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【進撃の巨人】感想ネタバレ第9巻まとめ

別冊少年マガジンで連載中の『進撃の巨人』感想ネタバレ第9巻まとめ

進撃の巨人(9) (講談社コミックス)

進撃の巨人(9) (講談社コミックス)

 

ついに「女型の巨人」の捕獲に成功したエレン達。だが、時を同じくして壁の中に眠る「新たなる謎」と直面する。そして混乱の中、ウォール・ローゼが破壊されたとの急報が届き……。襲来する巨人の群れ!新たなる脅威「獣の巨人」!丸腰の104期兵に危機が迫る!! 

目次

第35話 獣の巨人
第36話 ただいま
第37話 南西へ
第38話 ウトガルド城

本編あらすじ

第35話 獣の巨人

「巨人側」に通じている人間がいるのではないかと嫌疑をかけられつつもそうとは知らされず、非武装で監視をつけられていた104期卒業生たち。エレンやミカサら調査兵団の主力は不在です。そこへ前触れもなく巨人の集団が近づきつつありました。

壁に扉のある特別区が襲撃されたのならとっくにその事が内地にも伝わっているはずなので、巨人はどこか別の場所から侵入してきていると思われます。どこからどうやって巨人が入ってきたのか、壁は壊されているのか、ここからそれを知る手段はありません。

104期卒業生たちを監視していたミケとナナバは卒業生たちに普段着のままでの脱出を促すと、まだ負けていないと自分たちを鼓舞して戦闘体勢に移行します。巨人の侵入経路や戦力規模が不明な現状で、彼らにできる主な任務は情報の伝達と避難誘導、そして壁の破損を確認することです。

心中穏やかでないのは皆同じですが、中でも動揺が激しいのはコニー。巨人が来た方向には彼の故郷の村があります。彼は村で劣等生とバカにされ、それを見返すために兵士を志しました。結果トップ10入りで卒業し、特権階級である憲兵団になろうと思えばなれたわけです。少し前にも抜け出して村の様子を見に行こうと計画していました。

南方向へ向かい壁の破損を確認する班の案内を任されたコニー。ライナーとベルトルトもそれに同行を決め、悲壮な行軍は始まろうとしていました。巨人9体の集団が接近してきたため各班は行動を開始。ところが、いつもなら馬で振りきれるはずの巨人たちが一斉に…走り始めました。その速度は馬をしのぎ、このままではすぐに追いつかれてしまいます。

ミケの判断は速く、自分ひとりが囮となって巨人を引き付けるつもりのようです。これまであまり描かれていませんが彼はリヴァイにつぐ戦闘力を持つ分隊長。嗅覚が鋭いタイプです。驚くべきことに、一瞬のうちに5体を仕留めました。超人的な戦闘力。

残りは4体なのですが、その中に目を疑うような姿の巨人が混ざっています。サイズはミケの目測で17m以上、超大型を除けば最大級で、直立していながら脛まで届く異様に長い両腕を持ち、そしてなんと肩から上と腕、下半身が体毛に覆われています。一見すると巨大なオランウータンやテナガザル、これまでの巨人像とは一線を画した変わり種です。「猿巨人」と名づけます。

ミケは「時間稼ぎは十分」と判断し、屋根から指笛で馬を呼び脱出を試みます。律儀な馬はどこからか主人の元へ駆け戻ってきますが、そこへ猿巨人が腕を伸ばして馬を片手で持ち上げます。通常、巨人は人間以外の動物には興味を示すことはなく、行動習性は人を見つけて捕食すること、それのみです。

道具を使うことも組織的な行動をすることもなく、一直線に人間に近づき、捕まえて食べる。それゆえに巨人の行動パターンは予測しやすく、戦力で劣る人類がなんとか抵抗してこられたのも巨人の愚鈍さによるところが大きいのです。その反面、知性を持った女型の巨人との戦いではそのロジックが通じず、たった一体に調査兵団は壊滅的な損害を与えられました。

馬を掴んだ猿巨人。ミケと目が合います。この目は普通の巨人のものではありません。確実に意志が宿っています。ミケに向かって馬を投げつける猿巨人。コントロールは正確。ミケが立っていた付近の屋根に直撃し転落。この世界では馬は貴重品で、調査兵団が使う馬は庶民の生涯年収に匹敵するそうですから日本で言うと億クラスでしょうか。

