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【テラフォーマーズ】感想ネタバレ第1巻まとめ

週刊ヤングジャンプで連載中の『テラフォーマーズ』感想ネタバレ第1巻まとめ。

テラフォーマーズ 1 (ヤングジャンプコミックス)

テラフォーマーズ 1 (ヤングジャンプコミックス)

 

西暦2599年──。火星のテラフォーミングが進行し、その地表は一面の苔とある生物で覆われていた。そして、選ばれし15人の若者達は重要任務の遂行を期待され、有人宇宙船『バグズ2号』に搭乗し、火星へと向かう。かの地で彼らを待つ、想定外の進化を遂げた生物の正体とは…!? 

目次

1st MISSON 既知との遭遇
2st MISSON 種の激変
3st MISSON 帝国の逆襲
4st MISSON 狩猟の血統
5st MISSON 敗れざる者たち
6st MISSON 害虫たちの墓場

本編あらすじ

1st MISSON 既知との遭遇

西暦2577年から12年後の西暦2599年。小町小吉(こまちしょうきち)と秋田奈々緒は13名の乗組員たちと共に、火星を目指す宇宙船「バグズ2号」の中にいた。彼らの主な目的は火星のゴキブリ駆除である。

東工大教授・本多博士が出身母校で行った講演によれば、そもそもの起こりは地球の人口問題だ。環境破壊やエネルギー問題の解決策として、火星を人の住める環境へ作り変え増えすぎた人間を移住させる「テラフォーミング」。そのためにはまず表面温度マイナス58度の火星を温める必要がある。太陽光を吸収し火星を温める手段として採用されたのは、「苔」と「ゴキブリ」を大量に火星へ放つというものだった。

それから数およそ500年後。火星は目論見通り一面の苔が生い茂り、大気が生まれていた。十分に火星が温まったところで、不要になったゴキブリを駆除するために派遣されたのが今回のバグズ2号。アメリカ出身の艦長デイヴス、日本から小町・秋田・蛭間、タイ出身のティン、ロシアのマリアといったメンバーがいる。

乗組員は環境の整わない火星環境下で活動するため、肉体を強化する「バグズ手術」を受けている。この手術の成功生存率は30%であり、残りの7割は死亡するという人体実験まがいの代物。

彼らをこの危険な賭けに向かわせたもの、それは金。それぞれに事情は異なるが、メンバーたちは一様に経済的な理由を抱えている。手術を受け、このミッションを完遂することが大金を手に入れる唯一の方法なのだ。そうして彼らは己の命をチップに替えた。

地球を出発して39日、火星の地表へと無事に着陸したバグズ2号。辺りへ殺虫剤を散布して下船。サンプルの回収に入る。我々が想像する赤茶けた星とは違い、一面苔に覆われ緑色をした火星の大地がクルーを出迎えるがゴキブリの死骸は見当たらない。不審に思いながら岩陰を覗いたティンが目にした光景は・・・。見たことも聞いたこともない、黒光りする肉体を持つ原人のような生物の姿だった。

一方、別の方面へ向かった小町小吉と秋田奈々緒。彼らもまた同様に謎の原人と接触していた。脳天気に会話を試みる小町。次の瞬間、原人は小町の背中に隠れていた秋田の首をへし折っていた。あまりの素早さに小町の目には映っていない。

岩陰から原人の様子を窺うティンは、彼らの姿に尾葉・触覚といった「ある生物」の特徴を発見する。それは自分たちが駆除しにきたゴキブリの形質だ。謎の原人の正体は、火星で進化したゴキブリの姿だったのだ!秋田の体を抱きかかえ、目の前のゴキブリを睨め上げる小町。今の彼を占めるのは、純然たる殺意であった。

2st MISSON 種の激変

地球ではおよそ3億年の間、ゴキブリはその姿をほとんど変えずに生き残ってきたと言われる。だが火星の過酷な環境はそのゴキブリでさえも進化せしめた。それも異常な方向へ…。

