別冊少年マガジンで連載中の『進撃の巨人』感想ネタバレ第17巻まとめ
真の王・レイス家が代々継承する巨人の力は、グリシャによりエレンに渡った。ヒストリアは父であるロッド・レイスにエレン殺害を命じられるが、最後は自分の道を選ぶ。そして怒りのままに最大の巨人と化したロッド・レイスが、エレンらに襲い掛かり……!オルブド区外壁にて人類の命運を懸けた一戦が勃発!!
目次
第67話 オルブド区外壁
第68話 壁の王
第69話 友人
第70話 いつか見た夢
本編あらすじ
第67話 オルブド区外壁
崩れる天井を押しとどめる格好で、巨人エレンの体から放射状に広がった柱。ドームのような空間を形成し土砂の崩落からリヴァイ班を守った巨人エレンは、明らかにこれまでとは異なった姿をしています。
注目すべきは、うなじからエレンが脱出しても巨人の形成した構造体が消えないこと。これまでは巨人からエレンが排出されると即座に蒸発して骨も残りませんでした。これで分かったことは「巨人化薬は巨人の特徴によって分類されている」「薬の多重使用によって能力を追加(もしくは上書き)で獲得できる」という事実です。
この能力をエレンが獲得したことで、壁の穴を塞ぐことが現実的に可能となりました。第1話で超大型巨人が蹴破り、その時の破片でイェーガー家が破壊されたあの時にできた穴。あれを塞ぎ、中に残った巨人を殲滅すれば、グリシャが隠していた地下室の中を確かめることができます。グリシャの記憶を垣間見、父が大量殺人を犯したことを知ったエレンは複雑な面持ち。
巨人化したロッド=レイスは巨大な体躯を持て余し立つことすら出来ず、その身から発する高温で周辺の木々を燃やしながら腹ばいになって蠢く肉塊でした。エレンどころか他の人間に目もくれず、どこかを目指してズリズリと進む巨人ロッド。アルミンの目測では超大型巨人の倍くらいのサイズとのことですから、身長は100m超と思われます。
もはやロッドの意思が反映されているようには見えず、何らかの不具合が発生したものと推測されます。不完全な状態で巨人化してしまったロッドを完全体にする手段は、エレンを食わせること。おそらくそれで彼は理性を取り戻し、「始祖の巨人」の記憶を身に宿した真の王となれるでしょう。
そして彼は人間の姿に戻るはずなので、それをただちに拘束して力を利用することができれば…。この案を口にしたのは他ならぬエレン。「選択肢はもう一つあります」それを遮ってエレン犠牲案を論理で否定するのはヒストリア。
洗脳を解くのは簡単ではないと予想され、ロッドが力を得たら拘束できるか分からず、記憶改竄能力を使われてはひとたまりもない。グリシャにはおそらく何かの考えがあり、人類を救うために強盗殺人を犯した。重傷を負い馬車の荷台に横たわりながら話を聞いていたハンジは、ひとつの懸念を口にしました。完全体に戻す必要がなければ、あの巨人を無力化するしかない。「君のお父さんを殺す他なくなる」
父との再会で得た束の間の「家族」。父の役に立ちたい、嫌われたくない、いらない子だと思われなくない一心でエレンを食い殺そうと考えたヒストリアでしたが、王家にまつわる秘密を知った今、彼女が出した答えは父との決別。血縁よりも仲間と生きる未来でした。
ヒストリアの了承を得て、まず試したのが、エレンが叫びの力を行使してロッドを操り言うことを聞かせる作戦。エレンは何度も呼びかけますが一向に効果は現れず。やはり修練が必要なのでしょう。巨人ロッドは超高温を発し樹木を燃やしながら進撃していますので恐らく体表付近の温度が250度以上あると考えられ、立体機動装置を用いた近接戦闘は不可能。となれば遠距離から砲弾を浴びせかけ、トドメに巨人エレンを投入する方策がよさそうです。
「この進路…まさか!!」巨人化し醜い肉塊となったロッド=レイスがズリズリと這って進む先には、ひとつの街区「オルブド区」。人口が密集している場所へ向かっている。あえて住民を避難させずに囮として用い、確実に巨人ロッドの進む方向をコントロールすべしという調査兵団の要請に街の守備隊は猛反発。しかし万一誘導に失敗しウォールシーナが破られることになれば、人類の被害はまさに壊滅的なものとなります。ここは確実を期すため住民は避難訓練と称して集団行動をとらせるものの街の中に留めておくのが上策。合流したエルヴィンの説得もあり、作戦は決行。
ロッドが外壁へと迫る中、オルブド区は夜明けを迎える。ずらりと揃った壁上固定砲台と、並び立つリヴァイ班。「食欲が無くて…」というサシャの言葉に驚くエレン。ジャンの「さっきまで散々人殺しまくってたせいかもな」彼らがエレンとヒストリアを奪還するため、憲兵団の対人部隊と一戦繰り広げたことについて詳細は聞いていなかったようです。その静かな言葉の重みに圧倒され言葉がでないエレン。
「自分の運命に決着をつけに来ました」「逃げるか戦うか…選べと言ったのはリヴァイ兵士長あなたです」待機命令に反し、兵装で壁上へ参じるヒストリア。その迫力に押し切られるリヴァイ。史上最大の巨人を前に、兵団総力を上げた砲撃戦が幕を開ける…!