巨人の目当ては人間なので殺される馬は多くはないのですが、知性のある巨人は最初に移動手段を潰してきます。転落したミケは小型の巨人に捕まり、脚を噛み砕かれて絶叫。武器は持ったままですが、とっさのことで反撃できなかったようです。

「待った」と声がかかった途端、ミケを捕まえた巨人は動きを止めます。ミケは痛みに震えながらもまだ存命。声の主は猿巨人。ミケの前にしゃがみ込みます。一旦動きを止めたものの、すぐにまた咀嚼を再開した小型の巨人。悲鳴を上げるミケを見た猿巨人は「え?」「俺…今」「待てって言ったろ?」そう言いつつ制止しようとして勢い余ったらしく、小型の巨人の頭を握りつぶしてしまいます。結果的にミケの命は救われ、地面に落下。

そして猿巨人は…「その武器は何て言うんですか?」「腰につけた飛び回るやつ」と質問してきます。人類が巨人と会話を交わしたのは、記録上ではイルゼ・ラングナーのみ。そのイルゼのケースも巨人が一方的に人語らしきものを発しただけで、厳密には会話でも問答でもありません。

すでに一部の巨人の中には人間が入っていることは明らかになっているため、そういうタイプの巨人なら喋っても不思議ではないのですが、やはりインパクトはあります。ミケもただ驚愕し圧倒されるばかりで、会話どころではなく押し黙りまっています。

「う~ん…同じ言語のはずなんだが…」「怯えてそれどころじゃないのか…」「つーか…剣とか使ってんのか…」「やっぱうなじにいるってことは知ってるんだね」「まあいいや」「持って帰れば」独り言の多い巨人で。中身の人間は社会性を持っており、知らない人に対する礼儀や一般常識があるようです。

そして立体起動装置を知らない少なくともアニから情報提供を受けていないことが分かります。もしかすると巨人側にも複数勢力があるのかもしれません。普段は現人類と別の領域で活動しており、交流が少ないことを示唆しています。

猿巨人は指先でミケの立体起動装置をつまみあげると、背を向けて去ろうとします。ミケは折れた脚でなおも闘志を失わず、剣を構えて気概を示しますが…「待て」を解かれた残りの巨人が一斉にミケに襲いかかり、あえなく捕食。意外なほど見苦しく泣き喚きながら巨人に蹂躙されていくのでした。

第36話 ただいま

ウォール・ローゼの内側、ウォール・シーナから見て南側の地域に突如として出現した巨人の群れ。各都市から壁が破壊されたとの知らせは入っておらず、巨人はどこから侵入したのか未だ不明。しかし肝心なことはそれを各方面へ伝達し、周辺住民を避難させることでした。

非武装で駐留していた104期生たちがそれぞれの方面へ伝令と避難誘導を受け持って馬を駆ります。壁の破損箇所を確認するため、南方向を目指す班にはコニー・ライナー・ベルトルト。一方、北方面へ進み近隣の避難指示にあたる班には、この近くの村出身であるサシャがいました。

今回はこの時のサシャの行動が描かれています。サシャは通りがかった村への伝達を他の班員に委ね、自身は単騎で故郷の村を目指します。馬の背中でサシャの頭を去来したのは、かつて訓練兵団に入る前、村で過ごした父との思い出でした。

この頃からサシャは盗み食いの癖があったようで、父親がそれに手を焼く様子が描かれています。このシーンでは父娘ともに「方言」で話しています。サシャ「奪われたんが悪い…はよ出てけばいいんに…」父「奪ったんは巨人ぞ?他に行き場があるんか?」

サシャ「狩りやめたら私達じゃなくなるやろ!?何で私らを馬鹿にしてるヤツらのために…そんなことせんといかんの!?」

サシャは森育ちで外の世界の人たちと関わることに抵抗を持っており、今のままの環境で狩猟をして暮らしたい。一方の父親は革新的な考えで、伝統ある狩猟生活をやめ森を開拓して農場にする方が多くの人の役に立ち、社会への義務を果たせるという意見。サシャは父親に猛反発しますが、父はサシャのそれを臆病だと看破します。他人と向き合うのが怖いから嫌なんだろうと。

どうやらそれがきっかけでサシャは訓練兵団に入ったようなので、父への反発が根っこにあるのかもしれません。そしてそのまま調査兵団に入り、地獄を見て今に至るわけですが…そんな事情で故郷へは三年間で一度も帰っていませんでした。

三年の空白のため、サシャが見覚えのない新しい村ができていました。驚くべきことに、すでに巨人がそちらへ向かったとおぼしき足あとを見つけたサシャ。そちらへ駒を進めます。

村では小型の巨人が一体、家の中で静かに食事をしていました。母親がゆっくり生きながら食べられているそばで、身動きもできない少女。そこへ薪割り用の手斧を持ったサシャが巨人のうなじをめがけ後ろから渾身の一撃!

