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【バカレイドッグス】感想ネタバレ第3巻(最終回・最終話・結末)まとめ

ヤングマガジンで連載していた『バカレイドッグス』の最終巻3巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?

母の自殺の真相を知る寅太を追って、辰二たちがたどり着いたのは暴力が横行している魔都・香港。そこで、寅太の行方を知るマフィアのボスを手術することになるが、失敗すれば、即死刑の条件付き。銃弾飛び交う極限状況で絶対不可能な手術が始まる!!

目次

第18話 シリアルキラー③
第19話 シリアルキラー④
第20話 那杭村①
第21話 那杭村②
第22話 那杭村③
第23話 那杭村④
第24話 母の秘密①
第25話 母の秘密②
第26話 母の秘密③
第27話 母の秘密④

本編あらすじ

意識不明のまま何十年も眠っている母親を救うために闇医者をしている犬童辰二と弟の犬童亥三。ある日、ヤクザの甲斐からもたらされた情報は母に関する情報だった。甲斐のシマで捕まったモグリの売人は犬童の母親に睡眠薬を売っていた人物で、すでに死んでいるが寿総合病院という手がかりを手に入れることができた。(二十年以上前の顧客のことをよく覚えていた売人に感心しました。)

寿総合病院は兄の犬童寅太が働いていた病院だが、肝心の犬童寅太は昨日から消息不明。その事件には香港マフィアからの移植手術の依頼が関係していることを突き止めた。

香港に行くとMKマフィアという存在が明らかになる。MKマフィアのボスが寅太に移植手術の依頼主だが、助手の澪を敵対する別の香港マフィアに拉致されており、寅太は手術ができない状態。寅太を脅して強制的に手術をさせればいいのに脅さないMKマフィアのボス。犬童に説得を頼む。(無理やり手術させて失敗しても困るしね。)

自分で手術しちゃうと宣言する犬童辰二。手術している場所がヤクザの抗争現場となりながらも手術を成功させた。監禁されていた助手の澪も救出。そして監禁されているはずの犬童寅太だが、実際はホテルでゴージャスな生活をしていた。(監禁して手術をする気がなくなったら確かに困るが、それにしてもゴージャスな生活をさせる理由はなんで?)

ここで犬童寅太と犬童辰二は兄弟ではあるものの異父兄弟であることが明かされる。寿総合病院の診察券があったことから母親の自殺未遂には寿総合病院の外科医として働いていた犬童寅太が関わっているのではと問い詰める犬童辰二。最後に残しているはずの遺書を持ち去ったのは寅太の父親ではないかと疑う辰二だが、当事者である寅太の父親はすでに他界している。

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助けてくれた報酬としてある鍵が渡される。銀行で大切に保管されていたのは辰二の母親のカルテだった。そこには腎臓ガンステージ三に関する記述が。

母親の入院先の医者から明かされる衝撃の事実。転院してきたときには既に腎臓の腫瘍は切除されていたが、ガンが再発し腎移植が必要な状態。それを知った息子の寅太が母親を連れ出していた。(言及されていないが自らの腎臓を渡したのか?)

二人が驚いていると、そこに寅太からの電話が入る。自殺未遂する直前に書かれた遺書は寅太の父親が処分しており、遺書の内容を実は父親から聞かされて知っていた寅太。(最初から言えよ。情報を小出しにする憎い奴ですね。) 

その遺書には子供たちの負担になりたくないから自分で命を絶ちますと書かれていた。遺書を目にした犬童兄弟が、自分たちの為に母親が命を断とうとしたと考えて自分を責めるのではないかと考えた寅太の父が遺書を処分していた。(犬童辰二と弟の犬童亥三のために遺書を隠したことになっているが、結果的に遺書を見つけるために裏社会の闇医者になっているので本末転倒な気がするが…)

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植物状態の人間を目覚めさせるには嗅覚の記憶に訴えることが効果があると聞いて様々なことを試していた犬童だが、自分の血の匂いはまだ試してなかったことに気づく。母親は夢の中で犬童を出産したときの記憶が思い出している…。ラスト1シーンで目覚めるシーンが描かれ完結。

***感想・評価・考察***

ダーク系医療漫画として、とても面白かった。天才的な腕をもつ無免許医という設定からブラックジャックと比較されるが、内容は全然違う。ありきたりな設定の中に光るオリジナルの世界観やストーリーが特長。魅力的な登場人物や絵の上手さも高評価。なんで打ち切りなのかが不思議な作品。

回収できていない伏線として犬童辰二の本当の父親の存在が謎のまま。母親が自殺未遂を決意するまでの経緯や、寅太が闇医者になった理由、寅太と助手の澪の関係、寅太の父親の存在。一番気になったのは犬童寅太の年齢と犬童辰二の年齢差が近いことに違和感が残る。犬童辰二が少年の頃にすでに病院で働いた年齢なら、最低でも20歳差くらいありそうだけど、実際は10歳差ぐらいにしか見えない。

最終回のエピソードを自分なりに解釈すると、シングルマザーの母は腎臓ガンが発覚して人生に絶望し(でも手術は受けて腫瘍は切除済み)、入院費を子供達に負担させたくないから睡眠薬を大量に投与して自殺未遂。昏睡状態中に腎臓ガンが再発するも息子の犬童寅太が自らを犠牲にして助ける。というのが設定だろうか。

作者のブログによると単行本第1巻の発売から1週間の売れ行きが悪ければ打ち切りとされるルールが存在しており、『バカレイドッグス』の場合は第1巻発売10日後の打ち合わせで打ち切りが決まったと編集部から伝えられてしまったそうです。売れていないのは面白くないことだという短絡的な発想の犠牲になってしまった作品と言える。弱肉強食の世界とは言え新人には厳しい世界だ。

つまり2巻を書いている段階で打ち切りが決定したため、残り1巻で作者が考えていたラストまで回収しなければいけなかったという事情があります。双子出産の話を読むと主人公の性格が良い奴なのか悪い奴なのか掴みどころがないが、本当は少しずつ書きたかったのではないかと思う。すべての伏線の回収が間に合わなかったものと思われる。

連載が続いていれば最終エピソードはかなり違っていたとも書かれており、急展開にはそうした裏事情もあったのかと切なくなりました。好きな漫画に関しては発売日から1週間以内に買おうと思った次第です。

最後に。看護師の雪野ですが、死なずに1年働けば900万円の借金が返せるってどんだけ待遇が良いんだよって話です。風呂に沈められるより断然いい。