週刊ヤングジャンプで連載中の『テラフォーマーズ』感想ネタバレ第3巻まとめ
『アネックス1号』艦内に突如現れたテラフォーマーたち。その強襲を受け、メンバーたちは6手に別れ、火星に不時着することに。燈、ミッシェルら戦闘員は薬によって発動する新たな特殊能力を引っさげ、更なる進化を遂げた悪魔と対峙の時を迎える!!
目次
第9話 MANEUVER 作戦行動
第10話 OFFICER 保有兵力
第11話 TO MARS 災いの星へ
第12話 SECRET 工作
第13話 OPEN FIRE 開戦
第14話 AN OPERATION ある手術
第15話 WAR 全面戦争
第16話 ANIMA 憧れ
第17話 ONE PUNCH MAIDEN 一撃の女
第18話 EXSEPTIONAL 2 膝丸燈とミッシェル・K・デイヴス
第19話 STRINGS 糸
本編あらすじ
第9話 MANEUVER 作戦行動
侵入したテラフォーマーに対抗するため、倉庫へと薬を取りに向かったマルコスと膝丸燈。彼らがそこで見たものは、人間に目もくれず薬の入った注射器を壊し続ける新たなゴキブリの姿だった。
燈の頭のなかで、様々な言葉が去来する。いつから?どうやって?奴らは薬の意味を知っている?「何の命令で動いてるんだ・・・!!」銃でゴキブリの足止めを計った隊員は首ごと脊柱を引っこ抜かれて絶命し、更に2名が瞬く間に犠牲となった。エヴァはその光景を目の当たりにし失禁する。
艦長・小町は地球のU-NASAと通信し、すでに侵入を許したテラフォーマーの個体をサンプルとして持ち帰ることで作戦を中断し帰還することを伝えるが、U-NASAはそれを却下。サンプルが足りないからというのがその理由だ。通信画面の向こうの声はプランデルタへの移行を指示。あくまで作戦を完遂させよとの命令だ。
これまで冷静だった小町も「俺らが今居るのは何処だ!」と怒声を発する。アネックス1号はまだ火星についておらず、ゴキブリが羽ばたいて来られる場所ではない。「誰かが手引きしてんのは明らかだ!」
事態収拾のため、幹部乗組員たちが現場へと向かう。幹部は主に軍隊出身者で構成され、テラフォーマー戦に特化したプロフェッショナル。小町艦長を含めて6名、各国から選り抜きの戦闘能力を持つ彼らは一様に「マーズランキング(火星環境下におけるゴキブリ制圧能力の序列)」上位を占めている。蛭間七星に言わせるならば、すでに「兵器と言っても差し支えない」。その幹部たちが艦内のゴキブリ鎮圧に動いた。
第10話 OFFICER 保有兵力
U-NASA本部からの指令に基づき、アネックス計画はプランデルタへ移行する。プランデルタの概要は6つの高速脱出機にチームごとに乗り込み、別々の方角へ緊急脱出を行う。着陸の後アネックス1号へ集合し、設備が生きていればAEウイルスの研究を続ける。40日後には地球からの救助船が来るのでそれに乗って帰る。6班に別れてから集合するまでの判断は幹部それぞれに一任される。
つまり全体での集団行動でなく、各班での単独行動が認められることになる。どこかの国の班が何らかの秘密工作を行う場合、他のチームに知られずに行うことが容易となるだろう。買収か圧力かはわからないが、U-NASAはそのためにプランデルタを命じたに違いない。
小町が幹部へプランデルタへのスイッチを命じると、幹部は各々の持ち場でテラフォーマーを撃破。ゴキブリの死体で能力がバラバラなのがわかる。しかし幹部の能力は未知数。艦内に侵入したゴキブリは全て始末し、脱出機の安全は確保した。「脱出(で)るぞ。隊列(なら)べ!!」
第11話 TO MARS 災いの星へ
アネックス1号の乗員100人を6つの班に分ける。
日米合同第一班班長:小町小吉
日米合同第ニ班班長:ミッシェル
ロシア・北欧第三班班長:アシモフ
中国・アジア第四班班長:劉
ドイツ・南米第五班班長:アドルフ
ヨーロッパ・アフリカ第六班班長:ジョセフ
墜落するアネックス1号から6つの影がバラバラの方角へ飛び去った。ミッシェル率いる日米合同2班は無事に脱出機で着陸し、周囲にゴキブリの反応がないことを確認して地表へ降りる。辺り一面は緑の苔に覆われていた。父が死んだ火星に自らも降り立ったミッシェル。ほんの一瞬だけ感傷的な表情を見せたが、すぐに指揮官としての自分を取り戻すのだった。
一方、ヨーロッパ・アフリカ班のジョセフは思いがけない事態に直面する。空中を飛ぶ脱出機に網をかけられ、大勢のゴキブリに辺りを囲まれてしまった。その様子を高台から見守りつつ、かつてバグズ計画が遺したであろう銃を分解するテラフォーマーが一体。腰には布が巻かれている。突然変異的に知能が高い個体が現れ、網を発明したとでも言うのだろうか?