しかし対巨人用の刃と違い、斧ではうまくうなじの肉をそぎ取ることができません。何度斬りつけても巨人の肉は即座に回復し、巨人は意に介さずゆっくりと食事を続けています。斧がすっぽ抜け、そこでサシャは初めて部屋のすみにうずくまる少女の存在に気づきます。

サシャの判断は、母親は諦めて少女を救出すること。あいかわらずノロノロと食事をする巨人の脇をすり抜け、サシャと少女は家を出ます。それを見て、今まで無反応だった巨人がゆっくりと家から出てきました。こちらへ向かってきます。

馬がびびって逃げてしまい、サシャは手近にあった弓矢を取ると少女と一緒に走って逃げようとしますが、少女はすでに生きようとする気力がなく、助けに来たこともまるで余計なお世話とでも言わんばかりで走ろうとしません。その瞬間、サシャの脳裏にフラッシュバックしたのは訓練兵だったころの日常のひとコマ。ソバカスの少女がサシャの丁寧語をからかう場面でした。

訛りが恥ずかしいから無理に丁寧語で取り繕ってるんだろ?と図星を突くソバカスの少女。さらに「狩猟以外の事を知らないから世間が怖い」「兵士を目指したのだって大方親にでも…」とかなり鋭い洞察を見せますが、ここで隣にいたクリスタから衝撃の一言が!「ちょっとユミル」

さて現実のサシャは少女へ先に行くよう促すと自分は弓矢を構えて巨人の足止めを試みます。なんと男らしい…。サシャの魂の叫びが少女にも伝わったようで、逃げてくれました。あとはサシャが弓で巨人の目を潰して任務完了!逃げた馬と少女を探して走ります。

そこへ通りがかったのは馬に乗った避難途中の住民の一行。先頭を進むのは三年前に別れたきりの、サシャの父でした。さっきの少女も一緒です。

「あの子のために巨人と戦っとったのだな…?」
「うん…」
「サシャ…立派になったな」
「お父さん」「ただいま」

第37話 南西へ

巨人発見から20時間後、ストへス区からエルミハ区経由でウォール・ローゼの南区を目指す主役チーム。現場の情報がないのでとにかく急いで向かっているという状況ですが、今回はニック司祭も同行しています。司祭は自分の目で被害を確認してから秘密を話すべきかどうか決めるという心算らしいのですが、エレンは人類の存亡より重要なことなどないと反論。しかしハンジは司祭の肩を持ち、何か理由があるのだと弁護します。

ハンジは女型の巨人の硬化した皮膚の破片を持っていました。巨人は死んだり変身が解けると肉体は蒸発・霧散して跡形もなく消えるのですが、硬質化した皮膚はそのまま固形物として姿をとどめています。

壁の破片と比較して、非常によく似た構造や性質を持つことが確認されたそうです。街を守る壁は大型巨人が柱となり、巨人の硬質化能力で作られたものだったことがこれで確定的になりました。現存する人類が持つ建築技術の水準を明らかに超える壁がどうやって作られたのか?という疑問に一つの解が示されたことになります。

巨人の硬質化能力で壁は作られた、それならばエレンが巨人化して同様の能力を行使することで、壁に開いた穴を塞ぐことができるのではないか…?アルミンとハンジは同じ発想に行き着きます。この方法なら穴をふさぐための岩や資材を運搬する必要がなく、身軽な少人数編成でこれからすぐにでも壁の破損箇所に到達することができそうです。

ウォール・ローゼ、ウォールマリアと穴を塞いだら一気に人類の生活圏を奪還して、全ての答えが待つエレンの家の地下室へ…。当初は20年かかる見積もりでしたが俄然現実味を帯びてきました。もちろん、エレンがこれまでに使ったことのない硬質化能力を使いこなせることが前提ではありますが。

