2013年10月に発売された週刊ヤングジャンプで連載中『キングダム』31巻の感想ネタバレまとめ
麃公将軍の最後の命令を守るため飛信隊と麃公軍の残党は咸陽へ向っていた。しかし李牧軍の度重なる追撃をかわし、すでに疲労でボロボロの状態だった。そしてなんとか南道最後の城・蕞へ到着するがそこには政の姿が・・・。
目次
第328話 空いた玉座
第329話 肩を借りる
第330話 政、語りかける
第331話 蕞、準備する
第332話 蕞に告ぐ
第333話 東壁
第334話 奮戦する蕞
第335話 最初の夜
第336話 傅抵、躍動す
第337話 三大天となる男
第338話 葛藤する二人
本編あらすじ
大王である政が自ら出陣したことを知り、ざわめく王宮。水面下で政の暗殺を企んでいた呂不韋はことさら苛立ち、出陣前の政が昌平君と会っていたという話を聞きつけ、昌平君に詰め寄る。
よもや助言などしてはいないかと疑る呂不韋に対し、昌平君は「今は秦軍総司令として以外のことは取るに足らぬ小事」だと発言。呂氏四柱でもある昌平君からのきっぱりとした言葉に、呂不韋は静かに怒りをたぎらせる。そして政のいない玉座に呂不韋が腰掛けようとしたその時、王弟・成蟜が現れる。
一方、南道から咸陽へ向かう信たちは、気力も体力も失い、精根尽きかけながらも何とか前進を続けていた。兵たちは、言葉を交わすことすらできないほどの疲労で希望を見出せない精神状態の中、咸陽までの道のりで最後の城である蕞(サイ)にたどり着く。
食糧の補給のため、何気なく立ち寄った蕞(サイ)には、大王・政が信たちを待っていた。共に戦いに来たと言う政に、信は状況が掴めないながらも、希望の光を見出し涙する。政の肩を借り、初めて弱音を吐く信。しかし、政の存在により絶望の淵から蘇り、すっかり士気を取り戻すのだった。
一息ついた後、政たちは蕞(サイ)の住民の状況を調べ始める。3万の住民のうち、2万は女・子供・老人であり、兵力は1000人ほどしか残っていなかった。信たち麃公軍残兵はおよそ2000人、政が連れて来た兵も2000人弱。つまり戦力は5000人ほど。
もはやある中で戦うしかない秦軍は、3万の住民に戦意を持たせて兵士と化させ、3万から4万を率いて向かってくる李牧軍と戦わせるつもりであった。住民の士気を鼓舞するため、政は住民全ての前で声をあげて語りかける。
よく通る声で、力はこもっているが威圧的でなく、住民一人一人にしっかりと語りかける口調で状況を説明する政。秦の歴史を途絶えさせぬために、子や次の世代の子を列国の奴隷にさせぬために、秦の命運をかけて共に戦う、と宣言する政の姿に、サイの住民は沸き立ち、老若男女全てが立ち上がった。
住民の士気は最高潮であり、政の檄により信らの士気もよみがえる。さらに、咸陽から昌平君の側近・介億(かいおく)ら100名の指揮官級軍師兵が到着。昌平君のはからいであった。
貂の軍師学校での講師をつとめていた介億の存在はこの上なく心強く、また、軍師学校で共に学んだ兄弟子・蒙毅も共に来ており、感謝で涙する貂。介億らの存在により、城壁の兵の配置が完成。装備を整え、李牧軍の到着を待つ。ほどなくして、ついに李牧軍が到着。
サイの城に向かって、「降伏すればただの一人も殺させない」と交渉してくる李牧に対し、政の檄により高まった住民の士気は下がることなく、李牧軍を迎え討つ受け入れ態勢が出来上がった。そしてついに、サイの攻防戦が開戦する。
指揮官の配置は、
正面・南壁には政・貂・蒙毅、
東壁には壁、
北壁には介億、
西壁には昌文君。
正面に配置された飛信隊の活躍と、東壁に配置された麃公軍の活躍により、初日の戦いを乗り越えることができた。しかし、その日の夜。李牧は秦軍の警戒心を逆手にとり、夜通しでほぼ形だけの夜襲をかけ続ける。
翌朝日の出が近づき、夜襲をかけていた李牧軍が、想定していた数の半分ほどしかいなかったことに気づいた貂。急いで兵を休ませようとするが、時すでに遅く、秦軍は体力を消耗しきっていた。それでも、サイの住民や秦軍は2日目も善戦する。
昼ごろ、李牧軍が動き出す。正面の南壁を護る飛信隊のもとに、三千人将・傅抵(ふてい)の隊、そしてカイネの隊が出陣。傅抵はいきなり百人将・竜川や田有を狙い、飛信隊を掻き回すが、そこに信が現れ、傅抵と一騎討ち状態の打ち合いに。
傅抵のスピードは異常に速く、信の剣がかすりもしないほどだった。傅抵に苦戦しながらも、信は羌瘣との打ち合い稽古で教えられた「速さで戦う達人が仕掛ける誘いに乗るな」という助言を思い出し、自らがタイミングをずらして誘い込み、見事傅抵を撃破する。
その頃、竜川・田有が戦線離脱した飛信隊の指揮系統を立て直すため、貂が中まで入ってきていた。カイネは貂を攻撃するが、殺すことができず、捕虜にすると言ってさらう。
しかしすぐさま貂を助けに現れた信により、カイネは押し負けて吹き飛ばされ、城壁の下へ落下しかけるが、貂はカイネの手を掴み、カイネは城壁にぶら下がった。互いが互いを殺せずに、2人は葛藤する。カイネは貂に対し「サイはいずれ落ち、そこにいても死ぬだけだからこっちへ来い」と誘うが貂は拒否。
カイネと貂は手を離し、城壁の下へ駆けつけた兵士に受け止められ、カイネは生き延びる。そこへ傅抵が現れ、カイネを落とされた怒りで信へ向かってくるが、起き上がった竜川に吹き飛ばされ傅抵も落下。
兵士の上に落ち、傅抵も生き延びる。そして、2日目に至っても士気が一向に下がらない秦軍に対し、李牧は小さく眉をひそめていた‥‥。