チャンピオンREDで連載していた『死人の声をきくがよい』の最終巻12巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?
暗躍する殺人鬼「ゴースト・ライジング」、人の望みは様々「賀露川十三郎の夢」、美しさ故に儚い「花咲けるアイドル」、永遠の式野会長「オカルト研究会最後の夏」、そしてクライマックス長編「青葉町黙示録」を収録!!世界が、みんなが死んだ後、それでも生き残れるとしたら、あなたはどうしますか?
本編あらすじ
岸田純は父親の強い勧めにより超常現象対策局(通称CTK)の講習を受けることになった。候補生の岸田たちは試験に合格すれば契約エージェントとして認められる。イケメン超能力者タキと幼馴染タケオはかなり前向きに受けているが、岸田は少し迷っていた。
そんな中、巫女姿の霊能力者・八代が現れる。彼女の口からゴーストを教主とした教団が東南アジアで急速に拡大していることが告げられる。ゴーストは自身が信じる神の影響下に世界を作り直すのを目的に動いている。やがて地獄の門が開き死者が蘇り、魑魅魍魎が跋扈する世界になる可能性がある。遠からずゴーストは世界を闇で覆いつくし、新世界の女王になる存在であると語る。
一緒に住んでいたグーラも住みづらくなったと言い残し去ってしまい、賀露川先生も別次元に旅立ってしまった。賀露川先生からは「死人の姿を見るだけではなく、その声を聞くがよい」と最後にアドバイスされる。
教主ゴーストの導きによって、邪悪な神である海神が目覚め始める。岸田の周りでは死の蛇と呼ばれる実体の無い霊的生物が大量に見えてくる。死の蛇は人が臨終時に発するエネルギーを求め集まってくるため、これが現れると対象者は近日中に高い確率で死亡する。つまり日本中を巻き込んだ不吉な何かが起きる前兆だった!
そしてついに海神が目覚める。有毒性のガスが沿岸全域に発生し、一般市民にも多大な犠牲が出る。毒霧はゆっくりと移動し被害は拡大。現地に向かった化学防護隊は消息不明であり、複数の霊能力者が毒霧から霊的なものを感じ取っていた。
世の中が大変なことになっている最中、自宅で休養している岸田は決心した。生前は普通の女子だった早川さんが強力な守護霊になるのは変だと思っており、岸田は自身の霊力が早川さんの霊体を補完していると予想。つまり早川さんの何割かは岸田自身が作り出したものだった。自分の身に何か起こる前にちゃんと決断しなければいけないと決心する。早川さんの霊に告白ともとれる言葉を伝えようとするが…
それが初めて聞いた死者の声だった。早川さんが最後に何を囁いたのか…それは僕だけの秘密だ。
早川さんの霊は何かを岸田に伝えて、ついに早川さんの霊が消える…。
その頃、超常現象対策局は超能力者を使い毒霧内部の遠隔霊視を始めると、毒霧の中に巨大な何かと少女の姿をぼんやりと捉える。近づいてその存在を確かめようとしたが、その姿を見た霊能力者は六名が死亡、二名が発狂してしまった。
急遽呼び出された候補生の岸田・タキ・タケオの三人は非常時につき特命霊能力者として協力することに。作戦は依代の少女に念で呼びかけ海神を海底に戻すよう説得すること。
僕にはつまらない能力がある。それが本当につまらないものかどうかは…僕次第だ。
タキと一緒に毒霧の中に向かう後ろ姿で完結。
***感想・評価・考察***
巻末にて当初は三回で終了する約束でスタートしたことが明かされている。その後も一巻で終了するはずが、打ち切りにもならず7年以上も続き12巻まで発売されるに至った作品。幽霊・妖怪・超常現象・悪魔・都市伝説・未確認生物など様々な題材が取り上げられており、画で恐怖を煽るのではなくストーリーで読ませる妙に読みたくなる作品でした。
グロ・リョナ・猟奇的描写はあるものの適度にコミカルさも入っており、会長の存在や美少女の早川さんのキャラが良い感じに中和してくれるため、グロ系が苦手な女性でも読めるホラー漫画として評価できる。
ホラー漫画(小説)の宿命とも言えるが、最後に謎を残したまま終了したのが個人的にマイナスポイントで、海神はどうやって解決したのか。ゴーストはどうなったのか。早川さんが最後に伝えた言葉はなんだったのか。幼馴染タケオの正体とはなんだったのか。等の謎が残されたまま完結してしまった。
作者のひよどり祥子さんは『うぐいす祥子』名義で『フロイトシュテインの双子』など他にもホラー漫画を描いているので興味がある人はぜひ読んでほしいです。