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【ヒル】感想ネタバレ第5巻(最終回・最終話・結末)まとめ

2011年から2015年まで月刊コミック@バンチで連載していた『ヒル』最終巻5巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?

ヒル 5巻(完) (バンチコミックス)

ヒル 5巻(完) (バンチコミックス)

  • 作者:今井 大輔
  • 発売日: 2014/04/11
  • メディア: Kindle版
 

因縁の「赤い髪のヒル」と思しき男を突き止めたマコトだが、返り討ちに合い、放たれたボウガンの矢に倒れてしまう。一方、マコトとの待ち合わせ場所に現れたハコは、マコトに代わって待ち伏せしていた仮面の男に襲われてしまう。男達の背後には誰がいて、何を狙っているのか――? 新時代のドロップアウトストーリー堂々の完結巻!!

目次

第24話 訃報
第25話 錯綜
第26話 意思
第27話 連帯
第28話 許容
第29話 晩夏

4巻までのあらすじ

佐倉葉子(通称ハコ)は家出をして東京の彼氏に会いに行くが、移動中の夜行バスから置き去りにされるも、夜行バスは事故に遭い自分自身も死んだことにされる。身分もなくなり世間的には死んだことになっている佐倉葉子は家主が不在の家を渡り歩いて他人の物で生活する。蛭が血を吸うみたいに気付かれずに他人の生活に寄生する存在からヒルと呼ばれる。

ヒルでの生活をしていたら中学時代の同級生、月沼マコト(通称カラ)に出会う。マコトもヒルとして生活している。マコトは「ヒル狩り」で都市伝説になっているほどの人物であることが部下のテトリスから明かされ、そんなマコトに憧れているテトリス。

マコトにはテトリス以外にもパクチーやロボといった仲間がいる。中学時代に片思いをしていた佐倉葉子にあったことで冷酷なマコトは少しずつ性格が変化していくが、そんなマコトを仲間たちは良くは思っておらず、テトリスは佐倉葉子を尾行し佐倉葉子の実家を襲撃し父親に重傷を負わせる。そしてヒルを調査する若手警察官・佐藤ユキチが偶然にも葉子と近づき事件に巻き込まれていく。

五年前、マコトがイジメを苦にして自殺しようとしたところにミシンを名乗る女性と出会い、以後は母親代わりとなるミシンとナナシと一緒にヒルになる。マコトにとって生きる目的であるミシンとの生活だったが、ミシンは何者かにレイプされた後に殺される。ミシンの殺害現場に残されていた「赤い髪のヒル」を殺すことがマコトの新しい生きる目的になる。

その後、ナナシは病気にかかり入院。マコトはナナシから紹介された兵役で特殊部隊に所属していたパクチーから戦闘技術を身に着ける。そしてヒル狩りをしているときに引きこもりだったロボやテトリスに出会うことになる。

ロボはパクチーにカラの殺害を依頼するが、パクチーはナナシに依頼されロボを殺そうとする。ロボを守ろうとするカラだがパクチーによって失神させられ、目を覚ますとロボが死んでいた。手元には赤い髪のヒルの居場所について書かれたメモが残されていた。赤い髪のヒル(テツ)を強襲するカラだが、襲われることを知っており隠れていたテツの仲間によってボーガンで肩と腹を撃たれ逆に捕まってしまう。

同じ頃、カラとの待ち合わせ場所に向かう佐倉葉子には覆面を被った刺客が現れ、佐倉葉子を捕まえようとする。逃げるが捕まってしまう佐倉葉子。その頃、ナナシが入院している病院にテトリスが現れ、ナナシを殺すのだった!

本編あらすじ

テトリスに依頼されたテツ・ミノル・ビリーの三人組が二手に分かれてマコトと佐倉葉子を襲う。佐倉葉子は逃げる途中で失神してしまったが、意識を取り戻すと油断しているビリーの隙をついてボーガンを奪いアジトまで案内させる。アジトに行くが誰もおらず、佐倉葉子は一旦逃げる。

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たまたまテツとミノルの会話が聞こえた警察官の佐藤が二人を職務質問する。アジトまで逃げるテツとミノルだが、追ってきた佐藤によって拉致していたカラを救出することに成功する。

ビリーは仲間と合流すると考える佐倉葉子は逃げたと思わせてビリーを尾行する。しかし逆に尾行を気づかれてしまい待ち伏せをされる。待ち伏せされていることに気づいた佐倉葉子の目の前にパクチーが現れ、ある場所に案内されたところにはテトリスに刺されて重傷を負っているナナシがいた。

