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【密・リターンズ】感想ネタバレ第7巻(最終回・最終話・結末)まとめ

1995年から1996年まで週刊少年ジャンプで連載していた『密・リターンズ』の最終巻7巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめ。結末(ラスト)はいかに!?

みかると共にある人物のもとに連行された密は、そこで重大な真実を告げられる。密と理都は、出会ってはならない二人だったのか…!?ついに禁断の封印が解かれる!密と理都は無事に再会出来るのか?

目次

第52話 正体を知る男!
第53話 絆ゆえの決断!
第54話 出てきた親玉!
第55話 期待どおりの男
第56話 引き裂かれた前世
第57話 皮肉な再会!!
最終話 ふたり…

7巻までのあらすじ

都立府浦高校の教師・端島密は、元生徒であり、現在同僚である星崎理都とデート中、川でおぼれる少年・鳴神源五郎を助けようとする。流れにのみこまれた二人は死んだと思われたが、謎の僧・寅午によって、端島の魂と源五郎の肉体が助けられ、端島は源五郎として生きることになった。

そして源五郎として再生した端島は府浦高校に転校する。満月の夜・寅午と卯堂は、源五郎の肉体と端島の魂を分離させ、それぞれを生前の姿に戻す転生術を開始した。転生術は理都が自らの肉体を結界の一部とすることで成功した。

しかし今度は理都の魂が転生してしまった。かくして端島は、探偵事務所を開き、理都探しを始めた。理都が転生したと思われた少女・悠木千朋の正体は、植物研究者の樹林由希だった。そして事務所の大家の孫娘、みかるが強引に端島の助手になるが…。

本編あらすじ

鴨川かほるに声をかけてきた人物・加部も幽体離脱ができる霊能力者だった。さらに強力な使い手・巳遥も現れる。巳遥は理都をみかるに転生させたのは自分だと語る。なぜそんなことをしたのか、何者なのか問いつめる端島密に対して、ついてくれば全てわかると伝える。

ついていった先で待ち受けていたのは鴨川みかるの祖母だった。祖母の口から「みかるに施した封印が予定より早く解け始めた」ことが明かされる。そのため急激に理都の記憶が表面化し始めた。理都にはこのままずっとみかるの中にいてもらう、何者かから理都を守るためにやっていると語る。その理由は理都の前世にあった。端島密の意識の中に入り込んだ巳遥によって二人の前世が明かされる。

物語は二人の前世にまでさかのぼる。時は十六世紀半ば。場所はシルクロードからかなりはずれた山岳地帯。今でいうチベットのあたり。地中海地方生まれの旅の商人であるおれは、ある日道に迷い足にケガをして山中に行きだおれになっていた。そこをある女に助けられたのだった。彼女の名はアルラル。

奇妙な村だった。周囲はとても人が生きていけるとは思えない環境の高山地帯。だがまるでこの村のまわりだけは温暖な空気が包みこんでいるかのように50人ほどの村人がわりあい豊かに暮らしていた。外部との交流はまったくなく、そのためこの村の存在は世間では全く知られていなかった。そしてこの村の人々のほとんどが風(ルン)を自在に操る能力を持っていた。

村を出たことがないアルラルに、商人で世界を見て回っている密は色々なことを教えてあげる。アルラルの首飾りが元々は海の生物であるアンモナイトの化石であることも教えてあげる。「もっといろんな話が聞きたいです!教えてほしいです!先生と呼ばせてください!」…二人は次第に惹かれ合い、恋におちた。

だが村の人々はそのことを快く思っていない様子だった。アルラルは村人たちになぜか必要以上に大切に扱われており、密はあくまでヨソモノだった。そろそろ旅に戻ると伝える密に悲しい顔をするアルラル。一緒に行かないか、アンモナイトの故郷を見せてやりたいと伝えると、アルラルも「行きます先生。あなたと一緒ならどこへでも」と返事をする。

しかし、その村は全体で一つの装置となっており、大地の風をコントロールすることで気候を安定させ、人々が豊かに暮らしていけるようになっていた。村を護る魔法陣が正常に働いているおかげで高山でも村人が生きていくことができていた。

その装置が作動するための鍵とされているアルラルは、その町から出ることはできないとアルラルの世話役から聞かされ、村の人間から暗殺されてしまう密の前世。しかし結局アルラルに知られてしまい、そのショックで暴走してしまう。

