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【飛ぶ教室(ひらまつつとむ)】核戦争漫画の感想ネタバレ

1985年に『週刊少年ジャンプ』で連載された作品で、世界規模で核戦争が起き、校庭のシェルターで生き延びた小学生たちが逞しく生きる物語。核と放射能という少年ジャンプで扱うにはシリアスで重すぎるテーマだったため、一部ファンから熱狂的に支持されるも、ジャンプ編集部の意向で長期連載に至らなかったという逸話がある。

連載していた年代も古く2巻だけの連載だったことも重なり、コミック市場には全く見かけることがなかった。電子書籍化もされておらず長い間読むことができなかった。豊富な漫画を揃えてあるマンガ喫茶やブックオフでも置いてある店舗は皆無、20代から30代にとっては幻の作品とされていたが、多数の要望をうけ遂に2015年に復刊ドットコムから復活された。 ※kindle化(電子書籍)はされていないのでコミックのみの発売。

飛ぶ教室 1

飛ぶ教室 1

 

物語の舞台は埼玉県のとある小学校。1巻では核戦争が起きるまでの話と核シェルターで避難する生活、生存者探しの旅、食料確保の話が出てきます。小学生から新しいもの好きと評される校長によって校庭に施策シェルターが設置された。教師の北川先生からは防空壕が懐かしくて設置されたと言われてしまう。

1985年時点で校庭に核シェルターを設置させる作者のアイデアが素晴らしい。世界各国では公共の核シェルターが配備されているが、日本では一部の人間が個人で自宅にシェルターを建築している程度で、公共の核シェルターはないし、現存するシェルターもどこにあるのか一切公表されていない。

連載されていた時代から30年が経過したが、現在の日本の核シェルター普及率は先進国の中では圧倒的に低い。楽観視すれば平和な時代が訪れたと考えることもできるが、世界的には危機意識が低すぎると言われている日本。

「自分の身は自分で守れ」とよく言うが、核の脅威においてはそれはほぼ不可能。おそらく首相官邸や国会議事堂にはあるだろうとされていますが、民間人用のはまったくないので実際に核戦争が起きたら日本人は全滅するだろうと容易に想像がつく。飛ぶ教室連載開始から三十年が経過しても全く進歩していないのは悲しい所。ポジティブにそれだけ平和だったと考えるようにした。

飛ぶ教室 2

飛ぶ教室 2

 

第二巻で遂に自分達以外の生存者を見つけることが出来たが、赤ん坊を含めた子供たちばかりだった。そして水分補給や食糧確保の問題点がでてきます。実際に生き延びたとしても汚染されていない食料を数年単位で確保するのは不可能。つまり約百人単位が生き延びたとしても餓死するだろうと考えられます。

登場人物はほぼ小学生だが、相手を労わることのできる心の優しい小学生。しかも小学四年生でハム(アマチュア無線)の資格をもっている子供さえいる。現実的にはこれほど立派に生きられるものだろうか。現実的に考えると残された食料を巡り、争いが起きるのは必須だろう。

核戦争後も『生きる』のはなんと厳しいのだろうか…

「生き残ったのが自分たちだけ」という状況になったら法律も警察もないので、殺人も罪にならない。『北斗の拳』や『サバイバル』のような弱肉強食の世界がむしろリアリティがあり、本当の無法地帯と化すだろう。

実際に第1巻では違う核シェルターに避難していた大人たちが少ない食料を巡って殺し合いに発展してしまった場面がある。一方で、生きるか死ぬかの本当の苦境に立たされると利己的な大人よりも、むしろ子供たちのほうが澄んだ心を持っているから本作のように助け合えるのかもしれないと思う部分もある。

第二巻の結末(ラスト)では唯一生き延びた北川先生が死の灰を浴びていたため死んでしまい完結するが、食料確保など問題が山積みの中で果たして子供たちは生き延びることができるのかが非常に気になる。主人公サトルの両親も山梨に疎開したとされるが、再会はないまま終了してしまった。

核の脅威が現実のものに…。いまこそ読むべき社会派漫画

この漫画は時代を30年先読みしすぎていた。1985年の連載当時に読んでも核戦争の現実味がない人が大半だっただろう。しかし、東日本大震災での福島第一原子力発電所事故による放射能汚染問題や、北朝鮮のミサイル問題もあり、現代日本においては核の脅威や核シェルター(津波シェルター)は他人事ではない。いまこそ読むべき漫画であると思う。

実際にこの漫画で書かれていることがいつ起きても何ら不思議ではない。だからこそ、この漫画のもつ意味や価値観が見直され、2015年に復活したと信じている。戦争漫画としては『はだしのゲン』が有名だが、核戦争漫画としては唯一と言っていい存在。核戦争後も生き延びるための手段や方法など学ぶことも多い。

社会派マンガなので大人が読んでも面白いですが、小学生への推薦図書としておススメしたいです。2018年に続編となる第二部が発売されることが作者のホームページで発表されており期待大です。