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【生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと】感想ネタバレ第3巻(最終回・最終話・結末)まとめ

2013年から2015年まで月刊アクションで連載していた『生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと』の最終巻3巻の感想ネタバレまとめ。向井和也はどうなったのか。最終話でタイムスリップした時代で何をするのか。最終巻の結末(ラスト)を見逃すな!

20年前の世界へと戻り、小学6年生となった32歳・向井和也は欲望のままに生きる道を選んだ。学習発表会、修学旅行、初恋の少女「保田安奈」を犯す計画は転校生「外海いづる」にことごとく阻まれる。それでもアンナを付け狙うカズヤの欲望の行き着く先は? そしてアンナを守る為に現れたいづるの正体は? 衝撃の最終巻!! 

目次

第15話 殺意の阡陌
第16話 虚ろな告白
第17話 Yesterday Once More
第18話 宣戦布告
第19話 在りし日の歌
第20話 真夜中の決闘
最終話 生まれる価値

前回までのあらすじ

アンナを騙して体育倉庫へと呼び出し犯そうとした学習発表会。外海いづるが窮地を救うが、カズヤは諦めない。修学旅行の夜、いくみを利用して、いづるをアンナから引き離し寝所を襲う。しかし、そこに居たのは「二ノ瀬さつき」。

アンナの危機を察して入れ替わったのだ。結果、カズヤはさつきを犯す。さつきはアンナの事をいづるに託し、自殺。いづるは固く決意する。必ずアンナを守る。自分の母親であるアンナをー。

本編あらすじ

外海いづる(とのがいいづる)の家を訪ねる九条郁美(くじょういくみ)。警戒しながらも彼女を自分の部屋に通す。そこで郁美は、意を決したように口を開く。「全部話すよ、私と和也のこと、二ノ瀬やシンヤの事故のこと!もうこれ以上耐えられない…」

いづるにすべてを話し終えると「警察に…言ったほうがいいのかな?」と重い口を開く郁美。しかし「その必要はない」といづるはその意見を抑え込む。(警察になんか渡すものか。あいつは…私が!)

郁美の話は続き、このあと秘密基地の廃墟に外海を呼び出せと言われていた。カズヤが何しようとしているのかは分からないが、これ以上悪いことをしてほしくないため、カズヤを止めてほしいと懇願する。

いづるはそんな郁美を冷ややかな目で見つめている。(…罠、そう考えるのが自然…だいたい九条はカズヤの傀儡。信用することはできない。)

しかし(けれど九条が本当にカズヤを裏切り、支配から逃れようとしているならカズヤの寝首をかく千載一遇のチャンス!)そう考えたいづるは、郁美とともに秘密基地へと向かう。

秘密基地に到着すると、郁美はあの扉から二階に上がってすぐの部屋で待っている、といづみが伝え、いづみがその扉をくぐると…育美は素早くその扉を閉めようとする!

ただ、それを足を差し込み、扉を閉めさせないいづる!鬼の形相で扉をこじ開け…郁美を問いつめます。が、その瞬間いづるの頭に激しい衝撃が走る!和也は最初からこの展開を予測し、扉の陰に隠れていた!

「よう、お目覚めか、マヌケヤロー」いづるが気がつくと、縛り上げられていた。「答えろ、お前は…お前は何者だ!?」と尋問し始めました。「本当にアンナの従妹かよ?何でオレを殺そうとする?答えろ!お前の目的は何なんだ!」

「お前さえいなければアンナは幸せになれたんだ!お前がアンナの人生を無茶苦茶にしたんだ!このウジゴキ野郎ォォ!!」その迫力にひるんだ和也はその場をいったん郁美に任せてトイレに行くことにします。二人きりになると、いづみは郁美に語りかけ始める。

「あなた本当は分かっているんでしょう?こんなことは何の解決にもならない。カズヤの本性をちゃんと見て。あなたはあいつにいいように利用されているだけ。こんなことをしてもカズヤは決して振り向かない。私には分かる。カズヤはあなたが用済みになったら必ずあなたを捨てる」

我慢できなくなった郁美は、黙れと涙を流しながら大声で叫ぶ。「そんなのまだわからないだろ!」そこに和也が戻ってくる。カズヤは、郁美に包丁を渡して「いくみ、そいつ殺せ。それくらいできるよな?オレのこと愛してんだろ?オレはそいつに殺されようとしてんだぜ?そいつがいなくなれば二人で楽しく過ごせる。2人の未来のために…な?」

郁美はカズヤの命令に従わず、包丁でいづるを縛っていたロープを切る。「…カズヤ、こんなこともうやめよ?私がずっとカズヤのそばにいるから。カズヤのこと守るから。アンナの代わりに私がずっとずっと…」

しかし、和也は舌打ちして言うのです。「ふざけんなよ、肉便器女が」「いつもいつも失敗しやがって、この役立たずのクソビッチが。何勘違いしてんだよ、お前がアンナの代わりになれるわけねーだろ!」

ショックを受け、崩れ落ちる郁美。手から零れ落ちた包丁を、いづるは見逃ず、素早くその包丁を拾い上げ、和哉に一直線に走って行くが…それは和也にではなく、彼を身を挺して守った郁美の体に刺さる!!

