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【進撃の巨人】感想ネタバレ第14巻まとめ

別冊少年マガジンで連載中の『進撃の巨人』感想ネタバレ第14巻まとめ

進撃の巨人(14) (週刊少年マガジンコミックス)

進撃の巨人(14) (週刊少年マガジンコミックス)

  • 作者:諫山創
  • 発売日: 2014/08/08
  • メディア: Kindle版
 

王の命を受けた中央憲兵により、ニック司祭が殺される。その目的は調査兵団の現状把握とエレン、クリスタの居場所特定だった。身柄を狙われることになったエレンとクリスタ。暴走する王に対し、調査兵団はついに王政打倒を決意する……!! 

目次

第55話 痛み
第56話 役者
第57話 切り裂きケニー
第58話 銃声

本編あらすじ

第55話 痛み

調査兵団の長・エルヴィンにクーデターの話を持ちかけられた駐屯兵団のピクシス司令。息の詰まる沈黙の後でピクシスは、いつか王に銃口を向ける日が来ると思っていたと、絞りだすように吐露します。ただし、エルヴィンの描くビジョンと計画を見極めてからでなければ部下を死に追いやることはできないとも。

ピクシスは意外にも保守的な意見を口にします。重税や食糧難にあってもなお現王政の統治へ不満を持つ民衆は思ったほど多くはなく、口減らし作戦として悪名高い領土「奪還」戦の後も暴動などは起こっていないとのこと。人類同士で争っていては滅亡することになると民衆は知っているため、ギリギリまで身を削って耐えることができる…。

ピクシスは常々、追い詰められた人間の集団がどう行動するかについて口にしています。エレンに対しては「共通の脅威を前にした時に人間は争いをやめる」という説をどう思うか尋ねていました(エレンはあくびが出ると返答)。トロスト区壁上の大演説では、これ以上領土が失われれば人は人同士の争いによって滅ぶ、ゆえにここで戦って死んでくれと兵士たちに述べました。彼が見てきたのは巨人ではなく、あくまでも人間社会。それは内地を預かる駐屯兵団の司令として至極当然と言えるでしょう。

ピクシスは続けます。今の王家は2000年以上続くとされ、壁内へ追い込まれる以前から人類を統治していた生存と繁栄の象徴。それを武力で惨殺し人間同士の諍いを招いた者を民衆は支持するか?少なくとも王政派の貴族や民衆との激突になり内戦が起こるのは間違いなく、エルヴィンにそれを回避する知恵はあるのかと問うピクシス。もしエルヴィンが単なるドンパチで我を通したいだけなら、ピクシスは治安維持の職責を持ってエルヴィンを拘束し裁きにかける覚悟です。

エルヴィンは無血革命の切り札を伏せたまま昔話を始めました。それは彼がまだ子供の頃、教師である父の学校へ通っていた頃の話。子供であった彼は歴史の授業で「あること」を質問しますが、父親は教室でそれには答えず自宅へ戻ってから授業の続きをします。

王政の配布する歴史書には数多くの謎と矛盾が存在する。巨人発生以前の文献など残っていなくても、壁に入ってきた世代が子供へ語り継ぐことはできるはず。この世界では完全に壁外の情報は秘匿され、不自然極まりない。ゆえに当時壁内へ逃げ込んだ人間は王政府によって記憶を改竄されている可能性が高い…。

エルヴィンが父への問いかけの内容は明らかになっていませんが、恐らく「巨人に襲われる前の記録はどうして残っていないのか?」といった類でしょう。素直な問いを発した子供のエルヴィンから見ても父親の仮説は突拍子もない妄言のように思われましたが、それを面白半分に近所の子供に話していると憲兵に見咎められます。

そしてエルヴィンが話の詳細を伝えたその日のうちに父親は行方不明に。後日、なぜか遠く離れた街で父が事故死したと知らせが入り、エルヴィンは父の仮説が王政にとって都合の悪い事実に触れているのだと確信します。以来、その仮説を証明することが彼の生きる目的となっていったのです。

アニやヒッチらの上官たちのせいでサボっている印象が強い憲兵団ですが、実は情報統制と実力行使をやってのけている事が垣間見えます。こうして考えると、幼少期のアルミンやエレンがご禁制の本(壁外の世界について書かれた書物)を読んでいても無事だったのは幸運でしたね。ちなみにアルミンの両親は口減らし作戦で死亡したとされていますので、シガンシナ陥落までは普通に暮らしていたのでしょう。