ウォール・シーナ南端のエルミハ区。突破されたローゼの壁の住民たちが避難のために押し寄せ、通りは人で埋め尽くされていました。大きな混乱はなく、みな押し黙って歩きます。ニック司祭はその様子を見て心を痛めますが、それでも結局自分の口から教団の秘密を話すことはできないと言います。自分の判断で話してしまうのはあまりにも責任が重く耐え難い。その代わり、他に壁の秘密を知る人物を教えると。

司祭が名を挙げたその人物は―
クリスタ・レンズ。

彼女は壁の秘密を知る「ある血族」に連なり、5年前に同族間の争いから逃れるため偽名で身を隠したのだとか。そして104期の訓練兵団を経て、この瞬間は調査兵団の一員として前線で住民の避難誘導にあたっています。クリスタ本人は現時点で壁の秘密を知りませんが、それを知ることができ、また公表する権利を持っているのだそうです。王族ということになるのでしょうか。

クリスタの名を聞いても顔が思い出せないハンジにミカサが「ユミルといつも一緒にいる子です」と告げた途端、ハンジの顔色が変わります。「え…?」「ユミル?」忘れもしない、イルゼ・ラングナーの手帳に記された最後の記録。巨人が明確な人語として発した名前が「ユミルさま」です。

時は少し巻き戻って、南区で巨人が発見されてから3時間後。クリスタとユミルは巨人の出現ポイントから西方面の避難誘導を担当する班にいました。南下して壁の破損箇所を特定する指示を下した上官に、ユミルは反論します。自分とクリスタは兵装がなく無防備なため(104期生は巨人化の嫌疑でこの直前まで軟禁されていた)、一度前線から下がりたいと。提案は却下。

クリスタはユミルに声をかけます。いわく、私は自分で調査兵団を選んだのだからこのまま最善を尽くすと。一方でクリスタが案じるのはユミルの胸中。彼女はユミルが自分に執着し、まるで保護者のように振舞っていることを挙げ、私のために危険につきあう必要はないから逃げろと促します。

クリスタの推察によれば、実はクリスタが104期卒業生の成績トップ10に入れたのもユミルが席を譲ったからなのだとか。そしてユミルはクリスタに憲兵団への入団を勧めていた。おそらくは彼女の身の安全を確保するために。クリスタは怯えたような表情で、これまでずっと訊けなかった質問をユミルに投げかけます。

「何で…私にそこまでするの?」
「私の…生まれた家と関係ある?」

友情、戦友、同期、仲間…そういった温かい感情で繋がっていると思いたかった。自分を心配してくれるのも、ありがた迷惑な好意や善意なのだと。でも実際は職務・契約・役目・打算…のようなもので、本意に反して仲良しの演技をしているんじゃないか。自分のことを好きなのではなく、自分の生まれや家柄と付き合っているのではないか。クリスタは随分前から薄々気づいていながらも、その真実を知るのが怖くて問いを発することができなかったのでしょう。

ユミルは「ある」と答えます。クリスタが恐れたもの。ユミルが見ていたのは自分ではなく、自分の家柄。不安に表情をこわばらせるクリスタ。ユミルはこう続けます。「クリスタ…安心してくれよ」「私がここにいるのはすべて自分のためなんだ」クリスタはその言葉を聞いて、心から安堵の表情を浮かべます。

さて場面は変わってコニーやライナーがいる南班。生家のある村へ帰ってきたコニー。ですが村はすでに蹂躙され人影はなく、コニーの家も全壊しており瓦礫と化した家の跡には巨人が仰向けに転がっていました。しかしよく見るとこの巨人は手足が異常に細く、ほぼ頭と上半身しかまともな構造を持っていない状態です。歩いたり這って進むことも難しそうですが、一体この巨人はどのようにしてここへ来て、どうやってコニーの家を破壊したのでしょうか?

第38話 ウトガルド城

巨人に襲撃され、壊滅したコニーの村。絶望に打ちひしがれるコニー。不思議なのは、犠牲者の死体がどこにもないこと。巨人に村を襲われて痕跡が残らないなんてことはありえないはずです。

巨人を早期に発見し、全員無事に逃げたんだと推測する隊員の意見にコニーは元気づけられますが、班長は懐疑的です。家屋が徹底的に破壊されていること、馬小屋に多くの馬がつながれたままであることから多くの住民が逃げおおせた可能性は低いと見る班長ですが、それは内心に留めたまま壁の破壊箇所特定のため出発を促します。