第68話 壁の王
いよいよロッド=レイスの巨人が壁上砲台の射程に入る。駐屯兵の隊長が発する号令にあわせ、40門以上の大砲が火を噴きます。爆煙が立ちのぼり巨人の姿が白くかき消される…「さあ…どうだ?」固唾を呑んで白煙に目を凝らす兵士たち。ところどころ肉をえぐり取られながらも、何事もなかったかのように腕を前に出す巨人。やはり砲撃戦では致命的なダメージを与えるのは難しい。
エルヴィンやハンジらは新兵器を考案しており、準備されたのはありったけの火薬樽・ロープ・ネット。エルヴィンいわく「大事な人への贈り物を包装するイメージ」で、10個以上の樽をネットでくるんでしまいます。もう一つの新兵器は立体機動装置と荷車、そして火薬樽を組み合わせた自走式の爆弾。
新兵器についてひととおり命令を終えたエルヴィンはヒストリアの横に立ち、王家の跡継ぎである彼女が前線で身を晒すことを諌めます。「そのことで私に考えがあります」対してヒストリアは、名ばかりの王では意味がない、民衆の支持を得るために考えがあると答え、エルヴィンを説得しようと言葉を尽くす。そんなヒストリアの様子を傍目に見ながらタル爆弾をネットで包むエレン。(本当に強くなったんだな…お前のことを弱い奴だと思ってたけど逆だった…弱いのはオレだ…)
火薬満載の大タルを軽々と担いで運ぶミカサを呆然と見つめるエレン。ミカサを見て「あの日」のシガンシナが脳裏に再生されていました。母親が巨人に食い殺されるのを黙って見過ごすしかなかった無力な自分。目の前の巨人を駆逐できるだけの力をエレンはすでに持っている。今ここで自分が迷ってフラフラしていたら、オルブド区の壁が壊れてあの日と同じことが起こるに違いない。
エレンはいじけている場合ではないと悟り、自分の顔面を殴る。気持ちを入れ替え、これからの作戦に臨みます。巨人ロッド=レイスはすでに外壁に密着するところまで接近。これだけ角度が取れればうなじへの集中砲火もある程度効果があります。次弾装填を急かす駐屯部隊長ですが、ここで風向きが逆転。
巨人から立ち上る高熱の蒸気や爆煙が壁上に流れ込み、視界を遮ります。見当をつけて闇雲に砲撃したものの、壁を揺るがす巨大な衝撃に足元がふらつきました。巨人の頭が壁にぶつかったのです。巨人ロッドレイスは壁を手でつかみ、それを支えに立ち上がりました。
人間で言うとヘソの辺りから上が見えており、首だけ覗かせていた最初の超大型巨人より圧倒的に大きいことがはっきり分かります。初めて見せたその全身は、まさに異様。重すぎる体を引きずって進んだため、体の前面がこそげ取られてスライスしたようになっています。目玉はなくただ暗い眼窩があるのみ、鼻や口があるべき場所にはただぽっかりとトンネルが開いているだけ。胸から腹部にかけては内蔵のようなものが見え、消化器官はないはずなのに腸も詰まっている。壁の上に姿を現した巨人を驚き見上げる街の住民たち。即座に大パニックが起こります。
あの日のシガンシナと違うのは、対巨人の実戦経験を豊富に積んだリヴァイ班、巨人化能力を持つエレンが控えていること。作戦は第二段階へ移行、これよりリヴァイ班が実働開始します。頭から水を被り最低限の熱風防御をしたリヴァイ班が、先ほどの自走式タル爆弾を用意。狙うは壁をつかんだ両手の支えとなる、手首の部分。
サシャとアルミンがそれぞれ左右からワイヤーアンカーを手首に打ち込み、装置を起動。ワイヤーが巻き取られてタル爆弾を載せた荷車が自動的に巨人の手首へ密着すると、その高熱で爆発。手首の肉が吹き飛び、支点を失った巨人は大きく体勢が崩れます。両手を使えず胸から壁の上に寄りかかる格好となり、さながら断頭台に首を晒した囚人のようなロッド=レイス。そこへ突っ込むのは、ネットでくるんだありったけの大タル爆弾を背負った巨人エレン!