そしてエルヴィンはその目的を胸に秘め調査兵団のトップとして遠征を繰り返していたのですが、女型やエレンの「叫び」による不特定多数の巨人のコントロールを目の当たりにし、巨人の咆哮が生物の意識に広く影響を与える可能性を見出します。さらにコニーの生家があったラガコ村の様子から人間が巨人になると推察され、巨人を操れるのであれば人間も操れるのではないかとエルヴィンは考えているようです。

壁内の歴史が改竄され、人間たちがそもそも壁の起源や世界の成り立ちを忘れているとすれば、「107年前に巨人が発生して人類が最後の砦として壁内へ逃げ込んだ」という世界設定そのものが事実無根のデタラメの可能性がある。

王政が歴史や記憶を改竄していると結論づけたエルヴィンですが、それと無血革命とはどのような因果関係があるのか。それはリヴァイらに捕らえられた中央憲兵・サネスとラルフが拷問の末に教えてくれました。今の王家は本当の王家ではない。正当な血脈はレイス家に受け継がれている。エルヴィンはクリスタ(ヒストリア=レイス)を女王に擁立し、正当な王位継承を御旗に革命を成し遂げる計画を企てる。これが彼の切り札、無血革命を成し遂げる唯一の方法です。

第56話 役者

エレンは夢を見ていました。今日の夢ははっきりした内容で、ベルトルトとユミルの会話の記憶です。そして目が覚めても覚えていました。エレンがそれをメモしてハンジに見せたところ、ハンジはどこかへ飛び出して行ってしまったようです。

リヴァイ班の隠れている関所跡には、エルヴィンから伝令の早馬が到着していました。伝令役のニファが一息ついたところで、リヴァイはその内容を催促します。リーブス商会の面々が同席しているのを見て機密を口にすることを躊躇するニファですが、リヴァイは信頼関係が重要だとそのまま続けさせます。商会の跡継ぎであるフレーゲルの生意気な態度にも寛容に接するリヴァイ。粗暴で神経質で近寄りがたいと評される彼の人柄からは少し意外な印象も受けますが、リヴァイに人望があるのも確か。硬軟を使い分けて人心を掌握してきたのでしょう。

さて本題である革命の段取り…すなわちヒストリアを女王に即位させる方法…を伝令が口にしますが、当のヒストリアはキョトンとした顔で事態を飲み込めていません。リヴァイらはサネスから聞き出した「レイス家が真の王家」という情報をエルヴィンには伝えましたが、本人やその他の班員へは話していなかったようです。その場で寝耳に水のごとく自分が王家の血筋であり、革命の目的は女王として即位することだと知らされたヒストリアは絶句、狼狽。

リヴァイはヒストリアの精神状態に理解を示しながらも結論は「やれ」の一言。震えながら拒否しようとするヒストリアの襟首を両手で掴み宙吊りにしながら、嫌なら力づくで従わせる、拒否したいのなら俺と戦い逃げてみろと宣告するリヴァイ。ここからはリヴァイの演説です。

床へ落としたヒストリアを見下ろしながらリヴァイは自分の考えを述べます。明日も無事で食事をし、ベッドで眠れる保証はどこにもない。いつ巨人が攻めてこないとも限らず、明日全員生きているかどうか分からない。そんな恐怖に怯えた暮らしから逃れようとして自分たちは戦っているのに、それを邪魔しようとする勢力がある。

そんな連中は自分が皆殺しにしてもいい。仮に人間同士が殺し合いをすることになっても、巨人に食われる地獄よりはそちらを選ぶ。なぜなら人類同士の争いなら人類が全滅することはないからだ。だが、自分たちが政権を獲ればそんな争いも止めることができる。これから巨人や戦争によって死ぬ予定の者の多くを救える手段が目の前にある。

従うか戦うか今すぐ決めろと決断を迫るリヴァイ。その迫力の前にヒストリアはやりますと答えるしかありませんでした。「私の…次の役は女王ですね…?やります。任せて下さい」ヒストリアはずっとクリスタ・レンズという役を演じてきました。優しく素直で明るい美少女、誰からも好かれる「女神」クリスタ。母を殺され、家を追放され、居場所がなかったヒストリアは周囲から好かれながら美しく死ねるようにクリスタを演じ続けてきました。

それを見抜き言い当てながらも等身大で隣にいてくれたユミルはもう帰ってこず、そのせいで少しヤケになりそうだったヒストリア。少し平静を取り戻したように見えたヒストリアでしたが…ここにきてこの上ない強烈なプレッシャーが襲います。役が「女神クリスタ」から「女王ヒストリア」になっただけ…。顔面蒼白、定まらない視線のまま任せろというヒストリア。クリスタという呪縛から解かれ、また別の仮面を被せられてしまうのでしょうか。