馬にまたがり村を出ようとするコニーの背に、コニーの生家を潰している動けない巨人が声をかけました。「オ…アエリ…」「お帰り」と言っているのでしょう。やはりこの巨人はコニーの母親と思われます。この巨人が動けない状態で発見された時に「一体どうやってここに来たのか?」という疑問が生じましたが、他の場所から移動してきたのではなくこの家で発生したと考えれば合点がいきます。

日常生活を営んでいた村人たちが何らかの理由で巨人化し周囲へ侵攻したと考えるべきでしょう。変態が不完全で四肢が使えなかったコニーの母親だけはその場に取り残されたと思われます。コニー自身、あの巨人が母親に似ていると発言していることから物語的にはほぼ間違いないでしょう。

ライナーもコニーの様子からその事実を察知しますが、コニーの言葉をさえぎって必死に自分たちの任務の責任を説き、自身とコニーを鼓舞します。ひとまず冷静さを取り戻したコニー。壁の破壊箇所を探すため、生まれた村を後にします。

巨人出現ポイントから東で防衛ラインを引くリコの精鋭班、壁の穴を探して壁沿いに進むハンネス部隊は、巨人の数が異様に少ないことに気づいていました。通常、巨人が壁に穴を開ける時には特殊な巨人が多くの巨人を引き連れてやってきます。そして圧倒的な物量で押し通るのが基本戦術。

しかし今回は防衛線へ押し寄せる巨人の数は少なく、また壁にそって行けども新手の巨人は現れません。穴からゾロゾロと巨人が入ってきているはずなのに。これまでの巨人侵攻とは何かが違います。

コニーやライナー、ベルトルトらがいる南班は日が暮れて真っ暗になった後も松明の火を頼りに壁沿いを西へ進みます。いつ暗闇から巨人が現れるかもしれない恐怖。まさに一寸先は闇です。日光がないと巨人の活動性は鈍りますが、そうは言っても恐怖心は拭えません。恐怖と緊張でおかしくなりそうな中、行く手に別の明かりが見えました。

向こうからやってきたのはクリスタやユミルがいる西回りの班。互いに壁の穴は発見できていません。つまり、巨人がやってきた方向の壁には穴が開いていないということになります。困惑する隊員たち。今日の過酷な行程で疲労も限界です。そこへ雲の隙間から月明かりが差し、すぐ近くに建築物の影が見えます。城跡のようです。

一息つくために古城へ向かった一行は、そこに最近まで誰かが住んでいた痕跡を確認。わずかながら酒や食糧も残されていました。こんな壁の近くに誰が住んでいたのでしょうか?壁が壊されていないなら巨人はどこから来たのか?当然の疑問を口にするクリスタ。しかし誰にもその答えはわかりません。

コニーは自身の村が壊滅したが犠牲者の痕跡がなかったことを報告し、そこで生家を潰していた巨人が母親に似ていたことを思い出します。ライナーがその先を制しようとする前に、ユミルが大声でコニーを冗談めかして笑い飛ばし、その場は流れてしまいました。

夜も更けて、ライナーは倉庫で食糧を漁るユミルを発見します。ライナーは先程ユミルがコニーの村の件で機転を利かせたことへ感謝を伝えたいようでした。ユミルはとぼけますが。そこでユミルは缶詰を見つけます。「こりゃいけそうだ鰊(にしん)は好みじゃないが…」

ライナーはその缶詰を見て「何だこの文字は?俺には読めない」「にしんって書いてあるのか…?」「お前…よく…この文字が読めたな…ユミル」ハッとした表情で視線を交わす二人。緊張が走ります。どちらかが次の言葉を発する間もなく、見張りが大声を上げます。全員すぐに屋上へ来いと。屋上で彼らを待っていたのは、大勢の巨人が城の敷地まで攻め入る光景でした。

エネルギー源である日光がないのになぜ…?巨人たちを率いているのは、ミケと問答し立体機動装置を奪いとったあの猿巨人。流暢に人語を話す、全身に毛の生えた手長オランウータンです。猿巨人は城跡には興味を示さず、そのまま歩いて壁へ近づくと素手で壁をよじ登ります。その他の巨人は城へ侵入を試みており、隊員たちは応戦の構え。猿巨人も特にそれを止めたりはせず、壁の上から背中越しに一瞥しただけ。

時を同じくして、ハンジ率いる調査兵団の主力部隊(エレン、ミカサ、アルミンら)は壁の破壊箇所を確認するためウトガルド城の見張り塔を目指していました。彼らの到着は間もなく。次回の舞台は激戦のウトガルド城!