2001年から2005年まで週刊ヤングマガジンで連載していた『クニミツの政』の最終巻27巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめ。結末(ラスト)はいかに!?
泣いても笑っても投票日まで1週間!雨中の選挙活動に、不破の涙の演説、坂上の花火…次々に繰り出される両陣営の秘策に新聞アンケートも一進一退。そして迎える投票日。新千葉ヶ崎の人々の心を掴み、市長となるのはどっちだ!?
本編あらすじ
徳川みずほは吾妻光明を怒らせた報いを受ける。吾妻光明が仕掛けたパソコンウィルスのせいで、徳川のプライベート写真がネットに流出してしまった。しかも高校時代は素行不良で、不純異性交遊で退学になり世間体を気にして海外の学校に行ったことも知られてしまう。
坂上竜馬と不破俊一の事実上の一騎打ちを迎える。そんな中、坂上事務所の傘とカッパが全部破かれてしまった。雨に濡れながらの選挙活動をするが、実はボランティアの結束を狙った吾妻の戦略だった。
それを知った坂上はみんなに伝えようとするが、吾妻は坂上に土下座して自分の考えに従ってほしいと引き止め、風邪をひかないようウェットスーツを着てもらうよう促す。坂上は、すべては自分自身のために最善策を考えていることを理解し、その場は従うも自分だけ暖かいウェットスーツを着ることだけはしなかった。
選挙戦は中盤。残り四日間。クニミツ、吾妻、伊地知はポスターをイタズラされていないか夜回りをしに行く。現市長の五来田進の息子である五来田守がポスターを剥がそうとしているところを見つける。守は伊地知に諭され坂上事務所のボランティアとして選挙を手伝うようになる。市長選アンケートでは一位を獲得し光明を見出す。
駅前では不破が派手な機材を使って候補者に演説をしている途中で、孤児院時代(現在は保育園)の仲間や園長先生が応援に駆けつけてくれているのを見つけ、久城龍也の後押しもあり一緒に壇上に上がってもらうことになった。意外な経歴と自然な素顔を出す不破に観客も注目しだす。園長先生からの応援の言葉に涙する不破を見て、観客も涙する。
クニミツは江川透流と共に花火をぶちあげ、花火で「さかがみりょうま市長」の文字を表現する奇策を実行する。夜空を見上げるすべての有権者に坂上竜馬の字が焼きつけることができ、その宣伝効果は計り知れない。
市長選まであと二日。毎朝新聞のアンケート結果では不破と坂上が同数で並ぶ。ご隠居は業を煮やし、10人のヒットマンを雇う。その日の夜を迎え、クニミツは江川透流がヒットマンを相対する。ナイフを出してきたが、一発の銃声が響き、ヒットマンは退散。講談音羽会若頭の藤代静の最後のサポートであった。
市長選挙前日、仕組まれていた妨害工作によって選挙カー三台すべてが壊れてしまう。喜ぶご隠居だが、脱税で貯め込んだ金がヤギ小屋の天井裏にあることを通称マルサ国税局国税査察官に嗅ぎ付けられ、度重なる資金隠しと脱税容疑が発覚してしまう。
不破と久城は神輿行列を見て坂上陣営が隊伍を組んで気勢を張る行為をおこなっているとし公職選挙法違反第140条の疑いをかけて警察を呼ぶが、実際はクニミツ一人で「一人神輿」のため立派な選挙活動だった。
坂上が提唱する新千葉ヶ崎教育ルネッサンス、不破の提唱する新千葉ヶ崎再起動プラン。不破は理屈ばかりが先走っていた不破は、心に訴える情熱を語り始め、坂上は政治家らしい論理的な演説をこなしている。そんな二人をみて、デニスカイホストの社長は互角かもしれないと評し、どちらにも市長になってほしいと考えるようになった。
選挙活動日最終の夜、事務所に残っていた吾妻は同じく片づけをしていた坂上明日香に二人で富士山に登ろう、好きだと告白する。明日香も「好きに決まっています」と一緒に富士山に登る約束をする。
投票日。投票所によるクニミツ。盛り上がっている会場を見て、すでに空前の投票率が予想されている。クニミツは坂上に一票を入れられないため、早く20歳になって選挙権が欲しいと悔しがる。
開票が開始される。開票率80%を超えても互角。投票率90%を超え歴史に残る市長選。95%を超えた時点で不破が15票のリード。まだ当確が出ない状態に、最後の一票までわからなくなる。最後の一票を開く前で坂上リード。同数ならば決選投票になると固唾をのんで見守る中…。
新市長に当選したのは坂上だった。最後の一票は坂上と不破の二人の名前が書いてある無効票だった…。どちらの候補者にも市長をやってほしいという市民全体の気持ちがこの一票に表れていると感じる選挙管理委員長を務めたデニスカイホストの社長。
久城は以前から伝えていた通り不破の秘書を辞めるが、最後にちばらぎ県知事が汚職により辞任が決定した独自の最新情報を知らせる。すぐに立候補を決断・宣言し「次は国会で会おう」と久城に伝える。
最終話
当選から1週間後、坂上より突然クビを宣告されるクニミツ。これまでの数々の失態を言われ「本日をもって解雇します。明日までに荷物をまとめて出ていってください」と言われ真っ白になるクニミツ。
しかし、それは「もっと相応しい舞台がある」とクニミツを想ってのことだった。体の一部を失ったようだと悲しむ坂上。
クニミツは佐和真澄に「本当の目的は総理大臣上等でしょ」と励まされ、旅に出ることを決意。最後に佐和に何かをお願いし、恥ずかしながらも了承される。そして全員に見送られ旅に出る。途中、伊地知を拾いながら、ここにクニミツの政が大団円で完結。
***感想・評価・考察***
2003年前後に連載されていた漫画なので現在とは少し選挙権の年齢など違うのでご注意ください。当時は横領や収賄など政治家の汚職事件がニュースを賑わす機会が多く、国民からの政治家への不信感が強い時代でした。
政治に関する漫画ですが、途中何度も泣ける良作のマンガです。日本の若者は政治への関心が低いですが、こうした本を読んで政治に興味を持ってほしいですね。