さて、ようやく伝令の本題です。
伝令のニファが読み上げた紙面の内容は大方次のような内容でした。

(1)エレンとヒストリアを中央第一憲兵に引き渡す。
(2)リーブス商会に護送部隊を尾行させ、ロッド・レイスの居場所を探る。
(3)エレンが巨人化してその場を制圧、レイス卿の身柄を確保。
(4)巨人や壁の真実について情報を引き出し、クーデターをそのまま進めるか判断。
(5)続行の場合は傀儡(フリッツ王家)からヒストリアへ王冠の譲渡、新体制を樹立。
(6)壁内の連携を取り、エレンを核とするウォール・マリア奪還作戦を実行。

エルヴィンは己の無知に謙虚で、レイス卿から引き出した情報により相手方に理があると判断すれば(4)の段階で兵を引くつもりのようです。エレンとヒストリアの身柄引き渡しはその後すぐでした。リーブス会長の息子フレーゲルは、父親が黙ってリヴァイに従うのが気に入らないようです。

赤面しながらヒストリアをチラ見しシャドーボクシングを始めるフレーゲル。会長は商人として人を見る目を養えと息子に諭し、ヒストリアに対してもリヴァイを擁護します。女王になったらリヴァイを殴ってみろと、冗談で元気づけようとする会長。

会長は巨人化するための小型の刃をエレンの全身に仕込むと猿ぐつわを噛ませ、憲兵たちの到着を待ちます。現れたのは黒コートに黒い帽子、黒ネクタイとまるで葬式に行くかのような出で立ちの男。ヒストリアの母をナイフで殺害した実行犯でした。黒尽くめの男は会長を外へ呼び出すと、唐突にひとつの質問をします。

「リヴァイ・アッカーマンって男を知ってるか?」男は続けます。「リヴァイには色々教えてやったもんだ。あのチビは俺の誇りだよ」そして手慣れた動作で会長の喉を背後からナイフでかき切ってしまいました。5年前、ヒストリアの母をそうしたように。部下らしき女が近寄り男へ声をかけます。

「アッカーマン隊長」エレンに仕込んだ刃物はすでに発見され、エレンとヒストリアは憲兵団の手によりさらに強固な緊縛がされていました。他の商会のメンバーも皆殺しにされたようです。ただ一人、小用のために中座し、木陰で父の死を目撃したフレーゲルを除いては。移送中は対人立体機動装置を身につけるよう部下に命じた「アッカーマン隊長」。憲兵団の中でも汚れ仕事を担う「対人制圧部隊」を率いているようです。

第57話 切り裂きケニー

エレンが見た「夢」…巨大樹の上でユミルとベルトルトが交わした会話の記憶…の内容を聞いたハンジは血相を変えてエルヴィンの元へ走っていました。足元がおぼつかなくなるほど息を切らし駆け込んだエルヴィンの部屋で、ハンジはエレンを使ったトロイの木馬作戦の中止を進言。その根拠について先を促すエルヴィンに、ハンジは語り始めます。

「…レイスはエレンを食う気だ」エレンがハンジに伝えた内容は、樹上の会話の場面です。夢の割にかなり正確に伝わっています。ユミルが60年間壁の外をさまよっており、その後ライナー達の仲間を食って人に戻ったことを二人は知りました。そこからハンジが導いた推論は次のようなものです。

・ユミルが食ったのはライナーの仲間であり、巨人化能力を有した人間である
・巨人にされた人間が、巨人化能力を有する人間を食べることで、対象の巨人化能力を取り込んで制御できるようになる(人間に戻れる)
・ライナーがエレンに巨人を投げつけたのは、巨人にエレンを食わせて能力だけを継承させようとしたから
・レイス卿はエレンを巨人に食わせ、その力を誰かに移すかもしれない

そして、「叫びの力で巨人をコントロールできるエレンは唯一の存在だから、敵対勢力にも殺されはしないだろう」という楽観論の根拠が崩れたことを意味します。エレンを失えば手駒として使える巨人はいなくなり、ウォール・マリア奪還作戦が不可能になる。ハンジはトロイの木馬作戦の中止を唱えますが、時既に遅し。すでにリーブス商会の裏切りが露見して会長が殺された後です。

ハンジの話をひと通り聞いたエルヴィンは、作戦の続行や中止の判断には触れず、レイス卿の領地に放った諜報員からの報告書をハンジへ手渡します。なぜレイス家の中でも妾腹であるヒストリアが継承権を持ち、王政に身柄を狙われているのか…その報告書にヒントがあるに違いないとエルヴィンは考えているようです。

