漫画百科事典

漫画好きによる漫画好きの為の漫画情報サイトです。

【スズキさんはただ静かに暮らしたい】感想ネタバレ第3巻(最終回・最終話・結末)まとめ

月刊コミックゼノンで連載していた『スズキさんはただ静かに暮らしたい』の最終巻3巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?

親の仇である楠に拳銃の扱い方を習う仁輔と、仁輔のために最後の依頼を引き受けるスズキさん。お互いの気持ちは掛け違えられたまま加速し、一発の銃声が再び少年の世界を一転させる。

本編あらすじ

鈴木さんは警察の新山から、楠警視の暗殺を受ける。一方で、鈴木さんには内緒で楠から銃の指導を受ける仁輔。空室であるはずの隣の部屋の電気メーターが動いていることに気づいた鈴木さんは、遠くから隣室を監視するとそこには楠と話している仁輔の姿が…。

どういうことなのかわからない鈴木さんは、仁輔にも理由を聞けずにいる。自分の知らないところで何かが起きていることを感じ取った鈴木さんは早急に新山からの殺害依頼をこなすために、その日の夜に楠のいる部屋に忍び込んだが、楠は不在。

なぜか仁輔も忍び込んでおり、仁輔は楠と間違えて鈴木さんを誤射。鈴木さんが倒れているところに新山も登場。外出していた楠も遅れて登場。新山は楠を殴り倒すが、一瞬のスキを突かれ、両目を箸で突かれる。

仁輔が鮮烈な殺し屋デビューをさせる計画が新山のせいで台無しになったと怒る楠はホールディングナイフで新山を切り刻む。命乞いをする新山だが、とことん使えない部下だったと最後は銃で射殺する。

鈴木さんはもって数十分の命。楠は仁輔に対して鈴木さんを闇医者で運ぶかわりに自分と一緒になり一から殺し屋修業をしてもらうと交換条件を出す。仁輔は鈴木さんを助けるために、その条件をのむ。

ーー鈴木さんの回想ーー

幼少時代の鈴木さんは父親と二人で住んでいた。父親はヤバい奴等の金を盗んだため殺し屋が狙っているとして家のカーテンを開けることを拒み鈴木さんに暴力を振るっていたが、その話を鈴木さんは信じていなかった。

河川敷で一人でいるところに一人の男が声を掛けてきた。男は鈴木を名乗る。お前の父親を殺してくれないかと言ってきたことで、父親が狙われているのが本当のことだと知って驚く鈴木さん。鈴木さんの父親の警戒心が強いからなかなか狙撃できないため、殺し屋の鈴木は鈴木さんに依頼してきたのだった。

それからは殺し屋の鈴木に銃の指導を受ける鈴木さん。父親を始末したあと殺し屋の鈴木さんと合流。河川敷で鈴木さんは「30秒だけ木になってくれない?」とお願いして抱きつきながら涙を流す。

今回の報酬と仲介屋の名刺をもらい二人は別れる。その後『名無し』として殺し屋として生計を立てている鈴木さんのもとに一件の依頼が入る。それは自分を殺し屋として育ててくれた鈴木を殺す依頼だった。

鈴木を殺す前になぜ自分を助けてくれたのか問う。本当は最後の仕上げで殺すつもりだったと言いながら「さぁ分からないな。あのとき俺は木だったから…」と言い笑顔を浮かべながら殺される。それ以降から鈴木さんは鈴木を名乗るのだった…。

ーー鈴木さんの回想終了ーー

2週間後、臓器など重要な機関を避けて貫通したため一命を取り留めた鈴木さん。一方で、楠から殺しの指南を受けている仁輔だが、いまだに鈴木さんを撃ったことを後悔しており、どこか上の空。楠は飽きて仁輔を殺そうとするが、一計を案じ仁輔と鈴木さんを合わせる事にした。

鈴木さんを見つけ飛び込んでいく仁輔を人質にとる楠だが、鈴木さんは完全に無視。意外な反応に楠が鈴木さんを撃とうとしたら逆に撃たれ楠の指が吹き飛ぶ。楠は「我ながら今日は策に溺れてしまった」としてその場を引く。仁輔に対しても家族ごっこは終わったとして「私の前から消えろ」と告げる。仁輔は泣きながら謝り、最後は感謝の気持ちを伝えてその場を去るのだった。

鈴木さんが屋上にいると殺し屋の鈴木の亡霊が登場し、これでよかったのかと問う。仁輔を助けた理由を聞かれた鈴木さんは「ひとりぼっちがずっと寂しかったから」だと答える。仁輔もいま一人きりだと言われ、仁輔を探す。しかし、仁輔の元には楠が見張っていた。

ナイフで攻撃してくる楠だが、鈴木さんの攻撃が上回る。しかし、撃たない。時間が欲しいと楠に言い、楠自身も警察から追われる立場になっているため退散する。

鈴木さんと仁輔の束の間の平穏。水族館に遊びに行く二人。鈴木さんは修理したカメラを渡すのが目的だった。鈴木さんは殺し屋の自分の生活だと仁輔にも危害が及ぶため一緒には言われないと話すが、仁輔は嫌だと拒否する。

一緒に暮らそうと話す仁輔だが、仁輔のことが好きだから仁輔には平和に穏やかに暮らしてほしいと願っていることを伝える。最後に顔はめパネルで記念写真を撮る二人。これまで穏やかに暮らしたいと思っていた鈴木さんだが、最後は自分ではなく仁輔に穏やかに暮らしてほしいと願うのだった。。

ーー数か月後ーー

仁輔は祖母と海辺の町で暮らし始め、地元の小学生とも遊ぶようになる。テレビからは警視庁長官含めた警察関係者が立て続けに殺害されているニュースが流れ、楠の後ろ姿だけが書かれている。

その頃、鈴木さんは以前と同じようにアパートの2階の一室で倒れるように眠っている。そこに引っ越してきた隣人が挨拶に来る。部屋には仁輔と一緒に撮った写真が貼られているのだった。

***感想・評価・考察***

殺し屋と少年の物語。ジャン・レノ主演の『レオン』に設定は近い。鈴木さんが殺し屋になった経緯は面白かった。作者は『屍牙姫』を連載している佐藤洋寿。女性の表情が上手い。

結局、仁輔が狙われる原因となった現金輸送車襲撃事件の全貌や、金はどこにいったのか真相はわからずじまいで、最終的に事件の首謀者と思われる人物が一コマで楠に殺されてしまっており、打ち切り説がある。

物語の展開として静かに暮らしたいことを望む鈴木さんと、平穏に退屈している楠という対比だが、納得できない行動は多かった。何度も楠を殺すチャンスがありながら殺さない鈴木さん、親の仇であるはずの楠を殺さずに逆に特訓を受ける仁輔など、話の流れに「どういうこと?」とイライラする場面も多かった。

敵役の楠を殺してしまったら話が終わってしまう、小学生だから論理的な行動がとれないのは当然、鈴木さんも本心では殺し屋を辞めたがっていたため殺したくなかったと理由を考察できるが、ストレスが溜まる展開ではあった。