幸いなことに郁美は致命傷ではなかった。そこにキョウが現れてアンナが行方不明だと告げる。いづみはアンナが心配になってキョウと一緒に探しに行く。カズヤと二人きりになった郁美は「もうこんなことはやめて。お願い…私のこと見てよ」と伝えるが、カズヤは激昂して郁美を一方的に殴りつける! 最後までカズヤのことを想いながら亡くなる郁美…。

行方不明になっていたアンナは教会で祈っていた。「ちょっと前までそんな当たり前だったことが最近…まるで幸せな事を見ていただけだったような感じ…」「またみんなで楽しく学校生活を送りたいよ…」「できるよ!!きっと…またみんなで…」と励ますいづる。

その後、キョウはいづるに二ノ瀬が亡くなる直前にキョウに渡した手紙を見せる。そこには『あの向井君は向井君じゃない。アンナちゃんがあぶない。このままだとアンナちゃんが死んじゃう』と書かれていた。

キョウが「先のことが分かっているような…」という言葉に(まさか…あいつも…)とタイムスリップを気がつき始める。その頃カズヤは自宅で(あの女さえいなければ…きっと何もかもうまくいくんだ)いづみも殺害することを決意する。

学校では郁美が行方不明になったことが大事になるが、カズヤやいづみは口を閉ざしている。

アンナの寝顔を見ながら、いづみは「ママ…」と呟く。(…私はもっとも愛しい人と、もっとも憎い者の間に生まれた。カズヤを殺してアンナを守る。それが…生まれる価値のなかったこの私がママにできること)

外海いづるは向井和也と保田杏奈の娘だった!

向井和也とは違う未来からきた外海いづる(本名不明)。いづるがいた世界では杏奈は和也に犯されて13歳で女児を出産後、25歳のクリスマスの、とある出来事がきっかけになり、精神に異常を来たして自殺していた。

いづるは母からも祖父母からも嫌われていた。母の自殺後、自分が生まれてきた経緯が書かれた日記を発見する。いづるがいた世界では、いづるが本当の父親であるカズヤを殺していた。

カズヤを殺そうと自宅の部屋を出ようとしたところ、自宅まで殺しに来たカズヤに刺されるも、小学校に逃げ込むいづる。

最終話

屋上にいづるを追い込んだカズヤ。しかし、いづるがカズヤを道連れにして屋上から転落する。血を吐きながらも何度でもやり直して絶対アンナを自分のモノにすると執念を見せるカズヤだが、いづるも「好きなだけやり直せよ。お前がいくら人生をやり直そうと、お前がいくらアンナをつけ狙おうと、私がどこまでもどこまでも追いかけて殺してやる。お前が人生をやり直したぶんだけ殺す。もうお前に安らげる日はない」

いづるが最後にアンナに質問する。「もし…アンナがいつか大人になって大好きな人と結婚して、幸せいっぱいの可愛い子供が生まれたら、つけたい名前って…ある?」ぼんやりと考えたことがあると答えるアンナ。「…その名前で私のこと…呼んでみてくれないかな…お願い」

台詞にはないが、その言葉を聞いて満足そうないづる。(あぁそっか。私はずっと自分が生まれる価値のなかった子だと思っていた。ママは私のことなんか嫌いなんだと思ってた。でも違ったんだ。私は生まれてきて よかったんだ)

~4か月後~

アンナは中学生になっていた。(私はあの町を引っ越した。私からあまりにも多くのものを失わせたあの出来事。カズヤはあのまま息を引き取った。いくみちゃんは廃墟から発見された。キョウもあの事件のあと、どこかに引っ越して行った。)

いづるは昏睡状態から奇跡的に意識が回復したけれど、アンナと暮らした短い時間の記憶だけはすべて失っていた。いづるの両親はいづるの性格が変わって様子がおかしかったことをずっと心配していたようで、むしろちょっとホッとした様子だった。

(あのいづるはもういない。けれどさみしくはない。)

「ごめんね、ずいぶんと先になると思うけど…きっとまた会えるよね」

***感想・評価・考察***

主人公がクズ人間なので、人によっては胸糞漫画に映るかもしれない。実際にテレビ情報誌『テレビブロス』内の企画ブロスコミックアワードでは、どうにかしろよ!胸クソ部門第2位に選ばれた。最後がバッドエンドではなく、ハッピーエンド?に近い結末だったので、個人的には胸糞漫画には感じなかった。それを魅力と捉えるかは読者次第と言える。

作者曰く、打ち切りも引き延ばしもなく当初の予定通り完結できたとのこと。なぜかアマゾンではコミック、電子書籍ともに販売終了しているので、読みたいならアマゾン以外の販売サイトで中古品をネットで購入するしかない。