報告書の中身を拝見しようとした矢先、エルヴィンへ出頭するよう中央憲兵からの言伝が。調査兵団の組織ぐるみの殺人容疑だということらしい。事を察したエルヴィンはハンジに身を隠すよう指示、以降は独自の判断で行動するよう伝えると、最後にハンジを次の調査兵団団長に指名します。ハンジの手元にはエルヴィンから託されたレイス領の調査報告書が握られていました。

命じられたまま街の広場へ出頭したエルヴィン。中央憲兵の足元にはリーブス商会の長、ディモ・リーブス氏の亡骸が・・・リーブス商会の会長とその他2名が喉を裂かれて死亡しているのが発見され、その容疑者として調査兵団が挙げられている。調査兵団がエレンらをさらったリーブス商会を独自に探り当て、実力でこれを排除。実行犯はエレンを連れて逃亡中というのが憲兵団の描いた筋書き。

無実を明らかにするために調査兵団は全員出頭しろ、というのが憲兵団からの指示でした。これに従えばリヴァイ班も捕らえられてしまいますから、要求を呑むわけには行きません。従わなければエルヴィンは犯罪者の汚名を着ることになります。会長の亡骸に寄り添う家族へ声をかけ、会長の無念は必ず晴らすと誓うエルヴィン。

そんなやりとりを路地からこっそり窺う人影は、会長の息子フレーゲル。ハンジは彼を屋根の上に連れ去ると、詳しい話を聞き出します。そして真実を明らかにして戦おうと鼓舞しますが、フレーゲルは徹底して拒否。自分はコソコソ逃げ回りながら生きていくのがお似合いだと抗弁します。なりふり構っていられない状況のハンジは強引に彼を拉致。あんたらはもう負けたんだと言うフレーゲルへ、ハンジは「何言ってんの?調査兵団は未だ負けたことしかないんだよ?」

2日後。出頭を拒否したリヴァイ班は殺人犯として手配され、彼らは変装しながら路地裏を隠れ歩いていました。張り込みによって、エレンとヒストリアを移送中と思われる不審な棺を抱えた葬儀屋を発見したリヴァイ班はその奪還を目論みます。すっかり巨人相手ではなく人間vs人間の構図になってしまった「進撃の巨人」。ジャンは人間を相手に戦うことに葛藤していました。巨人相手に戦って食われて死ぬ覚悟はしていた。人類を救うために。なのに暴力で人を従わせたり殺したりするのは御免だと。

コニーやサシャも口が重く、深刻な表情でその言葉を受け止めます。リヴァイがヒストリアを脅して従わせたやり口にも内心で不満があるようです。ミカサは目的のためには冷徹で合理的なスタンスを崩しません。エレンのことがあるのでもっと感情的になるかと思っていましたが、かなり冷静に最善策を判断しています。

ミカサの言葉を受け、腹をくくったリヴァイ班の同期たち。不審な棺桶2つを運ぶ葬儀屋を尾行し、あわよくば棺の中身を奪還する体勢。リヴァイはなぜ都合よく葬儀屋の通るルートを予想できたのか?それは実働部隊の思考の癖が自分に似ているからだと、兵長は感じていました。そしてその癖は幼少期にある人物から仕込まれたもの。例えばこうして尾行する時は見晴らしのいい高台から…

そう思い当たった瞬間、乱暴に屋根へ駆け上がってきた人影が一つ。リヴァイが隣にいたニファに逃げろというよりも早く、人影が放った銃弾がニファの顔面を吹き飛ばします。頭の半分がなくなる大威力で即死!それだけの銃を両手で2丁扱う、超人的な膂力と射撃センスの持ち主は・・・やはり黒コートの男!

「よぉリヴァイ。大きくなったな」かつて都で切り裂きケニーと恐れられた大量殺人鬼、リヴァイの育ての親、対人制圧部隊隊長、そしてヒストリアの母を殺した男。ケニー・アッカーマン。ケニーとその部下により、葬儀屋を取り囲んでいた調査兵団を皆殺しにされたリヴァイ。ケニーと久々の対面でいきなりのバトルが開始される!!

