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【首を斬らねば分かるまい】感想ネタバレ第5巻(最終回・最終話・結末)まとめ

2019年から2020年までヤングマガジンに連載していた『首を斬らねば分かるまい』最終巻5巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめ。結末(ラスト)はいかに!?

明治十年。華族の御曹司・幸乃助はその身分を捨て陸軍へ入隊していた。一方、首斬り家・沙夜は西郷隆盛が率いる士族軍に与していた。そんな中、日本最後の内戦・西南戦争が始まる!!  政府と士族、敵同士になった男と女。時代に翻弄され続けた二人が迎える、たった一つの結末は!!?

本編あらすじ

陸軍へ入隊した愛州幸乃助は熊本城の守備任務につく。そこへ西郷軍の士族たちが襲撃をしかけ、日本最後の内戦「西南戦争」が始まった。

銃や野砲を主力とする西南戦争で最も猛威をふるったのは西郷軍の抜刀隊であった。刀を振り上げ捨て身で襲いかかる剣の猛者たちに、徴兵され訓練を受けただけの政府軍兵士は震え上がってしまった。

戦場に立った幸乃助は、始めて向けられる殺意に戸惑いながら、紗夜に再会するため生き抜くことを心に決める。政府軍は三千弱の兵で守りに徹する作戦に出た。数で勝る西郷軍は猛攻を続けるが、政府軍の士気は衰えず苦戦を強いられる。一進一退の攻防が三日間続いた。

三日間の攻撃を経て西郷軍は戦略を長囲策に転換。桐野利秋・洞門紗夜も政府軍の援軍を討ちに行く事になった。その最中、青山の想いに応え、身体を重ねあった幸乃助。

桐野利秋率いる四番大体は山鹿で政府側援軍と激突。これを撃退する事に成功した。政府軍は当時最先端の情報伝達術『電信』を使って戦況を共有した。西郷軍に大きく勝る部分である。その情報の中に「洞門紗夜が西郷軍にいる」との情報があった。

三月四日、田原坂で政府軍を待ち伏せする西郷軍。西郷軍の主力銃は弾込めが遅く水気に弱い前装式小銃であった。対する政府軍は後装式のスナイドル銃。政府軍は装備面で優れていた。銃での不利を悟った西郷軍は歴戦の抜刀隊が仕掛けるも、政府軍も紗夜を討つために剣術の猛者を集めた警視抜刀隊が迎え撃つ。

幸乃助は紗夜がいるという田原坂に向かう。その道中、同行していた青山と共に西郷軍と戦う幸乃助。そんな中、青山に刀を突き立てたのは紗夜だった・・・。

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首を斬らねば分かるまい(5) (ヤングマガジンコミックス)

戦場で相対する二人。六年分の想いを刀に乗せ、全力で紗夜に斬りかかる。怪我をしている紗夜は勝負に負けて組み伏せられる。そして「お前が好きだ」と告げ、二人は愛の契りを交わした。

無防備な状態のところを政府軍に狙われた二人だが、桐野利秋が影ながら応戦し二人を助けるも、最後は桐野も額を打ち抜かれて戦死した。

明治10年9月24日、火力と兵力で政府軍に圧倒されていく西郷軍は敗走を繰り返し鹿児島に戻り私学校を拠点とした。西郷軍の残った勢力は400人足らず。5万を超える政府軍がこれを包囲し、集中砲火を浴びせた。最後は西郷隆盛が自刃し、政府軍の大勝で西南戦争は終結した。のちに西郷を信奉していた士族の凶刃に倒れ、大久保利通もその生涯を終える。こうして一つの時代が幕を下ろした。

十年後の明治20年。西南戦争から時は経ち、日本は新たな時代へ歩みを進めていた。愛州家の新当主には愛州達臣がなっていた。幸乃助は西南戦争で戦死したと語られる。晴美は街頭で女性解放運動について熱く語る。岩倉使節団の津田梅子に「あの方は遠くに行ってしまったわ」と涙をこらえながら話す。

どこか自然あふれる田舎にいたのは絵を描いている幸乃助と紗夜だった。二人の間には佐助が生まれていた。幸乃助は紗夜の肖像画を描いており、自分の肖像画を見て少し恥ずかしそうにしている紗夜。

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首を斬らねば分かるまい(5) (ヤングマガジンコミックス)

二人は西南戦争で死んだことになっており、二人の新たな人生が始まった。その暮らしには優雅さも富もなく、血もなく死臭もない。幸乃助は華族を捨て、紗夜は刀を捨てた。唯の男と女。今の二人にはどんな価値があるのか。それは死に様で決まる。人の価値は首を斬らねば分かるまいーー。

***感想・評価・考察***

明治時代を舞台に華族の御曹司である青年・愛洲幸乃助を描く時代ロマン漫画。実在の人物が登場し、実際のエピソードも散りばめられている。最終巻はかなりエロく仕上がっていたが、ヤンマガには『パラレルパラダイス』があるのであまり過激に見えないから不思議だ。

絵も上手く、『えやみのかみ』落合ヒロカズ、『ドメスティックな彼女』流石景に少し似ていると思った。ヤンマガという有名な漫画雑誌で連載していたのにウィキペディアに載っていないことからも人気が高いとは言えなかったのかもしれない。

5巻完結を考えるに打ち切り説が濃厚だが、ラストのまとめ方は良かった。青山があまりにもあっさり死んでいるので、一番損をしたのは青山なのかもしれない。もしも本来の物語の長さだったらどうなっているのか気になったし、個人的に好きだったのでもっと続いてほしかった作品。

原作を担当している門馬司氏は現在連載中の『満州アヘンスクワッド』の原作も担当しており、こちらも面白い作品です。