バグズ2号計画の最高責任者、アレクサンドル・グスタフ・ニュートンは火星ゴキブリの知らせを受けてなお不敵に笑っていた。「本当に”活動するため”だけの理由で成功率30%のバグズ手術をしたと思っているのかね?」

およそ20年前、バグズ1号が火星へ調査に来たが原因不明のまま全滅を遂げている。ゴキブリの襲撃を受けたことは間違いない。宇宙飛行士の肉体と、宇宙船で持ち込める銃火器では太刀打ちできなかったのだ。ならば、ゴキブリとの戦闘行為に耐えられるよう肉体を強化した超人を送り込み、やつらと戦わせればいい。これがバグズ手術の公にされていない目的であった。

幼馴染の秋田奈々緒を目の前で殺された小町小吉。無表情で見下ろすゴキブリに対峙し、注射器を取り出すと自らの首へ打ち込もうとする。それを制したのは、いつの間にか近くへ来ていたティンとマリア。撤退命令が出ており、ゴキブリがそれ以上襲ってくる様子のないことから一旦退くよう小町を諭す。小町も悔しさに体を震わせながら、それを受け入れた。秋田の死、あまりに予想外の進化を遂げたゴキブリの出現。マリアは地球への帰還を提案するが、艦長は首を縦に振らない。

任務の1割も遂行していないのに帰れるわけがないと、艦長の代弁をしたのはゴッド・リー。イスラエルの武装勢力で幼い頃から戦い続けてきた戦闘のプロフェッショナル。彼にとって、命とは軽いものだ。門を曲がった拍子に仲間が首を折られて死ぬ。安い命をテーブルに乗せ、殺したり殺されたりする。それが彼の生きてきた日常。

リーはピクニック気分で火星まで来た他のクルーを疎ましく思っているのか、自分一人でゴキブリの巣を突き止めて戻ってくると言い出す。彼の戦闘経験と手術で与えられた「特技」を信用して艦長もそれを許す。バグズ計画の当初、ヒトと融合させるのはショウジョウバエが予定されていた。しかしショウジョウバエでは人体の強度が上がらなかったため、バグズ2号のクルーにはそれぞれ異なる昆虫が組み込まれている。そして狩りや防御のためにそれぞれが持つ「特技」、すなわちベースとなっている昆虫の能力を発揮することが可能なのだ。

リーの手術ベースは「ミイデラゴミムシ」。体内で過酸化水素とハイドロキノンという2つの物質を合成し、超高温となったベンゾキノンを爆発的に放出する特性を持つ。注射によって変貌したリーは手のひらに放出口を持ち、波動拳のような構えからゴキブリへ向けて爆炎を放った。しかし、数刻の後、バグズ2号へ帰ってきたのは上顎からもぎ取られたリーの頭部と、それを片手で握ったゴキブリであった…。

背後から窓を破って船に侵入したゴキブリに対し、マリアはとっさに注射を打って防御体制。彼女のベースはニジイロクワガタ。硬い甲皮をまといゴキブリの攻撃を受け流す…はずだったのだが、ゴキブリは単純な腕力のみで甲皮の上からマリアの上半身を横一文字に切断。崩折れるマリアの遺体。

デイヴス艦長は自らも注射を打つと、他のクルーに下がっているよう指示。ゴキブリと1対1で向かい合う。一方、バグズ2号の周辺にはおびただしい数のゴキブリの群れが集結しつつあった。クルーが殺され船が襲われているというのに、U-NASAのニュートンは笑みを崩さない。ゴッド・リーの体に内蔵していたカメラから「母なる"ラハブ"の解答」を知ることができたと満悦だ。映像は乱れていてよく見えない。


3st MISSON 帝国の逆襲

人間がゴキブリを異常に嫌うのはなぜか。バグズ計画の責任者、アレクサンドル・ニュートンが言うには「同族嫌悪」である。そこに理屈はなく、生理的な嫌悪感から人間はゴキブリを殺す。そしてそれは向こうも同じではないか-。