ナナシは死ぬ前にカラのネジを狂わせた佐倉葉子に会いたかった。ナナシは十万人に一人の病に冒されており「不治の病って訳ではない。でもヒルにとっちゃ致命的だ」と語る。そしてカラが長年追っている赤い髪のヒルは自分だと真実を告白する。そのことにカラも気付いているとも。マザー(ミシン)から愛されるカラが気に食わなかったのが殺害の動機。最後に「(カラを)お前にやるよ」と言い残し死ぬ。

テツがいる部屋に佐倉葉子が乗り込む。そしてテトリスとカラ&佐藤も到着。佐倉葉子とカラのコンビでテトリスを倒す。テツは佐藤が取り押さえる。最後まで抵抗するテトリスは追い込まれベランダから飛び降りて自殺しようとするが、カラにギリギリのところで掴まれ救われる。

その後、テトリスは連続殺人犯として逮捕される。佐倉葉子は海の側の小さな民宿で住み込みのバイトを始めた。夏が終われば一度実家に帰ろうと決めている佐倉葉子。

雨宿りしているところにカラが現れ近況報告しながら「ヒルは卒業しようよ」「私や月沼はまだ社会にも出てないし何かに絶望するには早過ぎる」と話す。諦めていた普通の日常を取り戻そうと考えている佐倉葉子だが、カラは自分だけ何事もなかったように人生をやり直すことに抵抗をもっている。

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一週間後、地元に戻る高速バス停で待っていると伝え「ちゃんとおいでね」と最後にカラにキスをする。満月の夜、バス停で待っている佐倉葉子。時間になってもカラは現れず諦めてバスに乗り込もうと瞬間、振り返った先には…。 

***感想・評価・考察***

ヒル 1巻 (バンチコミックス)

ヒル 1巻 (バンチコミックス)

  • 作者:今井大輔
  • 発売日: 2012/09/01
  • メディア: Kindle版
 

ヒルの登場人物それぞれが孤独・嫉妬といった感情を抱えながら生きている。現代社会で誰しもが抱えている「言いたいことが言えない」「自分の気持ちに素直になれない」という心の葛藤が表現されており、言葉にできず素直に生きられない登場人物に共感するのが本作の特徴。生きる意味や価値について考えさせらるような場面や名言もある。

気になるのは全体的にわかりづらい。二回読んでようやく全体の設定を理解できた。またご都合主義的な部分が多いので、そうした部分が気になる人やストーリー重視派にはおススメできない。

第1巻で月沼マコトが「佐倉さんも死んだの?」「オレ自殺したの中3のときだから」というセリフがあり、勘違いさせる要因が多くあったため最初は佐倉葉子が幽霊的な存在だと勘違いしていました。

比喩表現であった「おいしい血の吸い方教えてあげる」というセリフも1巻時点ではヒルは吸血鬼か何かなのか?という疑問を持ちながら読んでいきました。

事故で死んだけど死ぬ直前のことは覚えておらず意識だけは幽体で生きており誰にも知られず生きていくという設定だと思っていましたが本当はしっかり生きており空き巣を繰り返すというストーリーでした。『天然のヒル』の定義は結局何だったんだろうか?

ヒロイン佐倉葉子ですが、性格は謎で最後まで共感しづらかった。よくいえば純真でお人よしで無垢な部分があるが、空き巣という犯罪には無頓着(悪いと思っていない)と言うか大胆不敵というか…しかもストーカーレベルの尾行をする等その点の矛盾が気になった。腕に文字書かれても起きないとか熟睡にも限界があるだろ…。

全体的な設定としてヒルの存在がバレていないというのも少し無理がある。流石にそんなに何人も空き巣を繰り返していたらバレるだろ…隠れ方も雑だし、冷蔵庫の飲み物の飲んでいるし、シャワー浴びているし、タオルや化粧水も使っているし…。ヒルが本当にいると思わせたいなら証拠隠滅は徹底的にやったほうがいい気がする。

第2巻では中国人ウェイと、ウェイの双子の弟リンが登場しますが、リンが空き巣をした部屋に葉子がいて、リンが逃げた直後にストーカーのウェイがその部屋に登場するとかご都合主義すぎて混乱しました。また月沼マコトが組織に乗り込んだ時も、なぜか葉子も組織内部に侵入できており、瞬間移動していた。

最終話まで読んだが結局ロボは誰に殺されたのか(パクチーなのか自殺なのか正確な部分がわからない)、パクチーは最後どうなったのかは何も語られていない。

設定が斬新で第1巻の序盤は文句なしに面白いが2~4巻までは戦闘シーンが多くなってしまっているのは残念な点。今ならマンガ王国などで無料で第1話から数話程度が読めるらしい。そして続編ではないが新作として『ヒルツー』が無料ウェブ漫画サイト『くらげバンチ』で連載中なので、そちらもチェックしてほしい。