第58話 銃声

不意の襲撃を受けて逃走するリヴァイ。眼前で遠ざかるエレンとヒストリアを乗せた馬車。しかし今は生き延びることが先決です。憲兵団対人制圧部隊は随所に待ち伏せも配置。上方から3人がかりでリヴァイへ発砲しますが、さすがに高速で飛び回る的へ当てるのはそう容易くありません。跳弾、もしくは銃撃を浴びたレンガの破片で顔をケガしたリヴァイは近くの酒場に逃げ込む。追う側のケニーは割りと悠長で、余裕のつもりなのか大声で自分の場所をアピールしながらのご入店。

「おう懐かしいな。ちょっとツラを見せろよ」「今日はお前の脳みその色を見に来たんだ」「憲兵を殺しまくったあんたが憲兵やっているのか?あんたの冗談で笑ったのは正直これが初めてだ」「ガキには大人の事情なんてわかんねぇもんさ」「俺ならこんな酒場に逃げ込むマネはしねぇ」「これじゃあお前がどっから逃げようと上からズドンだぜ?」

問答の後、リヴァイは店に備え付けてあったライフル銃を使い、棚の酒瓶に映った像を頼りにケニーを銃撃。ケニーが倒れると一転屋外へ飛び出し、立体機動装置のアンカーを人に刺して攻撃に転じます。

喉元をアンカーで貫かれて死亡した憲兵をぶら下げたままワイヤーを巻き取り、そのまま肉の盾として利用。残る相手2人は正対しており武装は短銃。肉の盾で十分防げる状況です。リヴァイのブレードが一閃、そして憲兵の死体が2つ増えました。後方から敵の増援、ざっと10人以上。遁走するリヴァイを追う対人部隊。

ちなみにライフル弾の直撃で店の外にまでにふっとばされたケニーは普通に生きている。持っていた椅子が銃弾を防いだのか、衝撃吸収に優れた防弾繊維の服を着ているのか。そしてケニーをアッカーマン隊長と呼ぶ部下。彼の名前は「ケニー・アッカーマン」でいいのか?

今回の目的はエレンとヒストリアの追跡。そのためリヴァイらの馬を用意して待機していたミカサ、アルミン、ジャン、サシャ、コニーですが、どうも様子がおかしいことに気づきます。銃声が聞こえたと思ったら、それがどんどん近づいてくる。普通は立体起動と銃は併用できません。ましてリヴァイなら相手が足を止めてのんびり銃を構えている間にはるか遠くへ逃げ去ってしまうでしょう。訝しむ面々の前に、追跡対象の馬車と立体起動で移動するリヴァイ、そして見たことのない装置で立体機動と銃を同時に操る集団が現れました。

リヴァイは身をひねって銃撃をかわし、ワイヤーを相手の体に打ちつけ、巻取って敵の動きを止めたのちブレードで胴を横薙ぎまっぷたつ。合流した兵長は簡潔に指示を出します。計画がバレている以上、一旦エレンとヒストリアは諦めて追撃を振り切る。エレンを手放すことに抵抗するかと思ったミカサも素直に従います。

敵は殺せというリヴァイの命令に、一瞬間を置いて応えるミカサ。その様子を不安な面持ちで見つめるジャン。以前はエレンに対して攻撃的な面を見せることが多かったジャンですが、人殺しに関しては非常に消極的で臆病。「ジャンは強い人ではないから」。かつての友が言い当てたジャンの内面。

ミカサは子供の頃に誘拐犯を刺殺した経験を持ち、自分たちが生きるために他を殺す必要があるという世の中の理法を体で知覚しています。なおかつ彼女が優先する命はエレンただ一人。目的意識が明確で不純物が入る隙間のないミカサ。一方でジャンは、巨人は殺せても人殺しは躊躇します。

「クソッ…また人が死んだ!何でこんなことに…!」リヴァイとミカサを見ているだけで引き金を引けないジャン。ミカサが叩き落とした敵の一人が荷馬車へ落下します。至近距離で銃を突きつけるジャン。

「動くな!」驚いたのは荷馬車の手綱を握るアルミン。何をそんな悠長な…相手は僕らを殺しに来てるんだよ、すぐに殺さないとこっちがやられる…!という内容を「ジャン!?」という一言に詰めこんで抗議しますが、ジャンは隙を突かれてあっさり銃を弾き飛ばされ丸腰に。逆に相手に銃を向けられ呆然とへたり込むジャン。ミカサの位置が馬車から遠く、救出は間に合わない…!パン、と乾いた音が響き、ジャンが被っていた帽子が宙へ舞い、飛び散る血しぶき!ジャンが撃たれた⁉︎

一方、エレンとヒストリアはどこかに運び込まれていました。彼らが詰め込まれた棺の蓋をあけたのはケニー。そしてヒストリアのさるぐつわを解いているのはロッド・レイス。彼女へ向けて開口一番、「ヒストリア今まですまなかった」。レイス卿はそう言って彼女を固く抱きしめるのでした…。