ニジイロクワガタの甲皮をまとったマリアを一撃で両断したゴキブリの異常なまでの腕力。その拳で顔面を直撃された艦長・デイヴスだったが、クルーの予想に反しピンピンしていた。彼の手術ベースは、自重に対し100倍以上の質量を持ち上げる『蟻』。その中でも最強と呼ばれるパラポネラ種は、噛まれた時の痛みの壮絶さから弾丸アリ(バレットアント)ともあだ名され、グンタイアリの群れでさえ避けて通ると言う。

デイヴスは片手で軽々とゴキブリを持ち上げ、パワーボムで床が割れるほど叩きつける。首がへし折れ断末魔のギィギィという鳴き声を上げてもがき苦しむゴキブリ。人類が始めてゴキブリを倒した記念すべき場面だが、それを喜ぶ余裕はない。100匹以上の仲間が船の周りに集結していたからだ。

デイヴス以下クルーたちはこの状況を打破する算段を立て始める。倒したゴキブリの腹を裂いて糞を取り出し、集合フェロモンを拡散することで仲間を一箇所に集める。引きつけた所でシャッターを閉じ、酸素を切って火をつければ一網打尽にできるという計画。

問題は誰が残ってこのプランを実行するか。デイヴスは艦長としてクルーを守る責任があるが、作戦には最低もう一人いる。しかし残ればゴキブリの相手と火災で自分も死ぬ危険性が極めて高い。

手を上げたのは蛭間一郎だった。彼曰く、自分が一番命の価値がない。そして任務の契約金はすでに彼の実家へ届けてあるという。クルー同士は互いの事情を知らないが、艦長は全クルーの事情と能力を把握している。デイヴスは蛭間一郎に同行を命じ、残ったクルーを探索ビークルで脱出させる。

普通に車庫のハッチを開けて車を走らせたのではゴキブリに取り付かれる恐れが大きいため、テジャス・ヴィジは自分の能力を使って「飛ぶ」からしっかりつかまるように指示を出す。彼の能力はメダカハネカクシという虫が持つ、ガス噴射による高速移動。自長の150倍の距離を1秒で移動することができ、人間サイズに換算すると時速945kmに相当するという。

テジャスのガス噴出口はなんと口である。ヒョットコのように変形した口吻から超高圧のガスを吹き出して後ろへ飛ぶ。船を一瞬で離れてゴキブリの追撃を振り切った。「すげぇぞテジャス!」そう言って肩をつかんだ小町が見たのは、首から上がもぎ取られたテジャスの体。驚き戸惑う一行。その時地平線から太陽が上り、視界に古びた宇宙船が入る。かつて火星で全滅したバグズ1号の残骸だった。

副艦長のミンミンは船の残骸を調査することを決め、全員で船へと近づく。電源は生きており、中は思ったよりも整然とした状態で残っていた。モニターには「TRANSMITTED」の文字が大きく表示されている。昔、1号の乗員が何かを地球へ向けて飛ばした記録のようだ。何を飛ばしたのかまではわからない。

その時、船の外から銃声が2発。慌てて飛び出すとジョーンとルドンが頭に銃弾を受けて死亡している。バグズ1号の船体の下から、銃をもったゴキブリの群れが這い出してきた。ティンと小町は変身してゴキブリたちを迎え撃つ。

ニュートンは今更のようにクルーのリストに違和感を覚えていた。バグズ手術は彼の計画のもと、火星での戦闘を想定し強靭な種を厳選して行われていたはずだった。だがリストの中には「蚊」が入っている。なぜだ?そしてなぜ今までそれに気が付かなかったのか。

本多博士が何者かと通信している。バグズ2号がピンチに追い込まれ、火をつけるところまでは計画通りだと。そしてデイヴスの死は好都合だが、残った東洋人たちは獰猛な昆虫を移植されているので気をつけろと言う。通信機の向こうの相手は、崖からバグズ2号を見下ろすゴキブリだった!