第12話 SECRET 工作
小町が率いる日米合同一班(マルコス、シーラたち)は無事に着陸できた。脱出機に積まれた「薬」が少ないことに焦りを感じる小町。補充するためにはアネックス1号へ戻らなければならないが・・・。
劉、アドルフらもそれぞれ無事に火星へ降りられたようだが、アシモフ率いるロシア班だけは様子が異なっていた。他の班よりもかなり遠くまで飛び、密集ピラミッドの目の前にまで来ていたのだ。そしてアシモフは計画通りだと言い、エレナやイワンも事前にそのことを承知していた。
「そんじゃ始めるか俺らの任務をな」アネックス計画とは別に、ロシア独自の思惑が存在しているらしい。ピラミッド群を見上げるアシモフらに、突如降ってわいたゴキブリが1体襲いかかる。ゴキブリは一撃で隊員一人の頭と、とっさにエレナをかばったアシモフの右腕を吹き飛ばす。
相手が1匹なのを確認し、アシモフは動揺を見せず冷静に捕獲を指示する。捕獲用の銃をエレナが持つと、ゴキブリは近くのアシモフとイワンを無視してエレナの方へ向かう。イワンはその反応が(前に隊長が言っていた通りだ)と驚く。「筒を持たせたらエレナが北海一だ」『対テラフォーマー発射式蟲獲り網』狙いを定め、「ターゲット、捕獲」と捕獲網のトリガーを引こうとした瞬間、エレナの首は胴体からもぎとられていた!!
第13話 OPEN FIRE 開戦
日米合同一班、シーラの背後から出現したテラフォーマー。脱出機の窓を拳で突き破ると、中へ侵入しようとしている。その視線は間近のシーラではなく、別の物へ向けられていた。マルコスは驚愕する。ゴキブリが明らかに、人間ではなく「薬」を狙っていることに。
小町艦長の操縦で一旦距離を作ることに成功し、迎撃態勢を取る。マニュアルには違反するが、相手が単独であっても全力をもって対処する。小町の命令は投薬、そして捕獲だ。だが、小町らを尻目にゴキブリは羽を広げて飛翔し、再度脱出機に取り付いた。シェードをこじ開け中へ入ろうとするゴキブリ。まさか脱出機を奪うことが目的か-?
『網は世界の各地で先史時代から使用されてきた長い歴史を持つ』待ち構えたシーラが勇気を振り絞って放った捕獲銃の網。クローン培養されたテラフォーマーのデータを元に、彼らの筋肉の3倍の力でも切れないよう開発された特別製。『網は人類の知恵の結晶であるといえる』ゴキブリはあえなく網にかかり、身動きが取れない状態になって「捕獲完了だ」
網の中からゴキブリが両手をシーラへ向ける。双方の手のひらには暗い穴が開いていた。(何だ?)危険を察知した小町がシーラを突き飛ばすよりも一瞬早く、ゴキブリの手のひらから放たれた「何か」がシーラの胸を貫いた・・・!
第14話 AN OPERATION ある手術
網の内側からゴキブリが放ったのは『超高温のガス』。過酸化水素とハイドロキノン。掌から爆発的に噴射させたのだった。小町は知っている。バグズ手術でかつてゴッド・リーが身につけた、ミイラデゴミムシの能力!?。
20年前、バグズ2号計画でクルーに行われた手術の目的は火星の環境下で強度の高い作戦を遂行するため、そしてゴキブリに対抗でき、かつ「奪われない」武器を身につけるためだった。それを盗まれ、利用された。一体どうやって・・・
同じ頃、アシモフも目の前のゴキブリの瞬間移動がメダカハネカクシのバグズ能力だと看破していた。マルコスは網の上から怒りを込めて渾身の一撃でゴキブリの頭を叩き潰す。シーラに駆け寄る小町。胸に大穴が貫通しており、どう見ても致命傷だ。小町の服をつかみ、必死に何かを訴えようとするシーラ。マルコスは彼女が何を言おうとしているのか察し、小町に聞いてやってくれと頼む。
シーラは小町に恋心を抱いていた。少しでも彼に近づくため、膝丸燈に日本語での愛の告白を教わったものの、タイミングを掴めず火星到着前にそれを伝えることができなかった。命の灯が消え入る直前、彼女はその言葉を紡ごうとしている。
だが、シーラの胸に開いた穴からは空気が漏れるかすれた音が出るばかり。最後に想いを伝えることすら叶わず、彼女は涙を流しながら小町の腕の中で逝った。
家族と死に別れ、幼なじみの二人と奇跡の再会をし、生存率36%の手術を生きて耐えた。訓練をくぐり抜け火星について、1日も経たずにシーラは死んだ。好きな男にその気持ちを伝えることもできずに。
徐々にゴキブリがその数を増しつつあった。それは小町の班だけではない。幹部たちは一様に気づいていた。これは統率のとれた組織行動であると。軍隊さながらのゴキブリに対し、全力を持って戦う準備を整えるクルーたち。例えゴキブリがバグズ手術を盗み能力を流用できたとして、人類はすでにその先のステージへ進んでいる。