強大な火力で内側から木っ端微塵にする作戦は大当たり。巨人の口が都合よく開いてくれるかどうかがこの作戦を左右する賭けでしたが、エルヴィンは見事に勝利。天を衝く衝撃と爆風でロッド=レイスの胸から上は跡形もなく爆散します。空中へ飛び散っていく肉片のどれかに、うなじの本体部分が紛れているはず。それを確実に仕留めない限り、また巨人は再生します。この一瞬が最大最後のチャンス。
一斉に飛びかかる調査兵団の精鋭。まだ高熱を発する肉片に思い思いに斬りかかりますが、特にこれといった手応えはありません。その中で一人、ヒストリア。彼女がひとつの肉片を切断した瞬間、父の記憶の断片がフラッシュバックし、残っていた巨人の体躯が激しい光とともに崩れ去ります。彼女がうなじの弱点、本体を仕留めた!
街の馬車の荷台に仰向けで倒れこんでいるヒストリア。彼女の周りへ集まり、それぞれに声をかける兵士や住民たち。「君があの巨人にとどめを刺したのか!?」と聞く住人。ヒストリアは荷台の上でゆっくり立ち上がり、「…私はヒストリア・レイス。この壁の真の王です」と宣言!!
第69話 友人
ケニーの回想。リヴァイの出自がついに明らかに!!これは彼が憲兵殺しから転身し体制側につくことになった理由を明かすエピソード。
巨人の腕によって拘束されているケニー。巨人の主はウーリ。ロッド=レイスの弟でありフリーダ以前に叫びの力を継承していた人物で、ヒストリアの叔父。ウーリは巨人の上半身を操って難なく刺客であるケニーを捕縛。(圧倒的な強者を前にした俺は脆かった)(暴力がすべてだった俺はその支えを失っちまったんだ)
町外れの街道で荷馬車に乗っている時を狙われたようです。ウーリは巨人の力を行使してケニーを操ろうとしますが叶わず、目の前の敵がアッカーマンの人間であることを察します。苦し紛れに泣き喚きながらナイフを投げつけるケニーをウーリは解放。真の王は、アッカーマン家が王家を恨むのはもっともだと理解を示し、どうか許して欲しいと地に付して頭を下げます。
一度は囚えた刺客を解放し頭を下げる。ケニーには理解できない行動。強いか弱いかでしか物事を測れず暴力で相手を蹂躙することが全てだと信じていたケニーは、このウーリの姿になぜか心を動かされ、(俺はその場で「力になりたい」と伝え、ウーリは頷いた)体制側に転んだケニー。同時にアッカーマン一族への迫害は終わった。
(晴れて青空の下を歩ける…ようになったわけじゃねえが敵は減り続けるだろう)そんな彼が向かったのは、妹・クシェルが働いている娼館です。彼女は迫害を恐れた結果、偽名を使って地下へ潜っていた様子。しかし、クシェルは既に死亡していました。遺体はベッドに放置されています。
部屋の片隅にはまるで幽霊のように生気を感じさせない子供が一人、床に座り込んで動かずにいました。名前を尋ねると「…リヴァイ。…ただのリヴァイ」ここでリヴァイがケニーの妹の子、すなわち甥であることが判明。アッカーマン分家のミカサとは遠縁にあたります。
(愛想のねぇ死にかけのガキ。クシェルの忘れ形見はそれだけだった)ケニーはそれからリヴァイと共に生活し、彼に地下街で生き抜く術を教え込みます。そんな暮らしを続けていくうち、リヴァイはいつのまにか地下街に似つかわしいゴロツキになっていました。自分よりずっと体格のいい大人に、目をぎらつかせながらナイフ一本で立ち向かっていく。そんなリヴァイの様子を遠巻きに見ていたケニーは、そっと背を向けその場から歩み去っていきました。
幾ばくかの年月が過ぎ、ウーリは老いていました。「バケモンのクセに老いと病には敵わねぇと…てめぇにゃガッカリしたぜ」継承の儀についてケニーに秘密を明かすウーリ。「ケニー…この世界はそう遠くない未来必ず滅ぶ」「そのわずかな人類の黄昏に私は楽園を築きあげたいのだ」そしてウーリの力はフリーダに継承され、ケニーはその力に興味を持つようになります。それは単に己の欲望を満たすために権力を求めるのとは趣向が違いました。彼はウーリの考えたことが知りたかったのです。
