという特徴をもつのです。16巻では、日番谷冬獅郎始め、多くの死神がルキアの処刑の裏に隠された秘密に気づき、それぞれ行動を起こすようになります。それを葉の分裂に例えているのです。
また、日番谷冬獅郎の斬魄刀は卍解すると背面に氷の花が出現します。その花びらが欠けるまでが日番谷の卍解発動時間であり、それもヘンルーダの特徴になぞらえているのではないかと思われています。
ここまで考えさせるポエムや題名をつけられるのも久保帯人ならではの所業!ぜひ単行本を開いて、1つ1つ確認してみてください。
緻密に編み込まれたストーリーや伏線
もう一つの魅力は、読者を驚かせるような伏線の数々。ストーリーの奇抜さも相まって多くのファンの心を虜にしています。その一つが最終章で読者を驚かせた黒崎一護、そして一護の家族の名前の伏線。
作中で虚と破面はスペイン語、滅却師はドイツ語、そして完現術者は英語が使われているのは有名な話です。そこから派生すると、主人公の一護は虚でもあり、滅却師。妹の黒崎夏梨は完現術者であり滅却師。そしてもう一人の妹・黒崎遊子はまっさらな人間だという伏線が貼られているのです。
また、終盤になってようやく明らかとなった斬月の伏線も多くの読者を驚かせました。8巻で初登場した一護を成長させる際に決まって登場する彼の精神世界に佇む斬月。最初の台詞から自分の名が伏字になっており、一護には聞き取れないようになっていました。
名前の伏線と合わせて考えると、このころから一護には虚でありながら、滅却師であることは設定付けられてたといえ、斬月の本当の名も初めから決まっていたのでは…と考えることもできるのです。そしてその名は…。
数百、数千にわたるコマの1つ1つが、久保帯人に描かれるとどんなに小さくても意味をもつようになるのです。ぜひ何度も読み返して、細かな伏線をその目で確かめてみてください。
同じ顔は2つとして見ない画力の高さ
アートかと思われるほどのセンスをもつ久保帯人。ジャンプの中でも高い画力を持ち、絵の構図やバランスもさることながら、キャラクターのかき分けには高い評価を得ています。
主人公サイドから死神サイド、また破面サイドまで総勢何十人というキャラクターが登場する『ブリーチ』では、顔を見ればすぐにキャラクター名がでてくるほど、その1人1人キャラがしっかり確立していてます。お気に入りのキャラクターが見つかることが間違いなし!
また、1巻ごとに1キャラクター描かれる単行本の表紙はそのセンスがありありと示されています。時にド派手に、時にごくごくシンプルに。1つ1つ眺めてみるのも楽しいかもしれませんね。
久保帯人の驚きのエピソード!実は一護が一番描きにくかった!?
そんな超大作『ブリーチ』の主人公である黒崎一護ですが、実は全キャラクターの中で一番描きにくいキャラクターだったと語っています。『ブリーチ』を作る際に特徴のない顔にしたいと考えたために、自分でも描きにくい特徴のないキャラクターになってしまったのです。
それに慣れてきたのは巻数にして20巻くらい…。ルキアの奪還を目的としたソウルソサエティ編も終盤の頃だったそうです…。
実写映画化も決定!まだまだ熱が冷めない久保帯人の次回作に期待大!
そんな『ブリーチ』も2018年に実写映画化。旬な俳優・福士蒼汰を一護に起用し、『図書館戦争』を担当した佐藤監督がメガホンを取ります。緻密に作り上げられたストーリーや世界観がどこまで表現できるのか見ものです!
そして、そんな追い風を受けている久保帯人。次回の新作はまだ未発表ですが、持ち前のセンスと高い画力で次もメガヒットを飛ばす作品を作り上げてくれるでしょう!そんな久保帯人に期待です!