アネックス1号計画でクルーに施されたのは「M・O手術(モザイク・オーガン・オペレーション)」。現在ではバグズ手術の技術は更に進化し、昆虫以外の動物を取り込むことに成功しているのだった。注射以外も含めた様々な方法で「薬」を用い、人為的に変態を果たす。「ついこの間まで砂漠だった火星の虫ケラがよ…!125万種以上の生命の炎が燃え盛る…『地球』を嘗めんなよ」
第15話 WAR 全面戦争
『モザイク・オーガン・オペレーション』M.O.手術と略されるこの技術は、テラフォーマーの持つ特殊な臓器の仕組みをベースにしている。通常の人体は免疫機能が強固に働き、肉親からの臓器提供ですら拒絶反応を起こす事も多い。例外は母体だ。妊娠中の母親は半分が他人のDNAでできている赤ん坊を腹に入れたまま共存できる。これは人体が一種の選択的免疫寛容を起こしているからだと言う。免疫が反応する異物を選び、攻撃すべきかどうか判断できるというわけだ。
火星ゴキブリはわずか500年で劇的な変貌を遂げ、1世代ごとに明らかに異質な存在へと変わっている。これもまた免疫寛容がなければありえない。かつてテラフォーマーの体から特殊な臓器、免疫寛容臓(モザイクオーガン)が発見された。その臓器を人間に移植し、さらに昆虫を追加することで昆虫人間を作り出す。それがバグズ手術の根幹だった。現在はそれを更に押し進め、昆虫以外との融合も可能となっている。モザイク・オーガン・オペレーションと呼ばれる所以だ。
ゴキブリの足の速さはおそらく誰もが知っているだろう。直接人間大のスケールに直せば、一歩目から時速320kmで走りだすに等しい瞬発力をテラフォーマーは備えている。あらゆる生物の中で最速に近いスピードを誇るゴキブリだが、それを走って捕食する生物がいる。マルコスが移植されたのは、そんな超スピードのハンターの一種『アシダカグモ』であった。
第16話 ANIMA 憧れ
火星へ向かうアネックス1号の中、恋バナに興じるマルコスと燈がいた。幼なじみのままではいられないと燈。百合子との関係がそうだった。自分の体質を引け目に感じ、最後まで好きだと言い出せずに彼女は死んだ。百合子は百合子で、自分の病気を燈に背負わせたくないと遠慮していたことだろう。
マルコスの答えは「憧れ」。普通の恋愛感情や性的なステージはもう超越している。自分が女に生まれていたらこうなりたいという尊敬の気持ち。いつだって、マルコスとアレックスの隣にはシーラがいた。
そのシーラが、目の前で死んだ。何の言葉も交わせず、あっという間に。好きな男に想いを伝えることすらできず、無念を抱えて息絶えるシーラの姿をマルコスはただ黙って見続けることしかできなかった。
「薬」を打ち、手術ベースとなったアシダカグモの能力を解放したマルコス。拳の一撃でテラフォーマーの首を根元からぶち抜き、ちぎり取り、顔面を破壊し、怒りと涙のあふれるまま次々とゴキブリを駆除していく。
アシダカグモが2、3匹いれば家に住み着くゴキブリは半年で全滅するという。非常に獰猛な性質をもつアシダカグモだが、スタミナはそれほど多くない。息が切れたところへ、オオスズメバチへ変態した小町がフォローを入れる。
火星へ来た目的はAEウイルスの調査であり、テラフォーマーのサンプルは生け捕りが望ましい。だから手当たり次第に殺して回るマルコスの行為は本来咎められるべきものだ。小町は20年前の自分の姿をマルコスに重ねていた。到着したばかりの火星で出会い頭に秋田奈々緒を殺され、怒りと悲しみに狂った自分を。小町はマルコスらに、この場のゴキブリを全て殲滅する命を下した。
一方、ミッシェル班。20匹以上のゴキブリを見ても動じるどころか、自分が片付けるから下がっていろと言うミッシェル。あくまで冷静で、余裕の態度だ。どれほどの実力があればここまでの自信が産まれるのだろうか。コートを脱いだミッシェルが戦闘態勢に入る。
第17話 ONE PUNCH MAIDEN 一撃の女
脱出機で移動するミッシェル班は幸運にも水場を発見する。40日分の飲料水は脱出機に積んであるものの、使える水が多いに越したことはない。水場の安全を確保するため、周囲に群がるテラフォーマーを排除する必要がある。ミッシェルたちは脱出機を降りた。
脱出機の近くでミッシェルを見守るアレックスは、その挙動に注目していた。彼女は膝丸燈を脱出機の護衛に向かわせ、自分一人で20匹のゴキブリを相手にするという。その細身の体でどうやってゴキブリと戦うのか?身長165cm。体重85㎏。細身の彼女が男の軍人並みのウェイトを数える理由は?