(この世で一番偉いのはこの世で一番強い奴のことを示す。力さえありゃいいんだよ。少なくとも妹みてぇな最期を迎えることはねぇだろうからな。奴とは最後まで同じ気分にはなれなかった。奴の言う通りバケモンは受け継がれたらしい。目を見ればすぐに奴がいるとわかった。どうしてお前はそんな暇なことを言ってられる?お前に力があって余裕あるからか?その力を手にしさえすれば誰でも同じなのか?…例えば俺でもー)
そして彼はその思想に賛同する部下を増やし、継承の儀が執り行われるその日を待ち続けます。長い期間、ケニーは自分が巨人になり叫びの力を横取りしようとあれこれ策を講じましたが、叫びの力は王家の人間でなければポテンシャルを引き出せず、ケニーは長年の計画がご破算となる…。(俺のようなクズにも…本当にお前と対等な景色を見ることができるのか?なぁ…ウーリ)
木立の中、針葉樹の根元に体を預ける黒衣の男ケニーがいました。地下結晶洞窟の下敷きになって死亡したかと思われましたが、生きていた。しかし、重傷を負い、すでに息絶える寸前。もう助からないと声をかけるリヴァイに、ケニーは唇の端を歪めて懐から注射器を取り出します。ロッド=レイスの鞄から抜き取った巨人化薬でした。
「アホな巨人には…なっちまうが、ひとまずは延命…できる…はずだ…」。結局ケニーは注射器を使うことはせず、今ならウーリのやったことが分かる気がするとつぶやきます。それが具体的にどういった心境かは判然としませんが、彼は巨人の力がなくとも友人の気持ちを理解することができたようです。
今際の際、リヴァイは母とケニーの関係を問いただします。ケニーは「バカが…ただの…兄貴だ…」と笑いながらリヴァイの母の兄だと告げ、注射器をリヴァイに託すと、「俺は…人の…親にはなれねぇよ」そのままもう二度と動くことはありませんでした…。
場面は変わり、王都。群衆の見守る王宮前広場の壇上で、王たる証の宝冠を戴くヒストリア。巨人ロッドを撃滅したことから民衆は彼女をすんなり支持しているようです。リーブス会長の遺言でリヴァイを殴るヒストリア「お前ら、ありがとうな」と伝えるリヴァイ。
第70話 いつか見た夢
革命事変から2ヶ月後。ヒストリアはレイス家の農場に孤児院を設立し子供たちの世話をしていました。「今じゃ孤児院の院長の方が板についてきてる」ヒストリアは巷で「牛飼いの女神様」と親しみを込めて呼ばれている。104期は孤児院の手伝いに駆りだされており、ヒストリアと共に荷物運び。途中、ヒストリアはエレンに硬質化実験の近況を尋ねます。実験は順調に推移しているようで、兵団の作戦準備が整い次第シガンシナへ出撃できるそう。
ライナーとベルトルトを殺さなければならない、と呟くエレン。殺したいと思っているのか?尋ねるヒストリアにエレンは「…殺さなきゃいけないんだ」と返す。少し重くなった話題を逸らそうと、ヒストリアは子供たちの話題を出します。地下街のスラムから連れてきた孤児たちが最近よく笑うようになった。継承の儀によって初代王の思想を引き継ぐことを否定した自分たちが、人間として守った営み。「これが間違っているはずなんてないよ」エレンは「お前は立派だよ」と褒め、照れる彼女と若干いい雰囲気になったその瞬間。突如ミカサが瞬時に出現。小刻みに震え絶句するヒストリア。
その後、内乱に敗れた守旧派の議員は爵位を剥奪し収容所送り、反抗的な貴族には高い税率を課し力を削いだ。また憲兵が取り締まった民間の新技術は秘密裏に保持されていた。地下結晶洞の光る石は新たなエネルギー資源として民間へ供給された。