愛の裏返しは憎悪。密への愛が深かったゆえに密の死が引き金となって彼女の心は人々への憎悪で支配されてしまった。人々の豊かさを護るための装置が人々を憎悪する心に操られ暴走を始めた。村は一瞬にして滅び…そしてさらに膨れ上がった力は地上の全ての人々を滅し尽くそうとしていた。

それを危ういところで食い止めたのが巳遥の一族。多くの犠牲者を出しながら、かろうじてアルラルの一部を封印することに成功した。しかし、暴走の過程でアルラルの魂が二つに分離してしまった。強大な風を持ち全ての人間を憎悪するアルラルと、弱い風しか持たず人としての心を受け継いでいるのが理都の魂。

アルラルは現世で復活しようとしており、そのために自分の一部である理都の魂を取り込み、肉体を手に入れようとしているのだった。蓄積された憎悪が噴き出すともう二度とだれにも止められないと語る巳遥。前世を繰り返させるわけにはいかない。密と理都は結ばれない運命…。

端島密は、アルラルが封印されている洞窟に赴き、アルラルと対面する。鴨川みかるも運命に導かれるかのようにコッソリつけてきていたが、アルラルの近くに来たことでみかるの中に封印されていた理都の魂が解放されてしまった。アルラルの強大な風の力が転生術を瞬時に完了させる。ついに端島密と星崎理都は再会を果たすことが出来た。しかし、アルラルの眼前という最悪の状況下…。

理都はアルラルに自分と一緒に生きていこうと伝える。

先生…私は…私でなくなるかもしれません。

そのときは真っ先に俺を殺してくれ。ずっとこうしてるから…。

憎しみの炎の中で、星崎理都の肉体とアルラルの魂が一つになる。アルラルは理都を取り込んで元の姿と力を取り戻すはずだったが、理都の中にある温もりを感じ、約束していた海の光景が広がっている中で、密の前世と再会を果たす…。

…そして二人は結婚式を迎える。教科書女とノーテンキ男のカップルに周囲も和む。

エピローグでは登場人物のその後が書かれており、鳴神源五郎は大学へ進学し心理学を専攻。カウンセラーの職につき悩みをもつ多くの少年たちの相談にのる。鶫原ちなみは教員を目指し教育学科へ進学。のちに源五郎と結婚。二児の母となる。

そして二人は探偵事務所と同じビルの3階に新居を構え、これまでの苦労分をとりかえすかのように幸せに暮らす。アンモナイトの化石がつないだ恋愛物語が完結。 

***感想・評価・考察***

超名作。特に設定やストーリーが高評価。ベタな展開もあるけど、またそれがいい。第二部・異能探偵バトル編になってからバトル漫画に路線変更したことが酷評され、最後は打ち切りで終わってしまった作品ですが、第二部も面白いです。

第一部・転生編が恋愛転生漫画として完成度が高いため、相対的に二部の評価が落ちているように感じます。また連載時がジャンプ全盛期だったため人気獲得のハードルが高かったのも要因だと考えられます。一部のロールキャベツ編とか恋愛漫画としてキュンキュンしますが、二部も最後は絶対に泣ける展開になっています。

ただ最終巻で急展開を迎える。打ち切りの宿命とはいえ謎を残したまま完結した点は残念としか言いようがない。一瞬でアルラルの封印されている洞窟に到着したり、なぜか鴨川みかるも尾行していたり、最終巻で登場した巳遥やアルラルの存在はもう少し丁寧に書いてほしかった。

数話しか登場しないが、アルラルは魅力的なキャラで、遥と理都は前世から惹かれ合っていて、現世と同じ先生と呼ぶ合う仲という設定が素晴らしいですね。何も殺さずに密の前世とアルラルの村で一生過ごせばよかったのではと言いたくなります。

理都はアルラルの一部でしかないと言われていますが、結果的に主人格は理都になり、アルラルの力だけが理都に残っているような描写です。ドラゴンボールにおける神様と融合したピッコロ的な存在ですね。

アルラルの人格は消滅してしまったのかな…?数百年もひとりぼっちだったアルラル…結局のところ彼女だけが幸せになれませんでしたが、できればアルラルにも幸せになってほしかったなぁ。