彼女は父ドナテロ・K・デイヴスから遺伝的に弾丸アリ・パラポネラの形質を受け継いでいた。自重の100倍を持ち上げる筋力としてそれは発揮されている。そして更に能力を上乗せる格好でMO手術も受けており、別の昆虫の特性も持ち合わせている。ミッシェルの自信は実力通りのものであった。同時に4体のゴキブリを瞬殺せしめ顔色一つ変えない。
筋力で頭部をねじ切るだけでなく、殴ったテラフォーマーが内部から「炸裂」するのをアレックスは見た。それがどんな生物の能力かはわからないが・・・。蛭間七星曰く、ミッシェルと同様に二種の能力を身に着けている膝丸燈も大きな戦力である。「彼らが最も大きな戦略になる。そして、我々にとっての希望となるでしょう」
第18話 EXSEPTIONAL 2 膝丸燈とミッシェル・K・デイヴス
膝丸燈とミッシェルは「普通の」MO手術を受けたクルーと異なり、遺伝レベルでバグズ手術の能力を親から受け継いだ上にMO手術で能力を上乗せしている。そのため「薬」を使わなくてもある程度の変態と能力行使が可能。「膝丸燈がいるのか…!?」蛭間七星から膝丸燈の名を聞いた本多博士は動揺する。
ミッシェルが父ドナテロから受け継いだ弾丸アリ・パラポネラの他に手術で取り入れたのは【Camponotussaundersi】。和名は広まっていない極めて珍しい蟻だ。ミッシェルは爆弾アリと呼んでいる希少種。この蟻は敵に襲われると体ごと爆発して周囲を巻き込む自爆攻撃を行う。揮発性の成分を貯めこんで爆発に利用しているとされ、ミッシェルはそれを相手の体内に送り込むことで内部から爆破させているようだ。難点は力の加減が難しいことで、生け捕りするつもりがついつい殺してしまう。捕獲には燈のほうが向いていると嘆息するミッシェルだった。
一方、脱出機付近を守る燈も薬で変態していた。頭からは2本の触角。相手のゴキブリは3匹。ローキックで1匹目の脚をへし折り、拳を胸に叩きこみ、最後には糸のような繊維でゴキブリを完全に絡めとってしまった。冷静でいて、そして強い。怒りや恐れからではなく、兵士として着実に任務をこなしている。「20年前ではベースとなる昆虫自体が希少なため行えなかった手術を遠慮なく施す事が出来ました」燈の目は次の標的に向けられていた。
膝丸燈が瞬く間に1体のテラフォーマーを糸で絡めとり地面に転がしたのを見て、アレックスはその強さを肌で感じていた。ゴロツキだらけの貧民街で生き抜くためには、相手の強さを推し量る嗅覚が求められる。それが生死に直結するのだから、「アホでも敏感になる」。そのアレックスの目から見て、「中でも幹部乗組員たちは別格。少ししか見ていないが、さすが戦闘のプロ。あの6人が今まで会った中で一番強い」。だが目の前の燈も、その幹部連中に次ぐ力を持っている。「膝丸燈が幹部の実力に最も近い」
第19話 STRINGS 糸
もともとタイの地下闘技場で人喰い熊と生身で戦い、一度押し倒されてから逆転勝利するほどの頑強な肉体と格闘術を持っている燈。さらにMO手術で身につけた「糸」の能力でテラフォーマーを手玉に取り、無傷で難なく3体を捕獲完了してしまう。一方のミッシェルもゴキブリを制圧はしたものの、肉体がバラバラになってしまい生け捕りはできなかった。単純な戦闘力では彼女のほうが上かと思われるが、能力には向き不向きがある。「3体ほど捕獲した様だな。私の部下が」
辺りを片付けて水場を確保し、ようやく人心地をつけた二人。体についたゴキブリの体液を洗い流そうと座り込んだミッシェル目掛け、水中からテラフォーマーが飛び出してきた!示し合わせたかのようなタイミングで、脱出機に飛来してきたのは脚の筋肉が異様に発達しているゴキブリが襲来!!