【キングダム】感想ネタバレ第17巻まとめ
王騎が死んでから一年が過ぎ、飛信隊は昨年の趙軍戦の功績により 三百将となり、特殊部隊の肩書きそのままに各地の戦場で活躍していた。そんな中、趙の宰相が王都・咸陽へ来ることに。その宰相の名は先の大戦で名を馳せた李牧だった。
目次
第174話 三百人将
第175話 李牧、咸陽へ
第176話 提案
第177話 交渉
第178話 祝宴
第179話 五年
第180話 前哨戦
第181話 蟻
第182話 出し抜く
第183話 第三勢力
第184話 太后
本編あらすじ
始皇4年、王騎の死から1年が過ぎた。信は、飛信隊の隊長として300人を率い順調に武功を挙げていたが、王騎の死後、国をあげての大戦は行われておらず、熱意を持て余していた。
そんな折、信と羌瘣に突然咸陽から呼び出しがかかる。呼び出しをかけたのは、軍総司令の昌平君であった。何と、咸陽に李牧が来るという。王騎を葬った李牧が秦に足を踏み入れるなど、自殺行為にも等しい程の状況のはずだったが、実は、李牧を呼び寄せたのは呂不韋だった。呂不韋は、王騎を討った李牧という男をその目で見定めたいがために、趙国へ大胆な脅迫をする。
趙国王には、臣下の1人に「春平君(しゅんぺいくん)」という美男子がいた。春平君は、趙王に一身に寵愛を受けている存在であり、大切にされていた。呂不韋はかつて趙と韓の間で商人をしていた頃、この春平君に金を工面してやったことがあり、顔なじみの関係であった。
呂不韋は春平君に書簡を送り、秦国に来させたところを拉致する。そして趙王には「春平君を返してほしくば宰相(李牧)自ら迎えに来させるように」と脅迫したのである。春平君かわいさの余り、趙王は呂不韋の言う通りに李牧を遣わせ、李牧は秦国へ来ることとなった。
呂不韋の真意は不明であるが、昌平君に「合図」があった時は李牧を殺すように言われた信は、怒り心頭。そんな卑怯なやり方で李牧を殺せば王騎将軍に合わせる顔がないと激怒する信だったが、李牧暗殺のために呼ばれたのは信と羌瘣だけではなく、蒙武や騰、朱凶ら暗殺集団までもが召集されており、それぞれがそれぞれの思いを秘め、城内は異様な空気に包まれていた。
そして呂不韋と李牧が対面。お互いにしばらく探り合いの会話を続けるが、李牧の価値をその目で見定めた呂不韋は、「やはり李牧殿にはここで死んでもらう」と言い放つ。李牧の交渉力を試す呂不韋は、李牧の命に代わる何かを提示してくることを待っていると、李牧が持ちかけてきたのは、「秦と趙の同盟」だった。
〈楚・秦・趙・魏・燕・斉・韓の中華七国は、絶妙な均衡を保ちながら200年の間争いを続けている。秦が中華を目指す時、まず位置的に道を塞ぐ国が「韓」である。「韓」を潰さないことには秦の中華進出は実現しない。しかし現状では、秦が「韓」を攻撃しようとすると、「韓」が抜かれると後々困る「趙」と「魏」が援軍を送るため、実質「韓」は"絶対に亡びない国"となっている。〉
この現状を踏まえた上で、李牧は同盟のメリットと条件を提示する。秦が中華を目指す時は、まず始めに「魏」に攻め込み、韓を援ける力が無くなるまで徹底的に魏を叩くことが先決であり、秦が「魏」を攻略した後、続いて「韓」に攻め込む際、「趙」は「韓」を助けないことを約束するという。その代わりに、「趙」が隣国・「燕」へ攻め入った時は、「趙」へ手出ししないように約束して欲しい、と。
秦にとっては悪い話ではない提案であったにもかかわらず、呂不韋はその場でその申し出を断る。同盟は魅力的だが李牧の首の価値の方が僅かに上回ると判断した呂不韋。さらに呂不韋は「城をひとつ"おまけ"してくれれば交渉の余地はある」とふっかける。
呂不韋が希望した城は、趙が大財をかけて強化をはかっている最中の城・韓皋(かんこう)だった。さすがの李牧も呂不韋の"ふっかけ"を値切ることができず、その場で秦趙同盟が成立することとなった。同盟成立後の祝宴は、華やかな雰囲気とは裏腹に、武将同士の間では一触即発のムード。信も偶然李牧と顔を合わせることになり、李牧に「お前を倒すのは自分だ」と宣言するのだった。
宴の後、政と再会した信。呂不韋と李牧の会談の際、己の本質を悟らせないよう存在感を無くし、あえて愚者を演じていたという政。22歳で迎える"加冠の儀(元服)"までのあと5年で呂不韋から実権を奪い取る、と信に誓う政は、その5年で信が将軍になれれば、「最初の号令で出陣する将軍はお前だ」と宣言。信の闘志に更なる火がともる。
そして後日、秦趙同盟がもたらす影響が早くも出る。秦は「趙」への警戒が無用になったため、「魏」へ本格的に攻略に入る大計画が立ち上がった。きたる大戦の噂を聞きつけ、信らが属する前線にいる各隊の動きは活発化。
そんな折、久しぶりに中規模の戦が勃発する。大将首を狙う飛信隊は本陣に突入するが、信らが足を踏み入れた時、その本陣はすでに壊滅状態にあった。驚く信らの前に、騎馬隊が現れる。「玉鳳隊(ぎょくほうたい)」と名乗るその隊が本陣を壊滅させたようだった。
信と同じ"特殊三百人隊"だが兵たちは騎馬し、甲冑などの装備品も豪華絢爛。いかにも貴士族の名家の出といういでたちの玉鳳隊に、農民歩兵の集まりである飛信隊は侮られる。気おくれする隊員たちをよそに、隊を侮辱された信は激昂し、詫びろとけしかける。
しかし玉鳳隊隊長の槍が信を阻止し、信は逆突きをくらってしまう。玉鳳隊の隊長は、「王賁(おうほん)」という歳若き将だった。「王」一族の名を継ぐ王賁は、分家の王騎と違って総本家の血筋だという。下僕の出でありながら将軍を目指す信に対し、力の差と身分の差を知れと言い放ち、この前線の手柄はあきらめろと言いながら去っていった。
玉鳳隊に下に見られた飛信隊は、各々が悔しさを抱え、その夜作戦会議を行う。黙って玉鳳隊に武功を取られる訳にはいかない飛信隊は、それから何度も泥臭く玉鳳隊を出し抜き、競い合うかのように武功を挙げまくるのだった。
その頃、大きな戦場を探して南下してきた別の三百人隊が、前線で目立つ二隊の噂を耳にしていた。蒙驁将軍の孫にして、蒙武将軍の長男・蒙恬(もうてん)が率いる「楽華隊(がくかたい)」である。前回の戦で千人将に昇格した蒙恬だったが、祖父・蒙驁の言いつけにより、あと一年は三百人隊で経験を積むように言われていた。
信 17歳、
王賁 18歳、
蒙恬 18歳。
秦の次時代大将軍を目指す若者たちは着実に芽を出し、更なる成長をとげるべく、
戦場で躍動していた。
一方、その頃の咸陽。政のもとに突然、後宮にいる政の母・秦の太后から白紙の書簡が届き、王宮内はざわめいていた。政は書簡の真意を確かめるため、母・太后に会いに行くーーー。