そしてエレンの硬質化能力を応用し新たな対巨人兵器を開発。巨人のためのギロチンとでも呼ぶべき画期的な兵器が誕生します。エレンの壁生成能力を使い、2枚の壁板を巨人一人が通れる間隔で並べます。途中に壁素材での柵が張られており、巨人が通過することはできません。その奥に囮となる人間がいると、巨人は首を突っ込んできます。そこへ上から巨大樹の丸太で作った槌を落下させ、重みでうなじごと粉砕するという仕組み。隙間に吸い込まれ、柵で阻まれた巨人を丸太で破壊。やはり丸太は兵器として有効だということが証明されました。
この兵器「処刑台」の登場により、兵士も弾薬も損耗せず黙々と巨人をおびき寄せては殺し、おびき寄せては殺しを続けていけるようになります。壁外の無尽蔵に湧き出てくる巨人はともかく、壁の穴を塞いだ後で中に残った巨人を殲滅するには極めて有効と思われ、その高効率に小躍りするハンジ。「やったぞ!12m級撃破!」
「これを大量に造って他の城塞都市にもー」と舞い上がるハンジですが、それを生成する要のエレンは鼻血を噴いてリヴァイに介抱されています。どうやら巨人化能力を酷使しすぎた模様。実際、巨人化能力を継続的に使用し続けた場合の中身への影響はほとんどわかっていません。「こいつが生み出す岩が無限にあるとは思わない方がいい」
今際の際、ケニーがリヴァイへ託した巨人化薬。その分析ははかどっていませんでした。分かったことはビンの中身が空気に触れるとすぐに気化してしまうこと、兵団が持つ技術を遥かに凌駕していることだけ。首脳陣は解析を諦め、いざという時に誰かを巨人化させる切り札としてリヴァイにそれを託します。いつ誰に使うかという権限もセットで。
一度これを使ったら巨人化能力を持つ相手を食わないと人間には戻れませんので、使える状況はかなり限定されます。便利な超兵器というわけにはいきません。下手をすると人間に戻れないままユミルのように巨人として永劫さまよい続けることもありうるわけです。リヴァイはエルヴィンの真意を測るようにいくつか質問をした後、注射器を手に取りました。
ジャンやコニーたち104期と同席しているのはマルロ。軍服には自由の翼が縫われており、憲兵から調査兵へ転属した様子。彼だけでなく駐屯兵からの鞍替え組もおり、人員補強のために大々的に内部での募集をした。ヒッチは憲兵団に居残りの模様。「このまま一緒に憲兵に残れば」と止めていたヒッチだったが転属してきたマルロ。コニーが翌朝から生家の村を訪れるからと早めに退散。
「俺たちが闘っている敵は何なんだろうな」「つまり巨人ってのは…悪夢にうなされ続ける人間…ってことなのか」思考の迷路に陥りそうになるエレン。現実に呼び戻してくれるのはミカサ。支えてくれるのはアルミン。そして別の道を示すのはジャン。ここまで生き残った戦友たちは十分に心が通じているようです。
ジャンはエレンに一人でブツブツ暗いことを考えるより先に思い出すべきことがあると示唆します。それはすなわち、グリシャ・イェーガーの記憶に登場した人物。グリシャがフリーダから叫びの力を強奪してレイス家のほとんどを殺害した後、彼と接触していた調査兵団の中年男性。この人物はグリシャの素性について何かを知っているはず。そしてエレンはこの男の顔をどこかで見たことがあるように感じていました。ジャンの軽い冗談からエレンの中で記憶の糸がつながります。電流が走り、エレンはその男の名を口にしました。キース・ジャーディス。訓練兵時代に彼らをしごいた鬼教官。エレンは翌日教官の元を訪れることに。
一方、ライナーとベルトルトはその後…。そこにはいきなり半殺しにされ瓦礫の上に横たわる鎧の巨人と、その身を案じるベルトルトの姿が。そしてそれを見下ろしながらヤンキー座りで構えるのは獣の巨人。彼らはシガンシナで何か賭けをして勝負に挑み、ライナーは負けてベルトルトと共に猿巨人に従うことになったようです。
「勝ったぜ。アニちゃん助けるのは後な」「座標の奪取を優先。当然だろ?」「ここで待ってりゃ、あっちから来るんだし」そう言いながら獣の巨人のうなじを割って中から現れたのは眼鏡の男。物語の鍵を握る男がついに登場!最後の謎を目撃せよ!